【ボクシングジム】
勘吉が、
「誠がボクシングしたいなら一緒にしようぜ。俺も前のジム舐めてしまったから一緒に新しいジム探そうぜ。」
そこから勘吉とジム探しが始まった。
場所や会費、何を基準に選べばいいのかがわからなかった。
とりあえず高校の帰りに寄れそうな、場所を中心に探した。
当時はインターネットがなかったので、電話帳を元に探した。
そして一つのジムが候補にあがった。
そこのジムは「中条ジム」というところだった。
誠の家からは少し離れていたが、勘吉の家から高校の間にあった。
誠も電車通学だったので、自宅の最寄り駅を少し過ぎてもたいして気にしなかった。
暇な高校生にとって時間はかなり余っていた。
勘吉と相談してそこのジムに見学をしに行くことになった。
高校での授業が終わり、校舎を出て駅から電車に乗って、そこのジムの最寄り駅に向かった。
勘吉は二個目ののジムだが、誠にとっては初めてのボクシングジムである。
道中、怖いやら冒険気分やらいろいろな感情が入り混じっていた。
しかし、何もやることがない暇な高校生が新しい自分への第一歩を歩んだのだ。
まずは何事も一歩から、あれこれ心配するよりまずは行動を起こす。
人は時に、実態のない恐怖に怯えて行動ができないときがある。
そんな自分のでもいい。
怖くてその扉の前から逃げたったていい。
今日はその扉の前まで来たのだから。
明日は、明後日はそのノブに手をかけるだけでいい。
そしてそのノブを回すのに時間がかかってもいい。
まずは動くこと。
誠が父から言われてきたことだった。
動けなければ、決意するだけでもいい。
とにかく人生は七転び八起きだ。
7回断念しても8回目、9回目にまたチャレンジだ。
誠と勘吉はジムの前に到着した。
ジムはビルの中とかではなく、一軒のプレハブ小屋で二階建てのようだ。
そして誠はジムの扉にノックしたあと、ゆっくりとノブを回した。