【暇な高校生】
高校に入学して、バスケットボール部に入部したが、1学期にはやめてしまった誠は暇な高校生活を送っていた。
学校と家の往復だけ。
やはり人は暇になるとろくなことをしなくなる。
友達と学校帰りに街をブラブラ歩くことや、ゲームセンターにいることが多くなった。
家に遅く帰宅して、心配している母親を見ていた姉は、誠に対して怒って、帰ってきた誠を玄関で胸ぐらをつかんで叱ることもあった。
まだ携帯やスマホもない時代だった。
公衆電話から家に連絡することもしなかった。
別に生活が荒れているわけではなかったが、どこか心の充実を求めて何かをしていたかったのであろう。
そんなある日、市の中心にある繁華街の駅でいつものように友達とブラブラして歩いている時に、1人の女子高校生が駅の改札を通るのを見かけた。
どこか見覚えのある女の子だった。
誠が、中学校の時、好きで高校の合格が決まった時の勢いで告白したその女の子だった。
誠は気が付いたら、持っていた定期券で改札を抜けて、その女の子を追いかけていた。
ホームに着くと、その女の子は停車中の電車の中でイスに座っていた。
誠も車両の中に入ろうとしたその瞬間、女の子と目が合った。
一瞬、驚いた表情を見せたその子。
誠は少し微笑んだ。
しかし、その子は気まずさからか、とっさに顔をそらした。
電車の中に入ろうとした誠の足はほ電車の手前で止まった。
電車の扉は発車のベルを鳴らして、ゆっくりと閉じていった。
女の子を乗せた電車は徐々にスピードを上げてホームにいた誠から離れていった。
まだ15歳だった女の子は、告白してきた相手が現れ、ただ気まずかっただけであったと思う。
しかし16歳になったばかりの誠にとっては、今何も頑張っていない、何にも挑戦をしてない、ただダラダラと生きている自分を、彼女が軽蔑の目で見てるのではないか、と思った。
部活や勉強に頑張って光り輝いている同世代の高校生が眩しくて、うらやましかった。
誠は自分を責めた。