カジノ問題の本質はマネー・ローンダリングにあり! | 真の国益を実現するブログ

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森友学園問題が大きく世間を賑わしています。大きくは、①国有地の格安払下げ(財務省近畿財務局)、②小学校認可規制の緩和(大阪府)が問題と考えればよいかと思います。

テレビ朝日の報道ステーションで籠池氏のインタビューが紹介されていましたが、次の言葉が本質を突いているのでしょう。
市政府政マターは維新を利用し、国政マターについては自民党の国会議員にうまく取り入ったと思っていた
市政府政マターとは小学校認可規制の緩和であり、国政マターとは国有地の格安払下げですね。


さて本題です。

自民党参議院の西田昌司議員と悪名高きワタミ創業者の渡邉美樹議員が、昨年12月に国会を通過した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(以下、IR法という)について、忌憚のない意見を述べています。意外なことに、司会の山本一太議員を含め、この3名はIR法に対しては、慎重派なのですね。(西田昌司議員は数年前から反対派の急先鋒ですが)

次の動画です。(カジノは28分頃から始まります)


瞠目すべきは、民進党等が反対理由あるいはカジノ解禁した際に必要な措置として強く主張している「ギャンブル依存」あるいは「ギャンブル依存症対策」は問題の本質ではなく、IR法の最大の問題は「マネー・ローンダリング」であると断定していることです。

実際に、IR法が衆議院通過後、参議院での議論において付帯決議として「マネー・ローンダリング」防止等が書き込まれました。なお、付帯決議はあくまで意見であり、法的拘束力は有しないとされています。

まず西田議員等がギャンブル依存問題に関してそれほど重視していない理由ですが、次のようなものです。
既に我が国においてはパチンコはじめ、公営にしても競馬や競輪等多様なギャンブルが合法的に行われており、ギャンブル依存症も多く、カジノ云々に関わらず、その対策に取り組まなければいけないことは言うまでもない。つまりIR法とは別個、それ以前の問題である。
・ギャンブル依存は、いわば人間の逃れられない性であること。
諸外国におけるカジノの本質、多額のマネーが動くのは、スロットル等のギャンブルというよりも、マネー・ローンダリングである。

では、マネー・ローンダリングとはどういったものでしょうか。
端的に言うと、汚いお金の流れをギャンブルでの勝ち負けに偽装し(洗浄し)、綺麗な(合法的な)お金に換えてしまうことです。

具体的には、政治家Aや役人Bへ民間人Cが賄賂を渡す際、カジノ内のあるゲームにおいて、AやBが勝ち、Cが負けたことにして、ゲームによる勝ち負けのお金の流れに偽装します。国外にお金を持ち出すケースにおいても、同様に活用できます。もちろん、これらの取引は、誰でもが遊ぶことが出来るルーレットやスロットルではなく、個室、いわゆるVIPルームで秘密裏に行われます。

カジノに大金を賭ける客を紹介したり、そうした客に対して宿泊先の手配や資金の融通などを行う仲介人を「ジャンケット」と呼びますが、そのような怪しい人たちがノウハウを持っていると思われます。

ここで付帯決議を見てみましょう。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/192/f063_121301.pdf



九においては、「個人番号カード(マイナンバーカード)」の活用を検討すること」とあります。
検討となっていますが、個人番号カードが活用されれば、カジノ利用者個人が特定できますね。

十一においては、先に説明した「「ジャンケット」の取扱いについてはきわめて慎重に検討を行うこととあります。
これも検討ではありますが、「ジャンケット」を排除できれば、多額のマネーの融通が出来なくなります。

十二においては「マネー・ローンダリング」の具体的な防止策として、「カジノの顧客の取引時確認、確認記録の作成・保存、疑わしい取引の届出等について、罰則を含む必要かつ厳格な措置
を講ずること。また、カジノにおけるマネー・ローンダリングの防止を徹底する観点から、厳格な税の執行を確保すること。」
とあります。
これらの措置が講じられれば、マネー・ローンダリングはほぼ不可能となります。

実際に、今後実施に向けた具体的な法令が議論されていく中で、これらの措置の実効性が担保されるか不透明ではありますが、実際にカジノ内でのマネーの流れがガラス張りとなり、ジャンケットの排除、そしてマネー・ローンダリングが出来ないとなれば、アジアの富裕層等大口客はまず来場しないでしょう。ひいては、売り上げは伸びず、当然、地域振興に資することもないでしょう。

筆者はIR自体それなりに売上げが上がろうとも、近隣のホテルやレストラン等集客観光施設の売上げを吸い上げる蓋然性が高いと考えるので、地域振興に資することはないという意見です。
参議院の付帯決議にあるような措置が講じられれば、IR自体の経営が成り立たず、それこそ廃墟となるでしょうね。既にIR推進派の議員からは、付帯決議が履行されればビジネスモデルとして成り立たないとの嘆き節も聞こえているようです。

次のような米国の外資が日本人の懐を狙って莫大な投資を行うとの報道がありましたが、これは入場フリーかつマネー・ローンダリング対策も特に措置されないような環境を見越しての計画だと考えられます。
『日本でのカジノ投資、最大100億ドルを想定=米LVサンズCEO』

今後注目すべきは、具体的な実施法制定議論において、安倍官邸、維新のIR推進連合が、参議院の付帯決議を無視出来るか、あるいは骨抜きにするか、それとも良識派常識派の自民党議員及び野党が踏ん張ることが出来るかですね。


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