「次なる作品は、祝祭用の上演のためにベルナルド・ベッリンチョーニ氏により著された「天国」にて、ルドヴィーコ氏によってミラノ公爵夫人を称えるべく依頼されたものなり。フィレンツェのレオナルド・ダ・ヴィンチ親方の大いなる才能と技術によって舞台に現れた天国は、七つの惑星をもって回転するもので、その惑星は詩人の描いた人間の姿、人間の衣装をもって表され、伝説の人のごとく公爵夫人イザベッラを称える言葉を述べるものなり。」と、当時の記録は語っている。
レオナルドの「天国」は、卵を半分に切ったような形をしており、内側は全部黄金色に装われ、星に劣らぬ無数の光を放ち、いくつかの窪みがあって、そこに7つの惑星が段階に従って高低に位置していた。この丸い半卵形の上端の周囲には、黄道十二宮があって、その円形の中でいくつか光を放ち、眼に豪華で美しく見えた。この天国では甘美で優雅な歌や音楽がふんだんに奏でられていた。レオナルドが得意とする自動機械を使ったこの見事なスペクタクルは、ヴェネツィア、フィレンツェ、ナポリ、フェッラーラ、パリ、教皇国等に、それぞれの大使からその光景が伝えられたということだ。
![レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-天国](https://stat.ameba.jp/user_images/20100510/16/davinci-codex/48/09/j/t02200262_0350041710535362675.jpg?caw=800)
映画「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」で再現された「天国」