数年ほど前から、日本に居住する外国人の所得税における扶養控除の不適切な取り扱いが問題視されてきました。
そして、会計検査院も実際にこの問題を特定検査対象として、内閣にその報告書を送付しています。
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary25/tokutei.html
最近では、当該問題に関して、NHKニュースでも取り上げられたり、また、地方議員の方のブログが、政治ブログランキング一位にもなりましたね。
問題の内容は次のとおりです。
(当該会計検査院の報告書はこちらで読めます。
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary25/pdf/fy25_tokutei_02.pdf)
外国人であろうと日本で得た所得には所得税が課税されます。当然ながら、日本人と同様、基礎控除や扶養控除等の課税対象額に対する税額の控除制度があります。
そして、扶養控除の対象者の範囲ですが、①配偶者以外の親族(六親等内の血族又は三親等内の姻族をいう)であること、②納税者と生計を一にしていること(別居でも常に生活費等の送金が行われている状態も含む)、③年間の合計所得金額(控除対象扶養親族が所得税法上の非居住者である場合には、国内での合計所得金額)が38万円以下であること、④16歳以上であること(年少扶養控除は平成23年分から廃止されてます)等となっています。
ここで、この扶養控除の人数が、外国人においてはかなり多く申告されていたケースが多々あり、結果、扶養控除額が多額に、最終的な税額が0、あるいは僅少になっていたということです。
具体的な数値を上げるとこうです。
平成24年分所得税の確定申告書等における扶養控除の申告額等が300万円以上と多額になっている納税者1,554人の内、外国人と確認された者が542人、日本人と思料される者が942人、不明が70人。日本人と思料される942人の内、配偶者が外国人であると確認された者は761人とのこと。
実質、上記扶養控除額が多額な納税者の8割強が外国人(配偶者含め)だったということです。その内、国外扶養親族を扶養控除対象としている者は、全体の9割とのこと。
控除対象扶養親族の人数ですが、国内扶養者では平均5.9人に対し、国外扶養者では平均10.2人とかなり多くなっています。また、所得金額の階層が高額になるほど、納税者一人当たりの国外扶養親族の人数が多くなり、国外扶養控除適用額が多額になる傾向にあるようです。
当該外国人が、日本国外で暮らす扶養控除対象とした親族や姻族に対して、日本で稼いだ収入を送金し、実際に扶養しているのなら問題はないのですが、国外扶養者平均10.2人はやはり多い。扶養控除申告を誤魔化していると考えざるを得ないですね。
原因としては、族柄証明や送金証明等等税務署への納税者からの提出、税務署の確認が不十分だということです
今後、法改正まで行うか、あるいは税務署の検査体制の強化等で済ませるのか、いずれにせよ、会計検査院の推計では、約5億円もの所得税が減少しているということですので、改善が求められます。
ただし、最後に、次のことを指摘しておきます。
ネット上では、この問題を在日特権(実際にあるかないかは別にして)や中国人問題と捉える書き込み等が散見されますが、実態はやや異なるようです。
上記会計検査院の調査対象となった国外扶養親族12,786人の内、居住国がフィリピン共和国の方が8,342人、なんと約7割を占めています。(以下、ブラジル1,330人、中国821人)
フィリピン共和国に関しては、新自由主義的な改革の影響や度重なる自然災害等により、経済状況が苦しく、人口爆発が起こる中、実際の失業率は3割近くあるとも言われており、海外への出稼ぎに依存せざるを得ない社会構造にあることも事実です。
http://www.digima-japan.com/news/20402/20140212-3.html
筆者は、なにもフィリピン人やフィリピン共和国に恨みがあるわけでありませんが、この外国人の扶養控除問題に関しては、中国、韓国人批判や外国人に甘い行政の体質といった視点からだけではなく、フィリピン共和国の経済状況や社会構造が背景にあるということを認識する必要があると考えます。
もちろん、安倍政権が推進する移民政策や外国人優遇政策、グローバル化政策を考える上でも、この視点は必要です。
