ジムの扉を開けた瞬間、目の前には異様な光景が映った。
「会長」と呼ばれる人が角材を持って、男性をビシバシに叩いているのだ。
「なんだここは?」それが誠と勘吉の第一印象だった。
名前は中条会長という人だった。
それから、誠の苦しい日々が始まった。
練習は月曜から土曜、一日4時間練習。
名門のスポーツクラブであれば当たり前の練習量かもしれないが誠にとっては苦しい日々になった。
入門してから間もないある日、会長が、
「そういえば誠と勘吉は帝進高校だったよな?」
「はい。そうです。」
「こいつも帝進高校の3年生だぞ。」
そう言って紹介された選手、それが小塚先輩だった。
誠と勘吉の一つ上の先輩だった。
学年が違うと高校内でも階や校舎が違うので全然気づかなかった。
その小塚先輩が、
「よろしくな。」
そう言って、シャドーボクシングを続けた。
※シャドーボクシングとは、鏡を見ながら自分のフォームをチェックしたり、対戦相手を仮想したりして見えない相手にパンチを繰り出して練習すること。
ジムに高校の先輩がいたことがわかり、誠と勘吉は嬉しさと心強さを感じた。
そしてその先輩が輝いて見えた。