フランスに学ぶ移民問題 | 真の国益を実現するブログ

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1.フランス出版社襲撃事件~一連のテロ

2015年1月7日午前11時半、フランス・パリ11区にある風刺週刊誌を発行している「シャルリー・エブド」本社に覆面をした複数の武装した犯人が襲撃し、編集長らを殺害した事件が起こりました。その後も、多発的なテロが発生し、またそれに対する抗議運動も大規模なものとなり、フランスが揺れいています。

「シャルリー・エブド」には、イスラム過激派への挑発ともとれるイラストが掲載されていました。これを見て、おそらくイスラム教系の移民の怒りが爆発して、今回の事件になったものと思います。

2005年にも、パリ郊外で暴動事件が起こっています。この時は、北アフリカ出身の3人の若者が警察に追われ逃げ込んだ変電所で感電し、死傷したことがきっかけでした。

この問題は、単純に「平和が大事!」「テロは良くない!」などと、表面的な言論で終わらせて良いものではありません。この事件の背景には、フランスの歴史的な移民政策の経緯があり、それを勉強する必要があります。また、ドイツ主導でユーロ圏全体が緊縮財政になっており、不況と失業が長期化していることも背景にあると思いますが、その問題は今回は触れずに割愛します。

2.フランスの移民政策~歴史的な背景~

二度の世界大戦で働き盛りの男性が急減したフランスは、第二次世界大戦後、1975年までの経済成長期に安価で大量の労働力を必要とし、大量の移民を受け入れました。当時の移民として受け入れた外国人労働者の多くは、家族を連れず、男性1人で入国してくるのが普通でした。第一次オイルショックを契機に、移民受入れの門戸を閉じることになりますが、「人道的な配慮」というお花畑な政策のもと、既に入国している移民が家族を呼び寄せることは許容されました。こうして、労働者として入国した男性とその家族、さらにその子孫がその後も増加していくことになります。

【移民に関わる年表】
1974.7 第一次オイルショックを受け、原則として外国人労働者の新規受入れの門戸を閉じる。
1976.7 「家族再会法」で一定要件の下、家族の呼び寄せを認める。
1981.10 不法滞在者を正規化する特別法により、翌年までに約 12 万3千人に滞在許可を付与。
1989.9 スカーフ着用の女子生徒の授業出席を拒否する事件が発生。
1993.6 国籍法改正法により、国籍取得に「意思表示」を義務付ける。
1998 不法滞在者を正規化する特別法により、約6万8千人の滞在許可を付与。
1998.5 国籍法改正法により、国籍取得の際の「意思表示」を廃止する。
2003.11 03 年法(移民の抑制、外国人の滞在及び国籍に関する法律)により、一定地域外から査証申請する外国人の指紋登録、長期滞在許可を得るための滞在期間等の伸長を行う。
2004.3 宗教的表徴禁止法で学校において、宗教的な服装を身につけることが禁止される。
2005.6 差別対策・平等促進最高機関を設置。
2005.10 移民の少年が警察官に追われ感電死する事件が発生。これを機に、主に移民2世、3世による暴動が広がり、翌 11 月、シラク大統領が移民差別の存在を認めるとともに、秩序回復を訴えるテレビ演説を行う。
2006.7 06 年法(移民及び統合に関する法律)により、高度人材受入れの推進、家族の呼び寄せ条件の厳格化、10 年以上の滞在者に認められてきた自動的な正規化措置の廃止を行う。
2007.5 サルコジ大統領当選。
2007.10 国立移民史博物館の開館。07 年法(移民の抑制、統合及び庇護に関する法律)により、家族の呼び寄せに係るDNA鑑定の導入(実施のための政令は未決定)を行う。

3.歴史的な経緯から考察できること

移民は、「一度受け入れたら」終わり・・・ということです。

フランスも最初は、男性労働者を受け入れていたのですが、「人道的配慮」などといって、家族も結局は呼び寄せることになり、その子孫も増加していきました。また、これも「人道的な配慮」かもしれませんが、不法滞在者を正規化する特別法なども制定されています。

その後は、反動も起こっています。スカーフの女子学生出席拒否などです。しかし、反動と同時に、やはり「人道的な配慮」なのか、2005年には「差別対策・平等促進最高機関」を設置しています。

結局は、一度受け入れてしまうと、もはや「国民と同じ」ように人道的な配慮をしないと、不満が高まって何をするかわからないので、ズルズルと融和政策が拡大されてしまうのです。その一方で、元々の国民の不満も高まるので、反動がまた起こって、ますます対立が先鋭化する・・・この繰り返しです。

底なし沼のように状況は悪化していくだけです。

絶対に、異なる宗教・異なる価値観の人々は、互いに完全に理解しあうことなど不可能だし、「俺たちは差別されている」「私は被害者だ」という意識も生まれます。

なお、参考サイトによると、
「フランス本土における15歳以上65歳未満の年齢階層人口のうち、400万人が移民であった。これは、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の10%に相当するが、この比率は上昇傾向にある」
ということです。ここまで移民人口が増えると、当初のフランス国民は想定していたのでしょうか・・・。

日本も、移民を受け入れしてしまえば、フランスと同じ運命をたどることになるでしょう。

◆参考サイト
フランスの移民政策の現状と課題
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090601003.pdf

移民人口、生産年齢人口の約10%に
―失業率は非移民の2倍、政府が報告書
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2013_2/france_01.htm


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