経済問題を主に取り上げている人気ブログで、現政権での公共事業発注過多によって土木建設業は供給制約下にあるため、現状では公共事業中心の景気対策は相応しくないとの主張があったので、国土交通省等の統計データから、工事受注高等のグラフを作成してみました。
結論から言うと、平成24年度での10兆円規模の補正予算等もあり、平成25年から平成26年夏頃までは、公共工事受注高は大きく伸びてましたが、それ以降は大きく縮小してきています。建設技能労働者の需給も、若干タイトという程度で、問題があるように思えません。
なお、民間工事受注高は大きく伸びているので、民間と公共合わせた受注高は伸びていますが、都道府県別ではばらつきが大きく、地方においてはトータルで受注高が減少傾向にあるところも多々あります。以上から、地方を中心とした公共事業の追加発注は必要と考えます。
一応、断っておきますが、景気対策として公共事業しかないとは主張しません。低所得者に対する年金等社会保険料軽減策等が有効と考えます。また、景気後退時の補正予算での単発の公共事業の増発注では、土木建設業者は思い切った投資や人材獲得・育成に踏み切れないので、本来は当初予算で恒常的に公共事業予算を増額していくことが必要であると考えます。
さらに言うと、景気対策として公共事業を行うということでは、論理的に、好況時には、必要な公共事業も行われなくなる可能性もあるので、あくまで防災・減災対策、新幹線や高速道路網等のインフラ整備、老朽インフラ補修のための投資として、喫緊の国策として、位置付けるべきと考えます。
平成26年1月以降の建設工事受注高の対前年同月比の推移グラフです。平成26年夏頃からの公共の受注高の減少傾向が見てとれます。民間工事が好調ですので、全体ではプラスで推移しています。
平成24年7月以降、四半期毎の公共工事前払金実績の対前年比推移グラフです。これも先述のグラフ同様、平成26年夏頃から減少傾向が見てとれます。
平成27年1月以降の都道府県別工事受注高(民間+公共)対前年同月比の一覧表です。都道府県によっては、マイナスが続いている、あるいは大きく減少しているところが多々あるのが見てとれます。
国土交通省の「建設労働需給調査結果」から「建設技能労働者不足率の推移」のグラフです。依然不足ではありますが、平成26年夏以降不足率は大きく縮小し、7月時調査では、たった0.5%となっています。
最後に、再び労働需給がひっ迫したとしても、賃金上昇が景気には良い影響を与えると思いますけどね。
(追記)
冒頭でふれた経済人気ブログですが(あくまで想像です)、安倍政権発足前からの安倍自民党が掲げる積極財政の姿勢を支持、その後、安倍政権の財政出動に対する消極姿勢への転向を認めることが嫌で、何とか安倍政権のその転向を擁護するために、「安倍政権は依然積極財政を進める方針だが、公共事業は供給制約で無理だ」と意地を張って筆を走らせているとしか思えないのですが…