今日は、伊勢神宮の内宮に初詣に行きました。初詣と言えば正月三が日ですが、諸説あり、松の内つまり正月7日までに詣でるのを初詣とも言うようです。初詣は関東のある鉄道会社が年末年始に電車を使ってもらおうと仕組んだイベントで、それまでは縁日や祭の日に詣でていた風習です。初詣は2月3日の節分までに参れば初詣と言えるそうです。
と言うことで、今日は伊勢神宮に来ました。伊勢神宮は125の社があります。その中心は内宮で天照大神を祭っています。正宮は女神の鎮める魂を、荒祭宮には荒ぶる魂を祭ってあります。正宮では五穀豊穣や国安かれと祈ります。一番いいのは無心に二礼二拍手一拝をするのがふさわしいそうです。一方、荒祭宮では個人的なお祈り、家内安全や交通安全など、特に新しいことを始めることなどを願います。これは荒ぶる魂の女神の方がパワーがあり、願いを叶えてくださるからだとか。ここに来ると心の変化が起こります。何か自分を超えた方が背中を押してくださるような、こんな心の変化が新しい日々への小さな変化をもたらすパワースポットです。
今日は西高東低の気圧配置となり真冬そのもの。清流五十鈴川には多くの鴨がやってきます。河畔に立つと人間を興味深げに観察しています。ここで手を洗い、風の神様が祭ってある社に向かいます。神楽殿では巫女が舞を舞っていました。新型コロナウイルスによる制限が解けて初めての正月です。多くの参拝者が神宮大麻を求めて並んでいます。
境内には橙なのでしょうか、大きな実をつけています。寒椿が寒風に吹きさらされて花びらを散らしています。数千年もの年輪を刻む神宮杉がここかしこにそびえていて、参拝者の砂利を踏む音が聞こえています。
帰り道には三重の樽酒が展示してありました。伊勢志摩サミットでオバマ大統領らが乾杯したお酒もあります。世界酒類コンクールでグランプリを受賞した品もありました。神宮には鯛などの魚介類なと山の幸海の幸の最高品質の物が奉納されます。それを境内に奉納に来る人たちの晴れやかな表情。みんなの顔はほころんでいます。
帰りにはおかげ横丁に立ち寄りました。おかげ横丁は江戸時代を模したテーマパークのような商店街で、松阪肉や的矢牡蠣、郷土料理の手こね寿司や伊勢うどんをいただくことができます。また、土産と言えば何と言っても赤福餅、本店でいただくぜんざいやお餅は格別です。今日は赤福の五十鈴茶屋でイチゴ大福をいただきました。みずみずしくてお味は最高でした。
帰路に立ち寄ったのはダイム農園、ここはイチゴ工場があります。様々な種類のイチゴが売られています。隣にはシャロンというケーキ屋さんがあります。イチゴ農家のショートケーキと今日の限定品を買いました。ここのイチゴのお味は孤高と言ってもいい物です。香りといい、酸味と甘みが絶妙です。
最後に祓川で菜の花畑を見つけました。祓川は平安時代に斎王制度があり、天皇のご名代として皇族の未婚の女性が伊勢神宮にお仕えするという制度です。伊勢物語にその優雅な暮らしぶりが描かれています。菜の花の青い香りがただよい、冷たい青空が少しだけ春めいた感じがしました。それでも風が吹くと一気に冬空に戻ります。
神宮の森で静まって思ったことは、復興でした。能登半島から紀伊半島を大きく見ると昇り竜のような形をしています。中国からの旅行者は縁起がよいと好評のルートです。台湾や香港から金沢にいらっしゃっています。なぜ彼らは金沢を訪れるのか。答えは簡単でした。「助けたい」もし日本人がこんな答えをすれば不遜とも思える発言です。しかし、彼らは8割もキャンセルされたお宿やツアーに携わる人々を助けたい。心からの発言でした。人は生業で生活しています。彼らにとってここで温泉や海鮮で大いに楽しんで、復興を後押ししようとしているのでしょう。この伊勢の聖なる地に来て、ふと思ったことでした。自分にも自分なりのできる復興に寄与することはあるのだろうと。ある番組でレポーターが何が必要ですかと被災者にインタビューしていました。「私たちを思ってくれること。それだけで嬉しい。」この返答にレポーターは涙して番組が止まってしまいました。思いを寄せること、まずはここからできるのかも知れません。