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映画ライターもどきの本音ブログ

映画ライターをしている20代後半の男です。好き勝手感想を書くために始めました。

 

【公開】
2018年9月10日 (TIFF)(アメリカ映画)

【原題】
The Old Man & the Gun

【監督】
デヴィッド・ロウリー

【キャスト】
ロバート・レッドフォード、シシー・スペイセク、ダニー・グローヴァー、トム・ウェイツ、チカ・サンプター

 

【あらすじ】

時は1980年代初頭、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、目的を遂げる銀行強盗がいた。彼の名はフォレスト・タッカー、74歳。被害者のはずの銀行の窓口係や支店長は彼のことを、「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。事件を担当することになったジョン・ハント刑事も、追いかければ追いかけるほどフォレストの生き方に魅了されていく。彼が堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人もいた。そんな中、フォレストは仲間のテディとウォラーと共に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。だが、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、予想もしなかった危機にさらされる─。

公式サイトより

 

 

 

 

93点

 

レッドフォード、最後に伝説のアウトロー演じて、おまけにサンダンス映画祭で名声高めたデヴィッド・ロウリーを監督に抜擢して、たった93分のサラっとした快作作って引退ってカッコよすぎるだろ。

スクリーンに映るレッドフォードはいくらシワが刻まれていてもレッドフォードだった。最後まで反骨の男。

逃亡地帯とかスティングとかオマージュもあったけどあくまでフォレスト・タッカーを説得力持って演じていた。

共演のシシ―・スペイセクは相変わらずの可愛らしさだし、トム・ウェイツもダニー・グローバーも往年の味のある演技を見せてくれる。

そして『A Ghost Story』ではこの世で彷徨っていたケイシー・アフレックが人生に疲れ始めていたもののタッカーとの出会いで気力を取り戻す男を好演。俳優としてのあこがれがそのまま刑事とタッカーの奇妙な関係になっていた。

実話をもとにしているとはいえ、年齢設定もいじってるし、何度も刑事とタッカーが偶然同じ空間に居合わせるなどフィクション度は高かった。
様々な演出や展開がレッドフォードがスクリーンを去ることの意味合いをより強めている。

それにしても冒頭からフォントや画面の質感、音楽、出てくるロケーションまで、いかにもアメリカン・ニューシネマって雰囲気で始まってくれてたまらないものがあった。
16ミリフィルムで撮影したらしい。

80年代というアメリカン・ニューシネマが去った後の時代に老いたレッドフォードが1人挑戦を続けているというメタ的な視点に胸が熱くなる。

チャーミングに笑うレッドフォード、馬に乗れないといっていながら後々乗っているレッドフォード、そして手で銃を作って撃つ真似をして見せるレッドフォード。もう昔のようにはできないけどでも心だけは衰えていないといっているようだった。

何故なら彼は「楽に生きるより楽しく生きたかった」から。自分の気持ちに嘘をついて安定して暮らすより、捕まってでも自由を選ぶ。

一度たそがれギャングたちの大仕事が成功してもう強盗しなくても良くなり、仲間たちが去っていくときのシーンが印象的。マジックアワーで扉の向こうにオレンジの光が差し込む中、まるであの世にでも行くかのように出ていく仲間たちをレッドフォードが見送る。

もうこのまま挑戦の人生は終えることはできるが、タッカーはこっちに残った。彼はそういう男だ。

タッカーは腕輪を盗んで逃げようと誘うもジュエルは戻って普通に物を買う。そういう普通の生き方は彼にはできない。

そんなタッカーとレッドフォードが完全に重なるのは誰もがグッとくる脱獄シークエンスの繰り返し。一つどこなのか忘れてるのが最高だった(笑)。

唐突な演出ではあるけど最高にリスペクトの詰まったシーンだった。

脱獄囚、西部のアウトロー、詐欺師、空を飛び続ける曲乗り師、陰謀をすっぱ抜く記者、年齢に負けず活躍する野球選手、毎回アウトローというわけではないが彼はずっと常識やしがらみと戦い続けてきた。

と、思いきや恋人に「普通に出所したら」と言われて素直にそうする柔軟さも可愛い(笑)。

そして出所してもタッカー=レッドフォードは変わらない。

でも自分の限界も悟りつつあるような表情が切なかった。
主題歌である「Blues Run The Game」の歌詞が象徴的で、「ボートでイギリスへ行こう」と自由奔放なことを言いつつ、「自分が年老いたことに気づいたら、挑むのやめるだろう」ととも歌っている。

しかし気づいていたのか気づいていないふりをしていたのか、タッカーは最後まで挑むことはやめなかった。

ラストの後ろ姿を見て、またひょっこりスクリーンに戻ってくるんじゃないかとも思ったけど、まあとりあえずお疲れ様でした。監督作期待しています。とにかく何をするにしてもレッドフォードがタッカーのように楽しく笑っていることを願う。