『PPP/PFIの推進なんて、冗談じゃない！ 』
「ＰＰＰ/PFIの推進による民間投資の誘発」について、先月に自民党政務調査会名で策定された「日本経済の力強く持続的な成長に向けた総合政策集2014」に掲げられています。
PPPとは、公民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム（パブリック・プライベート・パートナーシップ：公民連携）のことですので、この定義からは問題ないでしょう。公民連携は、いつの時代にも必要ですし、何も今に始まったことでもありません。
http://www.pfikyokai.or.jp/about/
ただし、具体的な施策として上げられているＰＦＩにせよ、市場化テストにせよ、その内容には問題が多く、さらに言うと、その根底にある思想は唾棄すべきものと考えます。
なお、PFI（プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ）とは、公共施工等の設計、建設、維持管理及び運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方です。
ここ２０年来世界を席巻した市場原理主義に基づく、競争がない官よりも、競争環境下において切磋琢磨した中で生み出される民の効率的な利益重視の経営の方が望ましいという、美辞麗句を並べた抽象論の典型ですね。
ご紹介させていただいたブログ「PPP/PFIの推進なんて、冗談じゃない！（岐路に立つ日本を考える）」においては、特にＰＦＩにおける民間企業の料金設定に関する問題について指摘されておられます。当たり前の話ではあるのですが、民間企業は収益ありきですので、不当に従業員の賃金等を抑制しないのであれば、料金は高めに設定される可能性が高くなりますね。（低賃金の外国人労働者の活用が進むのかな？）
現状でも既に公立病院等の運営において、ＰＦＩ事業が始まっています。
http://www.data-max.co.jp/2009/10/pfi_3.html
筆者が思うには、「民間の資金とノウハウの活用」と言いますが、そもそも道路等の公共事業にせよ、元々官が行ってきた（社会インフラにおいては、むしろ官にしかノウハウはない、公立病院の歴史も古い）事業であり、「民間のノウハウ活用」という時点で噴飯ものです。資金についても、長期金利が至上最低を更新する中、民間資金がダブついている状況で、緊縮財政という間違った処方箋を続けている経済財政における大本の方針が間違えているのであり、官が超低金利の公債を発行して、ダブついている民間資金を吸収して使えば良いだけのことです。
総合政策集には次のような内容も記載されています。
「例えば、関西国際空港・伊丹空港や民活空港運営法に基づく仙台空港等における公共施設等運営権制度（コンセッション）の導入の着実な推進、都市再生と連携した首都高速道路の更新など、ＰＰＰ／ＰＦＩ手法を活用することにより民間投資を最大限誘発することは、我が国の立地競争力強化や国土強靭化に資するものである。」
空港については、外国資本が入った場合においては、安全保障上多大なリスクを抱えることになりますよね。もちろん、日本の富が海外に流れてしまうという問題もあります。（残念ながら、既にそのような方向で進んでますが… http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013101101002540.html ）
国土強靭化を目指すのであれば、道路や港湾施設等社会インフラの整備運営について、官民連携は必要だとしても、冗長性（※）も鑑み、官主導で進めるべきではないのでしょうか。民間の利益・効率優先では、必ず冗長性が犠牲になります。
※冗長性とは（コトバンクより）
余分な部分が付加されていること。また，それにより機能の安定化が図られていること。特にコンピューター‐ネットワークで，情報を伝達する際に，情報が必要最小限よりも数多く表現されること。これにより安定的に情報伝達を行うことができる。余剰性。リダンダンシー。
国土強靭化基本法に基づく、数値目標の達成・具現化は、安倍政権が推進している数々の施策の中で、唯一と言ってもいいほど、まっとうな施策です。
ただし、利益や効率性ばかりを優先しては、人命の保護や社会インフラの整備維持等が進むとは思えません。
安倍政権は、民間資金に頼らず、公の資金により、真面目に社会インフラの整備・運営を進めよ！
