皇位継承や皇室のあり方を論じる前に忘れてはいけないこと(衆議院憲法審査会より) | 真の国益を実現するブログ

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本年8月8日の天皇陛下のお気持ち表明会見を機に、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が設置されるなど、譲位を中心とした皇位継承や皇室のあり方に関する議論が政府や政党等で行われています。

しかし、そもそも皇位継承や皇室のあり方を一介の有識者、また一般人、そしてその代表である国会議員の意見に委ねて良いものなのでしょうか。
この疑問に関して、自民党衆議院の安藤裕議員が過日開催された憲法審査会において、世襲制と皇室典範を規定している憲法第二条の改正の必要性と絡めて意見を主張されています。

4分程度です。(中段辺りの「安藤裕(自由民主党・無所属の会)」をクリックすれば見ることができます)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=46206&media_type

皇位継承と皇室のあり方を考えるに際して、日本人として弁えておくべき思想的態度が凝縮されていますので、次のとおり文字に起こしました。是非お読みください。


「現行の憲法において早急に改正すべきは、まずは憲法第二条であると考えています。その理由を述べます。第二条では『皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。』と規定されています。先の天皇陛下のお言葉をきっかけに皇室典範や天皇陛下の譲位についての議論が始められています。有識者会議も設置をされ、その議論の内容についても、様々な報道がなされています。

 しかし、私はこの皇室のあり方や譲位が、国民的議論の対象となること自体について、少し違和感を感じています。皇位継承のあり方について、また天皇陛下の譲位について、私たちが口をはさむべき内容なのか、我々はこれに口出しをするほど日本の皇室のあり方について、日頃から熟考し長い皇室の歴史について熟知しているのか、そのことについてはなはだ疑問を感じるのです。

 そして一番問題であると考えるのは、憲法第二条の『国会の議決した皇室典範』という規定です。国会で議決をするとなると、私たち国会議員も当然皇室典範について発言しなければならなくなります。国会議員の発言となると、それぞれの議員の信条や価値観に基づいて発言が出てくる。これは極めて自然なことです。しかし、私たち政治家が発言を始めると、当然にこれは政治問題となってまいります。様々な集会で政治家が発言すればするほど、大きな政治課題となり、国論を二分するような議論に発展していく恐れがあります。これが結果的に皇室の政治利用に繋がっていくのではないでしょうか。

 長い日本の歴史を顧みても、世界最高の王朝である皇室が何故これほど長い間続いてきたのか。それは国の権威と権力が分離をしており、皇室は日本最高の権威を保ち、国を統治する国家権力は武家等が行使をしてきました。だからこそ、どのような権力者も天皇にとって代わろうとしなかったし、易姓革命のようなことは、この日本では起きることがなく、神話の時代から連綿として続く皇室が今でも継続しています。

 権威を権力と分離をさせておくことが、結果的には国の統一を保ち、今の象徴天皇制に繋がっているのではないかと思います。これからも天皇陛下の権威と国家の権力は分離をさせておくべきであり、これが今後も皇室が継続していく大切な要素であります。

 ところが、今の憲法第二条では『皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。』と規定されており、つまり日本の最高権威が国権の最高機関たる国会の下に置かれています。
 先人達が長い間培ってきた知恵である権威と権力の分離が、現行憲法ではなされていません。本来、天皇の地位は日本書紀における天壌無窮の神勅に由来するものであり、憲法が起草される遥か昔から存在するものです。これを後から憲法に文章として規定し、そこに国の権力の源泉となった国民主権を入れ込んだために、権威と権力の分離が出来なくなっています。

 私は皇室典範については、旧憲法のように国会の議決を経ずに、皇室の方々でお決めいただき、国民はこれに従うという風に決めた方が、日本の古来の知恵であった権威と権力の分離が図られると思いますし、皇位継承や天皇陛下の譲位について政治問題と化し、政局になってしまうことを避けることが出来ると考えます。だからこそ早急に改正すべきは第二条であることを主張したいと思います。
 皇室は憲法以前から存在をしており、我々が手を出せないところにあるからこそ、権威なのです。これを忘れてはならないと思います。」

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