熊野古道は、古代中世の高速道路だった まもなく紀伊半島一周道路が実現するかも!  | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 熊野古道がユネスコの世界遺産紀伊半島の霊場と参詣径に指定されました。この巡礼径は小辺路、中辺路、大辺路、伊勢路と四つのルートがあります。どちらも都から熊野三山に参詣する古代の高速道路です。熊野三山は本宮大社、那智大社、速玉大社のことで本地垂迹説によると釈迦如来、観音菩薩、弥勒菩薩に比定されています。つまり、三つの社に参詣すれば、過去も現在も未来も救われるという有り難いパワースポットです。

 

 梁塵秘抄は詠います。「熊野に参るとて、紀路、伊勢路、どれ近し、どれ遠し。広大慈悲の路ならば、どちらの道も遠からじ。」地図を見ると小辺路ルートが一番近いように思われます。それでも仏の広くて深い憐れみの路なのでどちらの道も遠くはないと詠います。

 

 三つのルートには石畳が敷いてあったりして古代中世の高速道路のような規格道路です。大峰奥駈道は75の靡があり、これは大峰山脈240km程を山伏が修行をするルートなのでこれまた別格の道です。

 

 古代中世のルートと言えば、前述の五つのルートなのですが、まもなく紀伊半島一周道路が完成します。三重県側からは伊勢自動車道から紀勢自動車道を経て、熊野市の大泊までが開通しています。一方西側の和歌山ルートはすさみインターまでが完成しています。あとは、すさみ串本道路、串本太地道路、新宮紀宝道路と工事も着工されトンネル工事や橋梁ができつつあります。

 

 このような高規格道路は、南海トラフの巨大地震による災害道路としての用途もあります。東日本大震災では東北自動車道が災害復旧の大動脈となりました。

 

 新型コロナウイルスの終息宣言を受けて熊野の霊場にも人がもどりつつあります。実際に行ってみて感じたことは、外国人の多いこと。特に本宮大社は3分の2が外国人でした。「人はなぜ熊野に向かうのか?」それが日本人でなく外国人が向かうのはなぜなのかと現地で考えました。

 

 熊野は、「隈野」。世界の隅っこだというのです。つまりあの世とこの世を繋いでいる地の果て。「大峰には死んで入る」という言葉があります。熊野も隣は黄泉の国なのでしょう。死を感じることは生を考えること。よく死ぬことはよく生きることに繋がります。そんなの言葉の世界でしょうと思われるかも知れませんが、実際にここに来ると自然にそんな気持ちにさせられます。高速道路でつながれば、時間的な距離は短くなります。それでも熊野に入ると距離感を越えて神仏のパワーを感じるのは自分だけではないと思います。

 

 紀伊半島一周道路ができれば京阪神や東海地方が四時間程度で熊野に参詣できるようになるでしょう。日帰りも可能になります。梁塵秘抄を詠った作者はこれを見ればどんな歌を作るのでしょう。

 

 それはそれとして、この写真は江戸時代の温泉ランキングです。日本人は何でもランク付けをするのが好きなようで温泉まで大関から様々な階級があるようです。大関よりも上なのは行司で熊野本宮之湯がど真ん中に大きく書かれています。

 

 先日、湯ノ峰温泉に行ってきました。世界遺産に指定された温泉です。昨年の春に公衆浴場がリニューアルされて、檜造りの立派な施設に生まれ変わりました。温泉に浸っていると体の浸んで温まります。そんなに熱さは感じないのですが、湯から出ると汗が噴き出てきます。

 

 このパンフレットは温泉の効能がどれほどあるかのランキングです。義理の父に毒を盛られて瀕死の小栗判官が49日、湯ノ峰温泉のつぼ湯に入ると蘇生したというのですから、ある程度の根拠はあるのでしょう。谷川にある岩堀の浴槽に入ると確かに命の息吹が体に注入されるのが分かります。五臓六腑、五体にパワーがみなぎってくると言うか。決して大げさな表現ではありません。

 

 紀伊半島には、湯ノ峰温泉、川湯温泉、十津川温泉、勝浦温泉、白浜温泉など、もう最高の温泉が湧いています。スピリチュアルな旅の途中で伊勢エビや本マグロなど海の幸を楽しみ、温泉に浸るのは最高です。

 

 「初詣に行かなきゃ」と。でも初詣はいいわけで本当は紀州の山の幸、海の幸をいただいて、温泉に入る。参詣と楽しみとどちらが目的かと言えば、それは広大慈悲の路なので、どちらも大切なことは間違いなしです。