ネットにあった記事の中に、同じ不動産屋を通して契約した物件であるにもかかわらず、10年前、自分が契約した時は「マンション」とあったのに、新たに入居した方は「アパート」として契約していた、なんていうものがありました。
まず「アパート」なるものですが、これは和製英語だそうで、本来はフランス語の「アパルトマン」で、賃貸物件の意味だとか。
同種の共同住宅のうち、比較的大規模、豪華なものは「マンション」と呼ぶのが一般的ともされます。
なお、本来のマンションは「豪邸」を意味するのだそうで、これまた日本独自の意味だとか。
あえて言えば「アパート」よりも「マンション」に住んでいると言った方が格が上になると思います。然るにその違い、その区分はどこにあるのか。
アパート VS マンション
建築基準法、宅地建物取引業法ではいずれも「共同住宅」と称されており、法的には、特に両者の違い明確にされているわけではないとされます。
ただし、一般的な基準として、
アパート 木造又は軽量鉄骨 2~3階
マンション 鉄筋又は鉄骨鉄筋コンクリート 3階以上
というものがあるようです。
実際は、家主や不動産屋が、あえて言えば勝手に命名しているわけで、それがいけないということではないようです。
確かに、住人にしても「アパートに住んでいる」というよりも「マンションに住んでいる」と言った方が外聞がいいでしょうし、家主や不動産屋もまた、「アパートを持っている(経営している)」なんて言うよりも「マンションを持っている(経営している)」なんて方が箔が付くはずです。
しかし、少し高級そうなアパートはみな「マンション」なんて言うようになりますと、この言葉、名称の持つブランド的なイメージが下落してくるもの。
そうなると、今度は「ハイム」、「ハイツ」、「コーポ」、「カーサ」、「ヴィラ」、「レジデンス」、「アビタシオン」、「ドルフ」なんて、またまた、わけのわからん横文字の言葉を付けたりもする。
いっそ、
じゃあ、おまい、アビタシオンとドルフの違いは何なのだ?
なーんて追及しても、まともに答えられる方がいるのか否か。
全く同じものでも、こういった外来語(※ 昔は「ハイカラ」、あるいは「舶来」なんて言葉も使いましたが)を用いますと、なんとなく高級そうに思われるもの。
「米」を「ライス」に、「夏ミカン」を「サマー・オレンジ」に変えたりもしてましたねえ。
んで、ちょっと気取った洋食店(西洋料理店)なんかに行って「ご飯を」なんて言おうものなら「ライスですね」なんて直されたりもする。
なお、こういう横文字志向は、そもそも西洋文明に対する劣等意識に基づいたものだと言われます。
しかし、単にそれだけではなく、先の「マンション」という名称のように、その曖昧な意味性が、聞くものに高級そうなイメージを与えるであろうと意図して用いるということもあるように思います。
右っぽい、いっそ、ライトウイングなんて言ったら張ったおされそうなので右翼の頑迷な方ですと、
わけのわかんねー鬼畜米英の敵性用語なんか使いやがって
日本人なら日本語を使え!
なーんてねえ。
「ゴールデンバット」から改称された「金鵄」(タバコ)
んで、野球の場合なら「ピッチャー」でなく「投手」、「キャッチャー」でなく「捕手」ぐらいならいいんですが、「籠球(ろうきゅう ー バスケット)」、「排球(はいきゅう ー バレーボール」なんてものになりますとねえ。
字を見ただけでは何の球技なのかわからないことだってあります。
さてさて、言葉というものは、その意味する内容において誰しもが共通の認識を持つことにおいてコミュニケーションが成立するはずです。
落語で、病人が出たため「医者(いしゃ)」を呼んで来いと言ったのを「石屋(いしや)」と聞いた方が、「もう長くはないということで、墓石の準備でもするのか」なんて思った、なんてのがありましたが、これでは困るのであります。
先のアパートとマンションの話で言えば、家主が、「アパートなんて言ったら辛気臭いから、マンション、いや、いっそハイツにしよう」なんてするのは構わないんですが、不動産屋で広告を見た方が「~ハイツ」なんてものに興味を持って、実際に行ってみたら、どー見たってアパートだろうが、ってことだってあると思います。
しかし、「売り手と買い手(あるいは借り手)」の関係で言いますと、売る方、貸す方とすれば、その商品をより高く売りたいわけでしょう。
例えばの話「アパート」であったら家賃が3万円が相場とするなら、これを「マンション」とすれば5万円出しても借りたいという客もいる?
先に書きましたように、住んでいる方だって「アパート住まい」というよりも「マンション住まい」と言った方が聞こえがいい、とか。
あるいは、どー考えたって「アパート」にしか見えないのに、家主が、どーしても「マンション」だと言い張る場合だってあるかもしれない。
して、最近はぐんと減ったようですが、かつて繁華街には相当怪しげな客引きがいたとされます。
お客さん、いや、社長、社長!
可愛い子いるよ
ほんとだって、ぜったいに嘘いわないから
あっしの、このシンナーのように透き通った目を見てよ
んで、ついその気になって入店したら。
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君さー、誰かに似ているって言われたことない?
(アメノウズメミコトとか・・・)。
(※ 天の岩戸の前で裸踊りした女神様です)
よく、マリリン・モンローに似てるって言われるわ、あたし
まあ、目は二つで鼻は一つ、口も一つだから、似ていると言えば似てるでしょう。
少なくとも一つ目小僧のような妖怪ではない、と。
詐欺ではないか、なんて言う方もいるかもしれませんが、なんせ「可愛い」か否か、なんてのは、その方の主観に基づくもの。
この場合、客引きが嘘を言った、騙した、ということにはならないはずです。
宣伝、CMなんかには、多少のはったりや脚色、誇張ということだってあるでしょう。
ただ、さすがに極端なものは誇大広告となり処分されるはずです。
ここまでくると、もはや犯罪ではないか、と
まあ、「騙される方が悪い」なんて言いますけどねえ。