日本がW杯の1次リーグで敗退した。まるで8年前のドイツ大会と同じようなスコアで、既視感すら感じた。コートジボアール戦では先制したのに後半にエアポケットに入り込んだように数分間で続けて失点した。8年前はオーストラリアに先制しながらも、同じように後半3失点した。第2戦は同じく引き分け、そして第3戦は今回のコロンビア、そして8年前のブラジルとも1-4で力の差を見せつけられる結果だった。初戦で隙を突かれて浮き足立ち、第2戦で必死に戦うもスコアレスドロー、そして最終戦で日本らしく攻めるも軽く出足払いを食らったようなものだ。今回、選手から「目標はベスト8」とか「出るからには優勝」といった、威勢のいい発言が聞かれたが、こんな気持ちの大きな発言が出るときはあまりいい結果が出ない。スポーツは相手がいるのだから。
日本のサッカー、日本のスタイル、っていったい何でしょう。今のサッカーは欧州チャンピオンズリーグやW杯で成功したスタイルがもてはやされて真似られるから各国の戦術の違いはそれほどないと感じるが、ひと昔前は各国のスタイルが明確にあった。イタリアはカテナチオ、1-0で勝つのが美学だという。フランスはパスワーク重視、ドイツは体力を前面に押し出した荒々しいサッカー、オランダはトータルフットボールを産んだ先進性、といった具合に。
で、日本のスタイルは?
私はよくわかりません。小柄な体格を生かすために俊敏性を高めたスタイル? カウンター中心のリアクションサッカー? それとも……?
日本にはJリーグがある。それが日本サッカーの実力を高めている。
しかし、チームごとにバラバラで日本チームとしてまとまっていけるのだろうか。
ひとつの例として信州のチームを紹介する。といってもJ2とJ3のチームなのだから日本代表に貢献しているわけじゃないけど。J2の松本山雅FCは財政規模が小さく、まだまだ一流選手の獲得もできず(名古屋グランパスに在籍していた田中隼磨選手がいるけれども)、自チームからの育成も結果が出ていない。そこでJ1に昇格するための現実的な戦略として走力を鍛え、後半に入っても衰えない体力を武器にしたリアクションサッカーを貫いて現在3位の好位置につけている。J1も夢じゃないところに来ている。一方、J3の長野パルセイロはチームのボール保持率を高めて攻め重視のポゼッションサッカーを磨いている。隣盆地同士でも全く違いサッカースタイルを追求している。松本と長野は仲が悪いとか言われている風評も手伝って観戦する側には長野ダービーの興を盛り上げている。J2やJ3のチームでもチームカラーが違うが、J1のチームでも当然ながらチームカラーは違う。
で、日本のサッカー界には国家単位での育成組織、全国の少年を集め寮生活をしてサッカーを学ぶ組織があるのでしょうか? 各地域、各チームで育成されれば、当然そのチームの色に染まり、いや染まらないまでも心の奥に基準となる考えやプレースタイルが身につくだろう。つまり、大人になって日本代表に招集されて初めて同じ戦術の練習をするのでは付け焼刃になってしまわないのだろうか。幼年時代、少年時代に同じ釜の飯を食べ、一貫した教育プログラムで学んだバックボーンがあれば、代表になって初めて擦り合わせるよりももっと一体感のあるチームが作れるように感じるのだがどうだろう。日本は結局みんなバラバラで、評論家は好き勝手なことをいっているけれども、やっぱり育成段階から日本のスタイルを統一した教育プログラムで学んでおく、そういった育成から見直すことが日本の勝利につながるのではないだろうか。
今のままでは海外のチームから招集されても、結局違うスタイルとのすり合わせに悩み、クラブでのプレーほどに日本代表では力を発揮できない状況が続くのではないか。アジアレベルで勝てても、南米や欧州、そしてアフリカには勝てないのではないだろうか。かつてのイタリアは違うクラブでプレーしていても、代表チームとして戦えばなぜかカテナチオスタイルを自然に表現していた。かんぬきをかけるような堅い守備で守り、隙をみて1点を取りそのまま逃げ切る。日本代表だって、チームとして集まれば誰が収集されてもひとつのスタイルで戦える、そんなチームになってくれないだろうか。W杯が終わるたびに、日本のスタイルはこうなんだけど、それが発揮できない、とか言っているうちはまだまだなんだろうな。