石巻市渡波にある慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」。
秋の祭りが、サン・ファン・バウティスタ出帆記念祭にござります。
素晴らしい秋晴れの中、ご披露した演武『東雲』は、慶長奥州地震・津波から復興へと立ち上がるため、政宗様が大きな夢を支倉常長に託す物語にございます。
政宗
「困難に怯まず、挑み続けることが伊達の心得。
常長、わしは今、ひとつの夢を描く。
船を造り、海を越え南蛮と交易を結び、
仙台を、洋の東西の架け橋といたすのじゃ。」
政宗様は常長に問います。
政宗
「常長、あの日の夜、月は浮かんでおったか?」
慶長奥州地震は旧暦10月28日、月は新月に近く、晴れていても細い光だったはずです。政宗様は常長に言います。
政宗
「わしは、闇夜を照らす月となる。
常長、お主は闇夜から浮かぶ東雲の光となれ。」
常長
「ははぁ!
東の空からこの仙台に、昇る朝日となりましょう!
サンファンバウティスタ号よ、帆を揚げよ!!」
東雲の最後は日本と異国の空の下、それぞれが想いを互いに馳せるものでした。
今年2020年は拙者、常長帰国から400年の帰国の年です。拙者はどうしてもこの『東雲』の続きとして、帰国の物語を創りたかった。
悲しみはある。悔しさもある。しかし、常長は帰ってきたという物語が。
その演武を『月明り』と名付けました。
スペイン・ローマでの交渉を成功させられず、成果虚しく日本に帰国した常長は、心の内を吐露します。
常長
「闇夜に浮かぶ月を、我が道標と思い、
今日まで歩いて参りました。
政宗様からお預かりした書状の返書を
頂戴することはできず、
サン・ファン・バウティスタ号も
ついには手放してしまい、
今は海の彼方にございます。
それでも拙者は、生きて帰るのが使命と心得、
この地に帰ってまいりました。」
その常長に歩み寄る政宗様に、常長は平伏し、声を張り上げます。
常長
「御屋形様!
支倉六右衛門常長、
只今帰国仕りましてござりまする!」
政宗様は常長にこう語り、その大役を労ったのでした。
政宗
「常長、我が夢は潰えぬ。
たとえ船を失おうとも、そちがいてくれれば、
我が夢は国を越え、時代を超え、必ず届く。
常長、大儀であった!」
と。
来年3月で展示を終了することが決まっている復元船サン・ファン・バウティスタ号。
今ある船を見ることができなくなっても、形や大きさが変わっても、決して変わらない思いがある。
そのことを少しでも感じていただけるような物語になっていれば、誠に嬉しい限りにございます。
復元船サン・ファン・バウティスタ号を愛する全ての方、伊達政宗公の夢や支倉常長の旅路に想いを馳せる全ての方が、この船を記憶に残し、想いを刻んでくださりますように。
支倉六右衛門常長
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11月6日(金)から1月24日(日)まで
サン・ファン・イルミネーション2020ーThe Finalー
がございます。
素晴らしいサン・ファン号の点灯をお楽しみください。今年は12月の土日に限り(12/6、27を除く)、館内の中段野外広場(今日演武をやった場所)まで入れるそうです。詳しくはホームページをご覧ください!
https://www.santjuan.or.jp/special.html
さらに、毎月一回の伊達武将隊バスツアーで、サン・ファン館をはじめとする石巻・女川を巡ります。
今回は1泊2日のツアーになります!是非お越し下さりませ!
お申し込み開始は11/7(土)12:30からです。
詳しくは宮交観光サービスのホームページをご覧ください!
http://www.miyakoh-kanko.co.jp/bustour/index.php?cate=stay_tour&action=detailsp&id=2020
皆様のご参加お待ちしてます!!