結局今日は雨が止みませんでした。電線に蜘蛛が巣を張っています。
わずか10㎝もないような大きさの巣、電線を雨宿りにする蜘蛛。いったい何を捕まえようとしているのでしょうか。
まだ生まれたばかりの若い蜘蛛なのでしょうか。脚が薄赤茶色に透き通っています。命が満ちている物は、体が透き通ることがあります。この蜘蛛もそうです。そう言えば坂井健の一句にこんなのがありました。
若蜘蛛の 脚飴色に 透き通り
蜘蛛は夏の季語なので、こんな寒い季節にこんな雨の中、しかも電線の下に雨宿りをしているのか。
だいたいこの電線、あと一ヶ月もすれば南の空から春風とともにツバメたちがやって来て大賑わいになります。そうなれば、蜘蛛は絶好のご馳走。そんなことも知らずに雨の中せっせと蜘蛛の巣を貼っていました。流石に雨が激しくなってきて、電線の下で雨宿り。つかの間の命をここに輝かせているのでしょう。
雨に煙る対岸の梅の木。かってこの前にはトチノキが植えられていました。備長炭を焼くために林は伐採されると白梅の大樹が現れました。幅5メートル、高さも5メートルほどあるでしょうか。もう満開に近くなっています。濃い霧が西の渓谷から吹き寄せ東へと流れていきます。霧の白さと梅の白さが微妙に入れ替わり、一瞬一時その白さは様々に変化します。その様子を撮ろうとしたら、霧が晴れてこのとおり。霧に煙る白梅は二度と姿を現しませんでした。やがて梅の大樹は、日没とともに夕闇に消えていきました。明日は、晴れるかな? そうしたら朝日に純白の花びらを見せて欲しいです。