リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場 -15ページ目

リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

「リーンのガラパゴス批評」の兄弟ブログです。趣味に関する記事はこちらでどうぞ。

 

 みなさん、こんにちわ。山下達郎です。



 毎週日曜日、午後2時からの55分間はわたくし、山下達郎がお送りするジャックスカード・サンデーソングブックのお時間であります。東京FMをキーステーションといたしまして、JFN全国38局ネットでお届けしております。



 ……



 まずもって、今回の東日本大震災で被災されたみなさま方にこころよりお見舞い申し上げます。

 

 地震や津波によりまして、ご家族や友人、ご家庭、財産をうばわれた方々のご悲嘆は察するにあまりがありまして、申すべき言葉をもてません。行方不明の方々のご無事と一刻も早い救援ならびに被災地、避難所でご不自由な環境においてのみなさま方に対する速やかな援助の手を重ねてこころよりお祈り申し上げております。



 こんなことしか申し上げられなくて、誠に申し訳ありません。



 わたくしの母の生まれが仙台でありますので、東北には親類が数多く居住しております。昨日(3月18日もしくは19日)、最後まで連絡がとれなかった松島の親類が、人、家とも無事なことが確認できました。おかげさまでわたくしの親類縁者、友人は全員無事が確認されております。この番組のリスナーのみなさまから、いろいろと安否のお便り、たくさんいただきました。この場をかりて厚く厚く御礼を申し上げます。東京にも重苦しい空気が立ち込めておりますけれども、被災地の方々があれほどたいへんなおもいをされているときに、五体満足なわれわれがへこんでいてはどうしようもありませんので、つとめて冷静に、とはこころがけております。



 とはいえ、わたくしのような立場の人間はですね、今すぐにできることといって、募金か節電ぐらい、というもどかしさがあります。ただわたくしは、このJFNネットワークのこの番組、サンデーソングブックを18年間続けてまいりました。わたくしにとっては、この番組が自分のことばや考えの発信基地とかんがえております。それに基づいて、今日の番組もお届けしたいとおもいます。



 わたくしがこの番組を担当して18年半、先週(11年3月13日)は番組がはじめて休止となりました。外的な要因により番組を放送されなかったことは、これまで一度もありませんでした。おかげさまで、ようやく今週はオンエアすることができる運びとなりましたけれど、放送1000回が1回遠のいてしまいました。ラジオは今回のような災害状況のなかでは、とくに被災地においては、以前と変わらず有効なメディアのひとつであることが確認されました。わたくしも家にあるサバイバルグッズの中から、手回し充電式ラジオを出してきまして、不測の停電に備えております。



 というわけで今日は、震災後初のオンエアとなります。被災地にも、このサンデーソングブックのリスナーのみなさまが大勢いらっしゃいます。避難所でいま、お聞きいただいている方もひょっとしておいでかもしれません。



 こういう状況下、ラジオ、テレビといったメディアの音楽番組では、なるべく最大公約数的な、たとえば『We are the World』とか『上を向いて歩こう』とかいったような選曲、あるいは、歌詞がよりダイレクトに伝わる邦楽中心の選曲を発信しておられますけれど。わたくしは、わたくしなりにサンデーソングブックという番組を毎週楽しみにしてくださるリスナーのみなさんがどういうプログラムだったら、この、ほんのひととき、すこしでも息抜きをしていただけるかといろいろ考えた結果、本日の番組構成をしてみました。わたくしもミュージシャンでありますので、こうした空気のなかでも聴いていただける作品というのを何曲か持っているつもりです。



 本日のサンデーソングブックは、この重い切迫した空気を、たとえほんのすこし和らげることができたら、という祈りをこめて選曲をしました。本日はスポンサーのジャックスカードのご理解とご好意により、CMなし、前編音楽でお送りいたします。この番組の18年半のパートナー、ジャックスカードとともに、ちっぽけで取るに足らないものではありますけれども、本日の番組は、わたくしのささやかな祈りとして、被災地のみなさまと、全国のリスナーのみなさまにささげたいとおもいます。



 なお、今日は、小さなラジオでも、なるべくよい音でお聴きをいただけるように、音源にいつもと違うデジタル処理を施しておりますけれど、現在の東京の電源は定格電圧100ボルトが、ちゃんと機能していなくて、そういう時間が多いので、おもいどおりの効果がえられないかもしれません。

 だけど、この気持ちだけ汲んでやってください。



 それでは……、



 リーン 今回は3月20日14時よりTOKYO-FMより全国ネットでオンエアされた『山下達郎のサンデー・ソングブック』で、達郎さんがかたった言葉を全文掲載いたします。私は山下達郎ファンクラブの会員ですが、この番組にかかる洋楽のオールディーズソングはまったくの無学な人間です。それでも聴いているのは「達郎がかける曲ならいい曲なんだろうな」と勝手に納得しつつ、彼の落語家のような軽妙なしゃべりと、笑いと捻りのきいたジャックスのCMを楽しみにいている1ファンです。

 3月11日におこった大災害を受けて放送されたこの番組で、達郎さんが話したことをぜひ知っていただきたく、数回にわたって文字起こしします。この番組ではなされた心情と、メディアや生き方におけるスタンスに傾倒しつつ、そこはリーンが書く文章ですのでわたしのおもいも散りばめながら綴っていきます。

 それでは、おつきあいのほどを。

 ちょうど今、日本テレビ系列で放映している『沈まぬ太陽』を見ながらこれを書いています。この映画を私は東京・日比谷の某映画館で見ました。本編途中に入るインターミッション(休憩)のとき、通路で売っていたホットコーヒーを買いました。ポットから紙コップに注がれた、やや豆の細かい繊維とお湯が分離しそうな黒い液体を席に持ちより、それでも席にすわり、喉に流し入れる感触を楽しんだことをおぼえています。


 1962年の映画『アラビアのロレンス』も3時間40分をこえる長尺の映画でインターミッションが入るものですが、その映画の復刻版パンフレットを読むと、途中休憩には飛ぶようにコーラが売れたと書いてある。アラビア半島の砂漠が舞台、見ているだけで喉の渇きをおぼえそうな映画ですから、その表記は納得できる。そうした昔話を思い浮かべながらコーヒーを飲んでいたわけです。

 砂漠に夢を抱く英雄を見ながら冷たい飲料で喉の渇きを癒すのとは違い、国民航空から左遷という懲罰人事を強いられ、123便墜落時にはご遺族のお世話係をさせられたサラリーマンの苦味をともに味わう焦げた色の液体を飲む。……。


『沈まぬ太陽』は国民航空を舞台に、1960年代の組合闘争を描く“組合編”や、それに由来する“アフリカ編”と、1985年の日本航空123便墜落を想起させる“御巣鷹編”からなる長大な構成になっている。この映画の原作は日本航空を題材にし、元組合委員長の故・小倉寛太郎氏を元に執筆されているため、週刊誌に連載されていたときは不買運動が起きた問題作。映画製作時も訴訟騒ぎや監督の出向における複雑な経緯などさまざまな問題が起きた。映画の製作そのものには賛辞を贈りたい。がしかし、内容はいただけない。というより構成に問題を感じる。


 今テレビでCMをはさみながら見ると特に、この映画は散漫な印象をぬぐえない。それは先にあげた2部構成を行ったり来たりすることにより、視点が定まらないことにある。たとえば、“御巣鷹編”に絞って構成し、“組合編”や“アフリカ編”はカット、もしくは小さなエピソードにとどめる大胆な編集、脚本を書くべきだったのではないか。それにご遺族の数、扱うエピソードが多すぎるのも視点が散漫になるのを助けている。

 もうひとつ気になるのが、引いた映像が多すぎること。顔だけがアップの絵が少なく、人物の姿が全部見える映像ばかり。顔の皺一本一本をじっくり見せるカットを多くしなければ、単にエピソードを羅列している効果しか生まれない。もっと静止して、長回しした絵をみせるべきでしょう。


 最後に、御巣鷹山の痛ましい事故を描くにふさわしい人々が登場する本を紹介したい。小倉氏をモデルにした恩地元よりも、この本に登場した方々を主人公にしたほうが簡潔で深い余韻を呼ぶとおもうのです。


風にそよぐ墓標-父と息子の日航機墜落事故-/門田 隆将
¥1,680
Amazon.co.jp


 ☆今日のガラパゴス批評★


 この映画に少しだけ出てくる竜崎一清は、『不毛地帯』の壱岐正より魅力がある。どちらもおなじ瀬島龍三をモデルにしている。どちらが魅力があるかといえば、胡散臭い黒幕といった風体の竜崎に軍配が上がる。山崎豊子の小説は徹底した悪人を描いたほうが面白い。テレビドラマの『不毛地帯』の視聴率が低迷したのは、壱岐の人物像が実像とかけはなれて格好つけて描いたからだ。



 

なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか? (メディアファクトリー新書)/中町綾子
¥777
Amazon.co.jp

 この本は、いわゆるドラマの「ベタ表現」を集め、バブル以降の日本人のメンタリティをひもとく本である。テレビドラマにおける“ベタなドラマ”の意味をこの本から引用すれば


 多くの人たちが共有する、ありがちな表現を多用したドラマ


 ということになる。古くは『女と味噌汁』『肝っ玉かあさん』『時間ですよ』の60年代中期のドラマから『ゲゲゲの女房』『Q10』まで数多くのドラマからベタな表現を集めて、日本人の普遍的な精神を探っている。



 「ながら視聴」できるよう、ナレーションを多用し、コンパクトなエピソードを重ねて、展開を解りやすくする (NHKの朝ドラ)


 BGMで感情を盛り上げ、愛欲表現を大胆に織り込む。(フジテレビの「よろめきドラマ」)


 世代の違う人物たちを、家族として一度にドラマに登場させる。(TBSのホームドラマ)


 ドラマの初期に各局が工夫してドラマの雛形を開拓した。やがて劇中では“カツ丼”がふるまわれて


 警察官 「どうだ坊主、うまいか?」

 息子 「うん」


 と台詞をいいながら人情の機微がわかる刑事が登場し、80年代にファッションスタイリストの部屋が豪華な理由を


 「これが麻子さんのマンションです。部屋代25万円! かなりの金額ですが、職業柄それぐらいの見栄は張らなきゃ!と麻子さんはいっています


 と流行をかたるトレンディな生活が出現して人生を謳歌するOLが登場するが、やがて


 湯川「人間の感情に興味はない


 と言い放つ天才物理学者があらわれ、不可解な人間の心理から遠ざかる人間まであらわれているのがドラマという名のジャングルである。



 この本では各ドラマのベタを集めているが、やや過去の化石のかけらを集めて提示しただけで無味乾燥な印象をもつ。文中ではからずも


 かつての枠組みでは描き切れない世の中の動きをとらえるための、新`し`い`定`番`表`現`が求められている。


 と記しているように、未来の新しい表現を提示していないので散漫な印象をもつ。


 

  スター(この表現も古い)に違う役柄を演じてほしい、との願いで次々とドラマがつくられていくがやがてあきられていく。その昔ののドラマがもつ懐かしさをよみがえらせたのが、『冬のソナタ』に代表される韓流ドラマだが今はとてもこうした過去のベタな要素を持つドラマを特に民放局でつくっても視聴率はとれないし、企画も通らないだろう。

 昨年末に私がこのブログに、好きなドラマとして書いた『結婚できない男』『ハゲタカ』『Mother』のどれもこの本には載っていなかった。結婚しないと嘯く中年も、企業を買い漁るファンドビジネスマンも、他人の子を誘拐する子もこの著書には出てこない。自分の好きなドラマが評価されないのかと気落ちしたが、ここに載っていなくてほっとする気持ちもある。著者が見逃してくれただけかもしれないが、ベタな要素がない(あるにしても薄まっているとおもいたい)ドラマとして評価してもらったと嬉しくもおもう。今の日本の姿が尖閣諸島の問題が象徴するようになにひとつ打開策を見出せない状況であるように、すくなくとも私はどんなドラマが好きかと問われても


 世相を反映している。主人公に寄り添える


 といったあいまいな表現でしか答えることが出来ない。でもおなじ時間に入浴シーンがあってそれを待ちわびるような素直な人間ではないし、ラブストーリーを楽しみ、好きな俳優を追いかけてドラマをみることも怠る視聴者だ。こんな男がドラマ批評のブログをかいて、その記事をよむ方がおおいとは思えないが、いっそのことガラパゴス化して、自分の見方をさがして特化した批評をしたいとおもう。でも大海にひとりで漕ぎ出す気分でもあるのです。


 まさに“ドラマ・ガラパゴス”の魔境へようこそ、です。


 今日、突然に飛び込んできたイチロー選手のヤンキースへのトレードというニュースだが、これは当該球団の思惑から始まったことではないか。記者会見でイチローは


「自分から申し出た」


 といったが、オールスター期間中にじっくり考えたとのニュース記事をみると、水面下で打診された可能性が高い。それが普通だ。この発言はプライドがいわせたものだ。


 マリナーズとヤンキース両球団の戦力補強の考えはみごとにそれぞれの事情をあらわしている。


 マリナーズはここ数年プレーオフに進出できず、戦力の抜本的な刷新を求められていた。


 ヤンキースは今年(このチームは日本のジャイアンツと似たようなもので毎年優勝したい)ワールドチャンピオンになりたいので戦力補強を迫られていた。その昔、オーナーのスタインブレナー(無くなった父親の方)がイチローを取れなかったことを自軍の編成に激怒していたともいうので、その記憶が残っているのかもしれない。


 マリナーズの親会社はいまでも任天堂ですかね。だから、イチローを他球団に出すことは現実味が感じられなかったのですが、シアトルにとっても新しいスターの育成に乗り出したということでしょう。今回の契約内容はわからないのですが、イチローの今後はジャーニーマン(毎年違う球団を渡り歩く選手のこと)となる可能性が高い。来年もピンストライプのユニホームを着ているでしょうか。また、イチローと同じチームに所属することにこだわった川崎宗則のショックはいかばかりでしょう(正直にいえば川崎選手がイチローと同じユニホームを着ることにこだわった判断は賛成できない)。これで彼がたくましくなっていただければいいのでは。


 私がメジャーリーグで心配なのはレイズにいるゴジラの調子。イチローのヒット3本より松井のホームランが見たい!!

 これだけ悲劇をてんこ盛りにしちゃいかんでしょ。山本耕史のファンなら感涙を絞るかな!?


 今回のテーマは


「不義密通」


 でした。ドラマの途中で密通をはたらいたひと組の男女が処刑(もしくは島流しなどの刑が執行される)のシーンを挿入していました。そこを三之丞(石垣祐磨)にかどわかされた千春(柴本幸)が偶然みていまう。現代でいうところの不貞行為が死と密接にからむ行為であることが過不足なく説明されている。お武家の世界はつねに死と隣り合わせ、死と生は切り離せない時代、それが今回の舞台なのですね。このはなしの最後、時代を象徴する事件のとき、典膳(山本耕史)に待っているものが死のような気がするのですがね。嗚呼。


 今回で典膳はいろいろなものを失います。


 妻・千春。


 母・ぬい(檀ふみ)


 そして、


 左の腕。


 悲劇が悲劇を生み、最後は主人公に壮絶な運命を強いる。今回の脚本を担当するジェームズ三木は


「このドラマには悪人がでない」


 と、ドラマのサイトにコメントしているが、典膳も悪人ではなく他人の痛みを理解できる設定にしているために、その連鎖がたまらなくせつない。


 正直なところ、典膳が千春を離縁する理由が今回は判然としなかった。妻がきつねにたたられたことにして世間の噂を封じたのに、結局離縁を選ぶ。その理由を千春の父・権兵衛(辰巳琢郎)に話しているときに、お邪魔しますとばかりに兄・龍之進(忍成修吾)が入ってきて問答無用に典膳に左腕を切りつける。ドラマのタイミングとしては最高、人生のタイミングとしては最低だよ龍之進殿!! でも演技としても、あんなに目をひん剥かなくてもいいんじゃないかなあ。ちょっと残念。


 このドラマの原作は読んではいませんが、正直なところ話の最後は読める気がする。最後は悲しいことになるでしょう。でも、ものがたりの最後が、たとえば主人公の成長物語の完結として終わるとがっかり感が漂うのですが、涙を絞るような終わり方は不思議と最後まで見られるもの。江戸の大事件を背景にした典膳の清冽な生きざまを見ていきましょうかね。