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映画ライターもどきの本音ブログ

映画ライターをしている20代後半の男です。好き勝手感想を書くために始めました。

 

【公開】
2019年(日本)

【監督】
犬童一心

【原作・脚本】
土橋章宏

【キャスト】星野源、高橋一生、高畑充希、山内圭哉、正名僕蔵、ピエール瀧、飯尾和樹、和田聰宏、岡山天音、松岡広大、富田靖子、中村靖日、矢野聖人、鳥越壮真、斉藤暁、丘みどり、立川志らく、向井理、小沢征悦、濱田岳、西村まさ彦、松重豊、及川光博

 

【あらすじ】

姫路藩書庫番の片桐春之介(星野源)は、書庫にこもりっきりで人と話すのが苦手な引きこもり侍。
あるとき、藩主の松平直矩(及川光博)は、幕府に姫路(兵庫)から日田(大分)への国替え(引っ越し)を言い渡される。当時の引っ越しは全ての藩士とその家族全員で移動するという、桁外れの費用と労力がかかる“超難関プロジェクト”。しかも藩の財政は逼迫しているため、引っ越しを成功させるためには家財を減らし、人も減らし(リストラ)、さらには商人から借金までしなければならない。全ては国替えの総責任者、【引っ越し奉行】の手腕にかかっている。お国最大のピンチに、いつも本ばかり読んでいるのだから色んな知識があるだろうと、なんと春之介に白羽の矢が立った!
突然の大役に怖気づく春之介は、幼馴染で武芸の達人・鷹村源右衛門(高橋一生)や前任の引っ越し奉行の娘である於蘭(高畑充希)に助けを借りることに。こうして前代未聞の引っ越し準備が始まった!
移動人数10,000人!距離600km!予算…なし!?
果たして春之介はこの超難関プロジェクトを知恵と工夫で無事に成し遂げ、国を救うことができるのだろうか?!

公式サイト

68点

 

 

 

 

原作まで読んで参戦。原作はライトで読みやすい良作ですがだいぶ軽いノリでとんとん拍子にうまく話が進むのでそんなに心にも残らない。

映画はパッケージの地雷感から考えるとだいぶましな作品だった。
さすが犬童一心。


原作だと春之助のうじうじした心情描写と成長、引っ越しノウハウと会話劇だけで映画にすると相当地味だったはず。ただの馬鹿キャラだった鷹村にチャンバラの見せ場を与えたのはまあアリだと思う。高橋一生ファンへのサービスとしては正解だよね。ちゃんと体作ってたし。

そして高畑充希は相変わらず最高や。童顔だけど大人の女に見えてかっこかわいい。とくに初登城シーンの廊下ツツ―は笑った。
そして春之助の求婚にぐいぐい行くときや汗かいている時の色気も最高。彼女に話を引っ張らせたのは大正解。おかげで春之助の成長もスムーズにいくし、引っ越しノウハウ描写も取捨選択できるし。

あの意地悪老中の家財を整理するシーンは老中役の正名僕蔵の顔芸と演技と声のトーンが絶妙で一番笑ったかな。

映画ならではの要素としてはミュージカル的シーンを入れて準備をモンタージュで楽し気に見せたり、トレーニングモンタージュまであるのは好みでした。

でもそうやって引っ越し描写を的確にコンパクトにしたのはいいんだけど、結局それで足されるのがとってつけたような藤原老中(原作だと普通にいい人)の裏切りと浜辺での割とグダグダな立ち回りでは物足りない。あのチャンバラも真面目か不真面目かどちらかに振り切って欲しかったな。


その他改変ポイントとしては直矩が柳沢吉保から嫌がらせ受ける理由が原作だと直矩側が吉保に色目使ったせいで若干自業自得感があったのに対し、映画だと吉保からの誘いを断ったことにしていた。まあ確かにこちらの方が感情移入はしやすい。でもそれなら吉保役をわざわざ向井理にしなくても良かったんじゃないか。

あと春之助のお母さんに関する描写はもっと入れて欲しかった。あのやり取りが結構原作では面白かったのに。

山里一朗太が元々書庫番のユーザーで春之助の心の支えだったという設定にしたのは巧かったと思う。

ただ春之助がもっと本を愛している描写は入れて欲しかったし、映画で実際に本を燃やしたけど全部覚えていますって無理やりな展開をやられると小説以上に納得しずらい。

そんなんで本を燃やしても大丈夫ってなるのはどうよ。自分に何かあったら藩の知財が全部パーじゃん。

終盤で置いてきた藩士たちを迎えに行く件をしっかりクライマックスに持ってきていたのは良かったと思う。

原作だと最後に来た陸奥藩で犬や動物たちをたくさん保護して、生類憐みの令を逆手にとってこれ以上の国替えをさせないようにするっていう逆転の発想で経営を安定させる場面があったけど映画ではなくなっていた。

でも今後も国替えをさせられるかもしれないが、それでも人を見捨てず愚直に迎えに行くって展開もなかなかいいと思う。たしかに監督インタビュー通りサラリーマン映画であり会社経営に関する映画になっていた。でもやっぱりそう考えるとあのアクションシーンはあんなに尺いらなかったかもな~。