【公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
Us
【監督】
ジョーダン・ピール
【キャスト】
ルピタ・ニョンゴ 、マディソン・カリー 、ウィンストン・デューク、エヴァン・アレックス 、シャハディ・ライト=ジョセフ、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世 、アナ・ディオプ 、カリー・シェルドン、ノエル・シェルドン 、デューク・ニコルソン 、カーラ・ヘイワード 、ネイサン・ハリントン
【あらすじ】
アデレードは夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごす為、幼少期に住んでいた、カリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。早速、友人達と一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われた事で、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな“わたしたち”がやってくる・・・。
94点
これは強烈。賛否分かれているけど僕は大好きです。難解だなんだ言われているけど、やっぱ演出の足腰がしっかりしているからわからない部分があってもずっとハラハラするし、絵的にも面白いし、笑いもしっかり入れてくれるし全然退屈することはない。お見事ジョーダン・ピール。
そして何よりも演者の力半端ねえ。ルピタ・ニョンゴはなんであんなに怖い顔ができるんだ。どんな切り替え使ってあの2役を演じていたのか。
もう一人のエリザベス・モスも狂気の笑顔で口紅塗ってる顔が怖すぎる。2人とも美人だからこそだろうな。子役二人も優秀。そして清涼剤のようなウィンストン・デュークもありがたかった。
キャスティングセンス抜群っていうか絶妙な顔を集めたな。
アデレードの子役時代の子も恐怖に歪む顔が映える。あの子の恐怖顔がトラウマになるわ(笑)。
そして絵も綺麗だし、BGMもいいし、ゴア描写も惜しみなく見せてくれる。こういう基本おさえてるからこそ難解な方向に行かれても置いてかれず見ていられる。
にしても示唆に富んでいる。
冒頭のトンネルに関する字幕もハンズクロスアメリカもVHSのチャドもグーニーズもマイケル・ジャクソンのスリラーのTシャツもエレミヤ書11章11節も鏡も兎も赤いつなぎもクローンたちの「テザード」という自称もハサミも色んなものに意味があって考え出すとキリがない。
とくに何度も出てくるエレミヤ書11章11節。
エレミヤ書とはキリスト教旧約聖書の三大預言書の一つで52章にわたって唯一神ヤハウェに従わないイスラエルの民がバビロニアに滅ぼされることを予言した書だ。
11章11節にはこう書かれている。
「 それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らにわざわいを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは彼らに聞かない。」」
確かにこの映画全体の話を表しているな。
それにしてもまさか一家が攻められる話からこんな壮大になるとは思っていなかった。
あの終末感もたまらんぜ。
「tethered」には「繋がれた人々」という意味以外に「限界」 という意味もあるのが痺れた。確かに格差や社会への不満はもう限界にきていると思う。
分断されたUS=ユナイテッドステイツを象徴する物語。
アイツらはこうなり得たもう一人の不幸な自分、貧困層、移民、すべての不遇な人々の象徴に見える。
彼らはずっと地下に押し込められて生きてきた。上の人間の行動に左右されるのも確かに実際の下層社会の人々のことを表している。そして地下トンネルに向かっていくエスカレーターは下行きのものしかない。一度堕ちると這いあがれない現実がある。
だからこそラストで実はアデレード側がクローンだったというオチは割と読めてはしまうけどただのビックリではなく少し胸アツな部分がある。
出自は関係なく、まともな環境に置かれればひとはあるていどまともにかわれるってことだもんね。結局環境次第だってことが言いたかったんじゃないか。
でもレッドみたいなミラクル逆転は中々ない。
人は自分の地位や生活が脅かされそうになると形相を変えて相手を排除する。どんな善良な人でも。
主人公一家の容赦のなさに少し引いた。子供たちはクローンだった母の血を継いでいる関係もあるのかな。
やっぱり結局自分たちの中の二面性が一番怖いってことなのか。
いろいろ疑問点もある。
単純なツッコミどころとしては後14分くらいで来ると言っていた警察はどこに行ったのか。あいつらももう一人の自分に消されたのか。だとしたらちょっとはその描写欲しかったな。
ジェイソンはなぜ相手の行動を自分の行動で操れると気づいたんだろう。
そして子供時代のアデレードは地下世界に残ったままで、そしてあんな風に変わってしまったんだろうか。
あの現象はアメリカだけなんだろうか。日本も格差酷いからいかにもありそうなんだけどな。
手をつないでいたアイツらはその後どうなるんだろう。
あのまま世界が滅ぶのか、鎮圧されるのか。気になってしまう。
こうやってリピーターを呼び込もうとしているのか(笑)。
その他好きなシーンや工夫
・NWAのFuck The Policeに乗せて白人一家が惨殺されるという皮肉キレキレな場面。
・一家の使う武器がどれも中産階級以上の人じゃないと持てないようなものなのが面白い。
・バレエのような動きで逆光の廊下で2人が戦う場面。幻想的。
・なぜかジョーズオマージュもある。
・車に乗ってる娘のクローンを注意したオヤジがあっさり刺殺されるところ。
・双子のクローンが出てきて一瞬4人並ぶ異様さも最高
なんかうまくまとまらないけど、ずっと考えていたいくらい好きな映画。あー誰かと議論したい。ジョーダン・ピールはこの路線貫いてください。
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