[パリ 13日 ロイター] 米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は13日、フランスの長期ソブリン信用格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。最上級に据え置かれたドイツより1段階低くなったことは、3カ後に大統領選を控えたサルコジ大統領に打撃だ。
S&Pは今回、フランスの短期ソブリン信用格付けの「A─1+」は据え置いた。またこれに伴い2011年12月5日に行ったフランスを格下げ方向で見直すクレジットウォッチへの指定を解除した。
ただ長期ソブリン格付けの見通しは「ネガティブ」。これは、一定の条件下で2012年か13年に再び格付けを引き下げる可能性が少なくとも3分の1あることを示す。
格下げを通知されたバロワン経済・財政・産業相は急きょ、サルコジ大統領や閣僚と緊急協議。また、S&Pが正式に発表する前に、テレビのニュース番組に出演し、格下げの影響を抑えようと努めた。
バロワン経済相はフランス2テレビで、「1段階の格下げだ」と発言。S&Pは、ユーロ圏債務危機の一因であるガバナンスの問題で一部の圏内諸国を格下げしたと指摘した。
さらに「明らかにこれは惨事ではない。言ってみれば、長い間、20点中20点の満点を取り続けている学生に19点をとったら惨事か、と問うようなものだ」と語った。
S&Pは、フランスの格付けが引き続き、豊かで多様かつ耐久力のある経済、高度な技能と生産性を持つ労働力を反映するとしながらも、その強みが相対的に高い政府債務や労働市場の硬直性に一部打ち消されていると指摘した。
その上で、長期格付け見通しをネガティブにしたとし、フランス政府が財政再建計画から外れた場合や、ユーロ圏で資金調達・経済のリスクが高まり、その結果、偶発的債務が大幅に増加したり資金調達環境が著しく悪化した場合、再度格付けを引き下げる可能性があると警告した。
フランスの格下げは、市場で以前から織り込まれており、エコノミストは政府の資金調達コストへの影響は限定的と予想するが、大統領選で再選を目指すサルコジ大統領にとって、このタイミングは最悪とみている。
仏投資ファンドLutetia Capitalを率いるFabrice Seiman氏は「S&Pの措置は全く正しい。フランスは30年にわたる政府財政の無責任な運営に対する代償を払っている」とロイターに語った。
野党各党からは一斉にサルコジ大統領の経済運営能力欠如を指摘する声があがった。
大統領選でサルコジ大統領の筆頭対抗馬である最大野党・社会党のオランド前第1書記の側近はツィッターで「格下げはサルコジ政権が5年にわたり社会、経済、政治を地盤沈下させてきたことへの制裁だ」と指摘。
大統領選に立候補している中道派のフランソワ・バイル氏はテレビ番組で「わが国の評価に悪影響を及ぼす国家主権の格下げであり、ドイツと比較した格下げでもある。欧州におけるわれわれの状況は象徴的にも政治的にも悪化することになる」と語った。