金融エコノミスト アナトール・カレツキー氏のコラムに注目! | 真の国益を実現するブログ

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 11月4日に配信されました金融エコノミスト アナトール・カレツキー氏のロイターへの寄稿コラムが秀逸であり、非常に嬉しかったのでご紹介しておきます。京都大学の藤井聡教授も絶賛されてましたね。

こちらの記事です。
『コラム:危機後の金融・財政「実験」が告げる教訓=カレツキー氏』

要約すると、こうです。

1 2008年以降の金融危機以降から得た教訓は、ゼロ金利や量的緩和といった金融政策上の実験よりも、税と公共支出に関する政府決定の方が経済活動のけん引役として重要であるということ。つまり、緊縮財政をとった国々は、ほとんどが低成長に苦しみ、一方、財政支出を拡大し、財政再建を棚上げした国(財政支出拡大期)においては、成長と財政面で概して良い成績を収めた。

2 高インフレ期には、民間の経済活動を刺激、回復させるのには、十分なだけ金利を引き下げれば良いとする考え方にも妥当性があった。しかし、先進国中央銀行が超低金利を何年も続けると約束している今、さらなる利下げにより民間需要を刺激することは不可能となり、この結果、あらゆる財政赤字削減は紛れもないデフレ要因となった。
今後、1、2年、そして2010年代末に至るまで、金利が大幅に上昇するリスクがない中、財政支出拡大は確実に景気を刺激することが可能である。

 これらに関する理論的根拠も端的に述べられています。そのまま抜粋します。(ここ重要です)

一般に景気後退は、民間企業と家計が借金を減らしたり貯蓄を増やす目的で、支出を収入水準よりも抑えると決断した時に起こる。危機後に明らかに見られたように、この「デレバレッジ」が民間セクターで起こっている際には、単純計算で分かる通り他の経済セクターが収入を上回る額を支出することでしかバランスを修復できない。そうした支出過剰は、その「別のセクター」が喜んで債務を増やすことによって初めて可能になる。世界全体で見ればゼロサムである輸出入を度外視すれば、バランスを保つというこの決定的役割を果たせる唯一の「他のセクター」候補は政府だ。従って、企業や家計が支出を収入以下に減らして貯蓄を増やすと決めた時、政府が借り入れを増やさなければならないのは数学的必然性である。 
 特に、我が国においては、民間セクター、特に民間企業が投資に消極的であり、しかも内部留保を貯めこんでいる状況ですので、政府が借り入れを増やし財政支出を拡大することでしか、マクロ経済バランスを保つことはできないのです。(輸出拡大もバランスを保つ一要素ではあるのですが、世界的な成長鈍化が起こっている中ではかなり厳しいと言わざるを得ません。)
 したがって、財政支出拡大により景気が好転、税収増加によりプライマリーバランスが改善しても、十分な民間セクターの借り入れが増えない状況では、マクロ経済バランス上は、必ずしも改善したとも言えないわけです。

 ここで、アナトール・カレツキー氏についてご紹介しておきます。(ロイターの記事そのまま転載)
<*アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。>

 手前味噌になりますが、筆者は以前から氏の記事に注目していました。
 金融エコノミストの経済予測は当たらないことが多いのですが、氏は現在の米国の景気回復についても、予測されていました。
 
 特に読んでいただきたいのが、次の記事です。少々古い2月26日配信の同じくロイターへの寄稿コラムからです。
『コラム:中国で金融危機が起きない理由=カレツキー氏』

 既に2月の時点から、中国の不動産バブルの崩壊、それに連動した地方政府の債務超過とシャドーバンキング問題が一部表面化し、数百兆円とも言われる不良債権が、中国の金融システムにリーマンショックのような危機をもたらすと言われてきました。さらには、中国経済の減速と相俟って、近い内に危機が起こると多くのエコノミストは予測していました。
 しかしながら、氏はこの時点で、明確に中国で信用危機や金融危機が起きるとの予測は誤りか、少なくとも時期尚早であると主張されていました。
 もちろん、人類が経験したことがないような巨額の不良債権処理が今後どうなっていくのか、またそれが金融システムや世界経済に与える影響は予測できることではないのですが、少なくとも2月から8か月経過した現在、大きな金融危機には至っていません。

 氏の論理はこうです。
 中国指導部は、産業構造改革、経済の安定性、金融改革という3つの目標に取り組む一方で、この3つ全ての同時進行は不可能かもしれないと認識しており、深刻な危機を回避するためには、適切な成長率を維持することを優先するであろうと。そして、それは可能であると。何故ならば、中国人民銀行は独立性がなく、政治主導部の承認なくして重大な決定を下すことはできないので、政府による救済策を共産党が用意するからであると。
 ここで、金融システム安定維持のための方策があるか否かが問題になるのですが、氏は「中央政府の手足である国有銀行が支配する比較的未発達な金融システムは実際、市場原理型で複雑な民間金融機関のネットワークよりも安定させやすい」と。
 また、こう続けます。「政府が破たんしない限りは破綻に追い込まれることはない。そして、中国政府はおそらく世界で最も支払い能力のある「金融機関」なのだ。」。さらには、「中央政府は、破綻した銀行や地方政府の救済を引き受けるには十分過ぎるほど頑強な財政を有する。さらに重要なことには、中国が世界最大の貿易黒字国であるだけでなく、海外への資本移動を完全にコントロールしているほか、3.5兆ドルの外貨準備高があることだ。」と続けます。

 用心は必要ですし、氏の論を100%信じるのも危ないのでしょうけど、やたらと中国経済の危機を煽る右派の評論家の方が100倍怪しいと思います。
 筆者は中国経済との過度な結びつきや依存には反対でありますが、中国崩壊論も財政破たん論同様、ここ20年来ずっと言われてきたことです。
 とにもかくにも、アナトール・カレツキー氏のコラムには注目です。

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