(旧友との再会)今でも任侠は存在する | 真の国益を実現するブログ

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今日はいつもと趣向を変えて、旧友との再会について書きたいと思います。

旧友をSとしますが、彼はアウトローと言われる界隈で35年ほど生きてきた人物です。つい最近足を洗いました。

小中学校の同級生であり、私は大学まで進学、Sは中学卒業後普通高校には進学するも初日で問題を起こし退学、以降その道に入り、互いに全く異なる人生を歩んできたのですが、先日ふとしたきっかけで、共通の友人を介し、酒を飲みかわす機会を持った次第です。

Sは、そっちの道に進む人の典型にもれず、喧嘩と胆力が非常に強く、いわゆる校内では番長であり、各校の番長の中でも抜きん出た存在であったのか、某市全体の不良グループの中でもトップにのし上がるようになりました。
当時私のようなどちらかというと、勉学中心でまじめな少年がSと普通の付き合いが出来たのは、彼が勉学もそれなりに優秀で、かつ弱い者いじめを一切しなかったからだと思います。
Sは私に魅力なぞ感じていなかったでしょうが、私は少し憧れていたように記憶しています。

今では珍しいのでしょうが、理不尽な大人や弱いものいじめをする不良等を成敗するのがSの日常となり、不良グループの間では名を馳せるようになります。

中学校卒業後の詳しい経緯は聞かったのですが、その後広域暴力団に所属し約35年、もちろん少年院と刑務所暮らし、そして抗争も経験し、一方で家庭も持つという、堅気の人間には想像もつかないような修羅場を潜り抜けてきたようです。

さて、先日の酒席での会話ですが、私が一番嬉しかったのは、Sが明確に私のことを覚えていてくれたことに加えて、開口一番「俺は悪いことはやってへん、昔と変わってへんで」と真剣に語ったことです。

詳しくはこうです。Sは覚せい剤等の薬は売らない、女も売り飛ばさない、またオレオレ詐欺のような老人を騙すようなことは絶対にしなかったと。主な稼ぎは賭博(これも「悪」ではないかと考える方も少なからずいるとは思いますが)、そして土木建設会社を立ち上げ、そこからの収入で食ってきたと。工事受注に関しては、脅しまがいで下請けに入るようなことも一切なかったと言ってました。

結局、周囲が覚せい剤売買とオレオレ詐欺に稼ぎの中心を移していく中、抵抗し続けたそうですが、我慢ならず足を洗ったようです。他の理由として、「上から下まで、やつらはとにかく頭が悪い。」との発言が印象に残っています。

Sの尋常ならざるところは、周囲の覚せい剤売買とオレオレ詐欺に対して、少しでもそれらの非人道的な犯罪を阻止しようと動いてきたことです。彼にはそれが心底我慢できないようで、足を洗った今でも、後輩等が覚せい剤の売買に関わることが許せないと。俺は「その時はやるで(痛めつけてやるという意味)」と言ってました。さすがに、それは友人としてあまりに心配なので、「そっちの世界にもう関わるべきではない。命を大切にせよ」と忠告しました。しかし、あっさり「それは無理」と微笑んで答えてましたね。

おそらくSは足を洗ったとはいえ、これからも危ない目に会うでしょう。殺されるかもしれないが、この生き方だけは変えられないと断言しました。

別れ際には、酔っぱらいながら「俺を育ててくれた大好きなこの街では絶対に薬は売らせない!」と言って去っていきました。私は年甲斐もなく涙が溢れ出し、恥ずかしいので振り返らず、さよならも言わずに家路につきました。