レスター手稿、空はなぜ青いのか? | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍を紹介していきます。

レスター手稿の最後の紙葉の下部に、「空はなぜ青いのか?」という考察が書かれている。空が青く見えるのは上空が暗闇だからであるとレオナルドは結論付けているが、非常に的を得た推理だと思う。実際にこの地球の外側は昼でも夜でも星空である。昼間の空が青く見えるのは、太陽光線のうち波長が短い青い光が大気によって拡散するからだ(波長の長い赤い光は大気を透過してしまう)。これは、レオナルドが絵画論の中でも論じている「空気遠近法」にも通じる現象であり、モナ・リザの背景など、遠くの山々を青く描くことで遠近感を表現することが出来る。

レオナルドは実際に実験をして、暗闇をバックにした方が、大気は青く見えるとしている。


レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-レスター手稿f.36r
レスター手稿f.36r

この実験が示すのは以下のことだ。つまり、空気自体が暗黒の向こう側に持つもの、それは純粋な青空の色であるということ。
実験では、乾燥した材木を使って作られた煙が良く、少しの量で良いが、この煙に太陽光線がしっかりと射すように、この煙の向こう側には、太陽を遮るように、黒いビロードの布を置くこと。君の目とビロードによって作られた暗がりとの間にコントラストとなって立ち上る煙を君は見るだろう。そしてこの煙の色はまさに美しい青空の色である。黒いビロードの代わりに白い布を置くと、その煙は灰色がかったものとなる。

前述した太陽の光線が上から射す視線の向こう側に、黒いビロードを置いた暗い場所の中で、こまかい霧の出来るスプレーを使って噴射した光は、今述べたような青空の色をした光線を作る。さらにこのことが一層よく理解されるのは、ここで使用する水が蒸留水の場合であり、この時そこから生じる細い煙は青空色である。

あまりに蒸気が多いと邪魔になる。あまりに蒸気が少ないと完全な空色を生み出さない。つまり、ほどほどの蒸気の配分が美しい青空色を生み出す。


ちなみに右上のイラストは、レオナルドが考えた「地球の内部構造」である。

水球である地球の上に山々が高くそびえ立っているのは、地球のかなりの部分が水で一杯に満たされているいるからだといえる。すなわち、地球内部の巨大な洞窟が、この世界の中心へと沈んだものと思われる。この巨大な水の洞窟は、その水が流れる場所を絶えず侵食し続ける水脈の通り道によって、穴を明けられる状態となる、と説明されている。

レオナルドは地球の中心には巨大な水の洞窟があると考えていた。地球の内部構造について分かって来たのは、まだ本当に最近の話なのである。↓以下はウィキペディアからの引用。

20世紀初頭にアルフレート・ヴェーゲナーが提唱した大陸移動説では、なぜその運動が起こるかを説明できなかった。しかし第二次世界大戦で発達した音波を使用する技術を用いた海底地形の調査を通じて大西洋の中央海嶺が発見され、さらにそこから両側に海洋底が広がっていることが判明した。この発見を皮切りに様々な証拠が集められ、重力計測による大陸地殻と海洋地殻の存在、地震波計測による核とマントルの存在が明らかとなり、1960年代中ごろにマントル対流と地殻のさまざまな運動が理論的に構築され、プレートテクトニクスの概念が生まれた。これは1980年代頃までには大枠が出来上がり、さらに地震波トモグラフィーによるマントル構造の解析(マントルトモグラフィー)や対流状況とプレートの関連を解析(プルームテクトニクス)などへ研究段階は発展した。