成年後見制度その2

成年後見制度の課題

社会福祉協議会

 社会福祉協議会は、「社会福祉法」第109条および110条に基づき、市区町村、都道府県並びに全国レベルで設立された民間団体(社会福祉法人が多い)です。様々な事業を通して「地域福祉の推進を図ること」を目的とし、社会福祉全般に関することを行っています。
 さて、社協には「日常生活自立支援事業」(旧称「地域福祉権利擁護事業」)という事業があります。これは、簡単に言うと「少し判断能力に難があるが、一応はサービスの内容がわかる」人であれば利用できます。注意していただきたいのは、このサービスは利用者との「契約」に基づくものだということです。契約ですから、当然、当事者の判断能力、行為能力(法律行為を有効になし得る能力)が必要です。
 具体的な支援内容は、(1)福祉サービスの利用援助、(2)日常的金銭管理サービス、(3)書類等の預かりサービス、などです。対象者は成年後見類型で言えば「補助類型」レベルとも言われていますが、サービス利用料も安価ですから、判断能力の衰え方によってはまずこうしたサービスの利用を考えてもよいかもしれません。

成年後見開始の申立手続き

 法定後見制度の場合はすぐに後見(保佐・補助)開始の申立を行いますが、任意後見制度の場合は、任意後見監督人選任の申立の前に一連の流れがあります。まず、任意後見人になる予定の人と支援してもらう内容(代理権の範囲)を定め、公証人役場で公正証書を作成します。すると、本人・任意後見契約の受任者の氏名・住所の他、代理権の範囲等が法務局に登記されます。そして、委任契約者の判断能力が不十分になったところで、はじめて当該申立を行うことになるのです。
 申立を行うときは、管轄の家庭裁判所に必要な書類(注1を提出します。東京家庭裁判所の場合、申立人・後見人等候補者及び本人から即日事情聴取が行われます(法定後見の場合)。その後、鑑定・家族照会・本人調査が行われます。そして、これらを経て、審理、審判、審判確定と進み、ここで後見登記が法務局において行われます。後見人は、本人の財産目録や年間収支予定表、後見事務計画書を提出します。
 後見人としての職務はここから始まりますが、基本的には、本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、財産を適正に管理し、必要な代理行為を行っていくことです。そして、家庭裁判所に対して、1年に1回程度の報告を行わなければなりません。

注1

(1)申立書類:申立書、申立事情説明書、本人の財産目録及びその資料、本人の収支状況報告書及びその資料、親族関係図、後見人等候補者事情説明書/任意後見受任者事情説明書、(2)本人についての書類:戸籍謄本、住民票、後見登記されていないことの証明書、診断書、愛の手帳の写し(知的障がい者)/後見登記事項証明書、任意後見契約公正証書の写し、(3)候補者についての書類:成年後見人等候補者/任意後見監督人候補者の戸籍謄本・住民票、(4)申立人についての書類:戸籍謄本、等

任意後見制度の課題

 任意後見制度には注意を要する点があります。「移行型」といわれる財産管理・身上看護に関する「任意代理契約」と「任意後見契約」をセットにした契約の場合、任意後見監督人の選任までの期間に不祥事が起きやすくなっています。これは、後見受任者を監督する者がいないため、本人の財産管理は後見受任者の裁量次第ということになりかねないからです。もちろん、後見受任者は付与された代理権の範囲内で法律行為を行うことが必要ですが、これを踰越してしまうケースが生じやすいのです。また、後見受任者は、本人の判断能力が低下したら任意後見監督人選任の申立を行うべきですが、これを不当に引き延ばす事例が発生しています。

成年後見制度その1

社会的背景と制度の概要

社会的背景

 「国民の2.5人に1人が65歳以上」――こんな社会を想像できますか? 冗談ではないのです。2008年版『高齢社会白書』によると、現在、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は21.5%。2055年には40.5%まで上昇すると予想しています。実に「世界のどの国も経験したことのない高齢社会になる」ということなのです。
 こうした高齢社会を背景に、成年後見制度は民法などを改正して平成124月にスタートしました。ここで、成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数を確認しておきましょう。裁判所が公表している資料によると、平成12年度から平成19年度までの累計は15万件足らずです。一説に、日本で成年後見人等を必要とする潜在人口は150万人と言われていますから、まだわずか10分の1ということになります。
 一つ、忘れてはならないことがあります。同制度の対象者は精神上の障がいにより判断能力が衰えた者ですから、高齢社会の進展に伴い増加を続ける認知症者ばかりでなく、精神障がい者や知的障がい者も利用できるということです。こうした子供を残したまま先立つ親の心配や不安は切実なものがあるのです。

制度の概要

 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度……判断能力が低下して、すぐに支援を受けたいときに、家庭裁判所に後見人等を選任してもらいます。特定の支援者(後見人等の候補者)を同時に申し立てることもできます。
任意後見制度……将来の判断能力の低下に備えたい場合、判断能力があるうちに、支援してもらう人との間で支援の内容を公正証書で契約しておきます。そして、判断能力が低下したときに、任意後見監督人選任の申立を行うことによって、速やかに支援してもらいます。

成年後見制度の種類とその内容

法定後見

任意後見

後見

保佐

補助

現在の判断能力に問題はないが、将来に備えて契約する者

対象者
(判断能力の程度)

判断能力を欠く常況にある者

判断能力が著しく不十分な者

判断能力が不十分な者

裁判所に申立できる人

本人・配偶者・四親等内の親族等
(親族等の申立人がいないときは市区町村長)

本人・配偶者・四親等内の親族、任意後見受任者

申立の本人の同意

不要

必要

支援する人

成年後見人

保佐人

補助人

任意後見人

後見人等への報酬

本人の支払能力に応じて裁判所が決定

契約で定めた額

支援者の同意権・取消権

本人の法律行為すべてを取り消しできる

民法131項各号所定の行為

申立の範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」

契約で定めた事項についての代理権(任意後見人に同意権・取消権はない)

日用品の買い物等は取り消しできない

同意権・取消権を与えるには本人の同意は不要

本人の同意が必要

支援者の代理権

全ての法律行為

申立の範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」

本人の同意は不要

本人の同意が必要

後見監督人

必要と判断すれば、家庭裁判所が選任

必ず選任

改正年金法と年金加算法成立

 社会保険料の延滞利息を軽減する改正厚生年金法と、記録ミスで支払いが遅れた年金に物価上昇分を加算する年金加算法が二十四日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 延滞利息軽減法は厚生年金保険料を滞納した事業主が払う一四・六%の延滞金利率を三カ月以内の遅延に限って七・三%に引き下げる内容。ただ当面は日銀が定める基準割引率に四%を足した利息を適用するため四・五%となる。来年一月一日から施行する。

 一方、年金加算法は年金が未払いになっていた場合に過去の物価上昇分を上乗せして払う。時効を適用せずに五年以上さかのぼって年金を払う年金時効特例法にあてはまる人が対象。