やっぱり達郎は生で味わうべし。山下達郎シアターライヴ「PERFORMANCE1984-2012」 | リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

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 信州松本は山下達郎不毛の地である。もしかしたら、たったひとりでシアターライヴを鑑賞するかもしれないとささやかな恐怖を感じながらシネマライツに足を運んだ。


 日本各地で1週間限定で公開された山下達郎シアターライヴは6日(土)から大都市を外れて地方都市で公開された。2003年に行われたファンクラブミーティングで今回公開される映像を2曲見ている。そして、東京や大阪などでコンサートを見ているので、特に目新しいものを見つけるために見に行ったわけではなかった。


 音響はバツグンか。


 何より


 コンサート並みの迫力があるか、


 それを気にして見に行った。


 18時40分より公開されるコンサート映像を見に約4、50人の観客がやってきた。みな真ん中寄りに席を数席開けて座った。女性ひとりでポップコーンをトレイに乗せてきた人、演歌のファンと見まがう初老の夫婦、ディズニーランドがお似合いの子供を連れた親子、と多彩な構成の人々が鑑賞していた。長野市だったらホクト文化ホールでコンサートが開かれるのでもっと集まったのでしょうが、不毛の地・松本でこれだけ集まれば上出来でしょう。でも満員御礼が当たり前のコンサートを知っている身としては208席の映画館に空席が多いのはやはり寂しい。


 主催者からのささやかなお願いが映し出され、そこに達郎のアカペラが重なる。体がぞくぞくした。何度コンサートに行っても始まりのアカペラを聴くと気持ちが高まる。やがてSWEET LOVE SHOWER 2012でも流したアカペラも挟みながら中野サンプラザの舞台がセットされる様子が早回しで映る。達郎フリークとしてはツボを押さえられたような気分がする。そして、黒ずくめの服装で会場入りする達郎をカメラは追い、やがてコンサート直前に袖で控えている絵に切り替わる。階段をペンライトで照らしてもらい、つまずかないように上がっていく。万雷の拍手、湧き上がる歓声。そして、おなじみのギターのカッティング。映像が1986年の中野サンプラザにタイムスリップする。


 1、SPARKLE (1986.7.31 中野サンプラザ) ※『JOY』に音源収録。以下※はそれに同じ。


 CDと音がおなじ、もちろん迫力もある。達郎さんはホントに脇目も振らずにギターを弾いている。一番びっくりしたのは佐々木久美さんですが。


 2、LOVELAND , ISLAND (1986.10.9 郡山市民文化センター) ※


 駄目だよ、ガラパゴスの作法、拡声器を使う曲をこんなにはやく見せちゃ。達郎さんはまったく笑顔なしで歌っている。まるで客席を敵に回しているような鬼気迫る表情をしている。達郎さんの同業者が見たらかなり触発されるのではないか。


 3、メリー・ゴー・ラウンド (1985.2.24 神奈川県民ホール) ※


 後半の長いインプロビゼーション部分はカット。舞台セットでは後ろで巨大なフォークにつるされた電飾が動いている。80年代から舞台装置にはこだわりがあることがわかる。


 4、SO MUCH IN LOVE (1986.10.9 郡山文化センター) ※


 郡山のコンサートは映像収録のために追加されたとか。達郎さんのコンサートを知らない人にこそこれは見てほしい。


 5、プラスティック・ラブ (1986.7.31 中野サンプラザ) ※


 2003年のファンクラブイベントでも公開されている。その時のMCでは、髪の毛が長いことを自虐的に

「髪が顔にかかって首を振ってはらっていますが」

 といって笑いをとってました。


 6、こぬか雨 (1994.5.2 中野サンプラザ)


 これは『JOY1.5』に音源が収録されていますね。ドラムスはいつものメンバーと違いますが、達郎バンドのグルーブは変わらない。


 7、煙が目にしみる(SMOKE GETS IN YOUR EYES) (1999.2.4 NHKホール)


 この日が私のコンサート初体験の日でした。達郎さんの誕生日ということでアカペラが1曲追加、ケーキでお祝い、奥様コーラスに登場、と華やかな日でした。カラオケをバックに朗々と歌い上げる姿、本当にかっこよかった。そんな絶大な印象が今日まで達郎ファンでいられる原動力になっている。最高の一夜。


 8、ずっと一緒さ (2008.12.28 大阪フェスティバルホール)


 9、DOWN TOWN (同上)


 この2曲は奥様がコーラスに参加しています。フェスティバルホールが建て替えのため、取り壊す直前、会場主催者が達郎さんのために一般貸しの最終日を開けてくれたという特別な出来事の一夜がこの日。ダブルアンコールだったそうですね。私は同じ年の別の日にフェスティバルホールで見ましたが、ステージの音が風圧を増して迫ってくるような迫力がありました。「ずっと一緒さ」もしっとりと聞いて心にしみたことを思い出す。


 10、希望という名の光 (2012.4.1 神奈川県民ホール)


 達郎さんが会場のファンひとりひとりのために歌う、と言った勇気を得られる曲。THIS LAND IS YOUR LAND のフレーズもまた聞けて感激に浸る。


 11、今日はなんだか (2010.10.27 神奈川県民ホール)


 12、アトムの子 (2012.4.30 大宮ソニックシティ)


 ここで佐々木久美さんがタケコプターを持っています。80年から比べると大きくなられたというか……、いやはや。


 13、RIDE ON TIME (2012.4.30 大宮ソニックシティ)


 14、恋のブギウギトレイン (同上)


 この2曲はカットしていないと思うが、コンサートで体感した時と比べると(このツアーに私が行ったのは広島、仙台、福島、長野)ずいぶん短く感じる。何より「RIDE ON TIME」が地味に感じた。重低音のリズムを細かく刻むサウンドは「SPARKLE」の派手さを感じない。そして背景の舞台セットに登場した青空の色がくすんで見えた。曲も舞台も生でないと爽快感が感じられない。しかめっつらして聞くものじゃなく、とくにこの曲は生で体感しないとその良さがわからない。SWEET LOVE SHOWER では聴きごたえがあった。ここでガラパゴスの正体、独特のコンサート作法が明らかにされる。

「山下屋っ!!」

 大宮のお客さんの粋なかけ声に照れる姿が見ものだ。


 15、さよなら夏の日 (2010.8.14 石狩湾新港樽川埠頭横野外特設ステージ)


 会場に詰めかけた女性を映し出しすぎかとも思うが、野外でこの曲を聴くと感激に浸る気持ちはわかる。山中湖でも泣いてる女の子がいたからなあ。達郎さんはボーカリストとしても一級品だ。


 ここでエンドロールを迎え、「YOUR EYES」に乗って(これはCDの音源)過去に収録したコンサート映像の写真が次々出てくる。シュガーベイブの唯一のテレビ出演(ヤングインパルス)も出てきてファンとしてはニンマリする。そして達郎さんが舞台の袖に消えて映画が終わる。


 感想を短くひと言。コンサートのDVDは出す必要がない。とくに「RIDE ON TIME」で感じたが、コンサートでの迫力がどうしても映像では出ない。音はいいけど妙にクリアになりすぎてハーモニーの広がりがやや失せている。言葉にすると陳腐になってしまう興奮は生で体感してこそ本当の感動が得られる。『OPUS』を聴きながら来年のコンサートを待ちましょう。そして、ぜひ体感しましょう。本物の達郎はホールツアーでこそ真の姿を現す。でも、シアターライブはもう1回は見ようかな。