日本が武器を買うお金で、これだけのことができる(川崎哲さんブログ) | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

東京の杉原浩司(武器取引反対ネットワーク:NAJAT)です。

[転送・転載歓迎/重複失礼]

 

「武器爆買いよりコロナ対策を!」。

 

ピースボートの川崎哲さんが、具体的な数値をもとに「武器を買うお金で、

これだけのことができる」とわかりやすく訴え。世論を広げる力になります。

どんどん活用しましょう!

 

◆新規の武器購入費1.1兆円があれば、集中治療室のベッドを15,000床整

備し、人工呼吸器を2万台そろえ、さらに、看護師7万人と医師1万人の給

与をまかなうことができる。

 

◆護衛艦「いずも」の空母化経費31億円、ステルス戦闘機F35Bの6機購入

費用793億円の合計824億円で、全国にPCR検査センターを130カ所以上設置

できる。

 

◆「イージス・アショア」導入費129億円で、高齢者をケアするヘルパー

を4,000人増員できる。

 

日本が武器を買うお金で、これだけのことができる

(川崎哲のブログとノート、5月27日)

https://kawasakiakira.net/2020/05/27/japansdefensebudget2020/

 

2020年度の日本の防衛費は、5.3兆円である。これは前年度より1.1パーセ

ント増で、防衛費は第二次安倍政権発足後8年連続で増加、6年連続で過去

最大を更新している。このうち、自衛隊員の給与など「人件・糧食費」が

2.1兆円、「物件費」が3.2兆円である。この「物件費」の中に、戦闘機や

武器の購入、艦船の建造、施設整備、研究開発、基地対策経費(いわゆる

米軍への「思いやり予算」を含む)、そしてそれらの維持費が含まれる。

「物件費」のうち、今年度に新規契約されるものの支出が1.1兆円であり、

残りは昨年度以前に契約されたものの支出である。

 

その1.1兆円――すなわち、日本の防衛費の5分の1――を仮に新型コロナ

ウイルス対策に振り向けたら、何ができるだろうか。

 

日本で年間1.1兆円あれば、集中治療室のベッドを15,000床整備し、人工

呼吸器を2万台そろえ、さらに、看護師7万人と医師1万人の給与をまかな

うことができる。

 

今年度の防衛費を個別項目でみていくと、護衛艦「いずも」を事実上の空

母に改修するための費用が31億円、同艦で運用するステルス戦闘機F-35B

を米国から6機購入するための費用793億円が計上されている。合計で824

億円。この金額で、全国にPCR検査センターを130カ所以上設置できる。

 

また、陸上配備のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を米国か

ら導入するために、129億円が計上されている。この金額で、高齢者をケ

アするヘルパーを4,000人増員することができる。

 

韓国では4月末に防衛費9,897億ウォン(約850億円)を削減し12.2兆ウォ

ンを新型コロナウイルス対策の支援金として国民に支給する補正予算を可

決している。削減された防衛費は、F-35ステルス戦闘機、海上作戦ヘリコ

プター、イージス艦などの費用である。

 

韓国のように武器や軍事のための費用を削ってコロナ対策に回すという議

論が、日本の国会でも今なされるべきではないか。

 

川崎哲

(協力:ピースボート)

2020.5.27

 

 

算出の根拠等:

1.防衛省『我が国の防衛と予算』令和2年度予算の概要

https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2020/yosan_20200330.pdf

2.軍事費とICUベッド、人工呼吸器、医師・看護師の給与を比較する手法

は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の「Nuclear Spending vs Healthcare」

https://www.icanw.org/healthcare_costs )にならったものだが、ベ

ッド等の費用については以下の通り日本の資料に基づいて独自に算出した。

3.ICUベッド:新型コロナウイルス感染症対策として政府は、ICUについ

て1床1日あたり97,000円を上限として補助を行う(厚生労働省、2020年4

月30日付)とあるので、この金額を基準にして年間3,500万円と計算した。

https://www.mhlw.go.jp/content/000627452.pdf

4.人工呼吸器:一般的なものとして1台200~300万円台のものが多いが、

https://www.4mdmedical.com/puritan-bennett-840-ventilator-refurbished.html

https://www.g-mark.org/award/describe/49157

上記厚生労働省の文書にて、人工呼吸器を1台整備するための補助上限が

500万円となっているので、これによる。

5.給与:厚生労働省・令和元年賃金構造基本統計調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001138086&tclass2=000001138089&tclass3=000001138093

を参考に、平均年収を医師1,200万、看護師500万、介護ヘルパー320万と

した。

6.PCR検査センター:東京保険医協会は、新宿区におけるPCR検査センタ

ー1カ所の委託費が月5,000万円であることから20カ所の設置に月10億円

必要としている。

https://www.hokeni.org/docs/2020042800015/

7.韓国の動き:しんぶん赤旗「韓国、軍事費削り支援金 F35など850億

円 全世帯に支給」2020年5月1日

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-05-01/2020050101_02_1.html

8.「武器を買うお金でこれだけのことができる」と題した本稿は、日本

の防衛費のうち、今年度新規に契約して支払う物件費(一般物件費)1.1

兆円に着目した。人件・糧食費を除く物件費は、広い意味で「武器を買

うお金」と称して差し支えないものと考える。ただし物件費の中には、

維持費や米軍基地駐留経費など直接的に「武器を買う」わけではない費

目もある。一方で、今年度契約して後年度に支払う分も含めた契約ベー

スの物件費は3.3兆円であり、うち「装備品等購入費」「航空機購入費」

「艦船建造費等」の合計は1.1兆円になる。このことからも、日本が今年

度「武器を買う」お金は 1.1兆円程度であるというふうに大づかみに理

解して問題ないものと考える。