久しぶりにお伊勢さんにやって来ました。伊勢市駅から宇治山田駅に歩いて行くと近鉄電車の高架下に伊勢市のソウルフードのお店があります。「のむら」という和菓子屋さんです。
ここの名物は何と言っても蜜団子。なんだみたらし団子じゃないかと言われそうですが、地元では蜜団子と呼んでいます。おばあさんがお団子を焼いてくれて、黒蜜をたっぷり塗ってくれます。お急ぎの人は止めた方がいいです。時間を掛けて丁寧に焼いてくれるので、そこは美味しい物には時間を掛けましょう。お味は言うまでもありません。
いよいよおかげ横丁に行って、定番の若松屋で揚げ物をいただきました。これはじゃこ天です。貧乏くさいと言われようが、美味しい物は美味しいので何と言われようが平気です。まずいステーキを食べるよりも、こちらの方が遙かに美味しいです。
それにしてもお祓い街は平日なのにこのにぎわい。23日の新嘗祭に近いからなのでしょうか。全国的には勤労感謝の日なのですが、実は宮中では新嘗祭が行われています。天皇陛下が五穀豊穣を感謝し、新穀を天照大神や八十萬の神様と召し上がる祭です。それまでは、皇族方は新穀をお召しになることはありません。私たちはそのことを心に留めてこの日を過ごしたいものです。
ご存じ、赤福の本店です。暑かった今年の夏はやっと終わり、赤福氷も終了。その代わりにぜんざいをいただくことができます。でも、蜜団子にじゃこ天をいただいたのでここは素通り。途中には伊勢うどんや手こね寿司の名店があるのですが、内宮に参拝するのが本意。宇治橋へと急ぎます。
いよいよ内宮へ。天照大神が祭られています。左には御札の授与所があり、左の門は神楽殿です。さらに正宮へと参道が続いています。
写真撮影はここまでです。階段を登ればあまりにも神聖なので撮影は禁止です。粛々と参拝者が登ってきては、お祈りを終えて階段を降りてきます。ここでは私的なお祈りは控えて、国や世界が平和で、人々が幸せに暮らせるよう祈ります。あるいは、無心に二礼二拍手一拝をするのが一番いいのかも。
三重県の県木は神宮杉ですが、何千年も経っているこの大樹。ここでは何の違和感も感じさせません。木に語りかければ、日本国家がどのように成立してきたのか、風の中に聞こえてきます。
正宮には天照大神が祭られています。ここにも天照大神が祭られています。ここのアマテラス、荒ぶる魂を祭っているので、荒祭宮と呼んでいます。女神の魂が荒々しいとは・・・? ここでは私的な願いを聞いてもらえます。人があれかこれか選んで新しい決心をするとき、背中を押してくださるのがこの社です。ここには日本古来からの祈りの姿があります。正宮では鎮まった天照大神の魂、静かに黙して無心に祈ります。神様は一人ひとりの必要をすでに知ってくださっているので、すべては神の意志のままに。その心の変化が新しい道へ導きとなります。
それにしても酒樽の多いこと。三重県のお酒をここに集めています。人々は年末にもなれば、様々な海の幸、山の幸、最もよい物を喜んで神宮に奉納にやって来ます。その人々の表情は晴れ晴れし過ぎて顔がくしゃくしゃになっています。一年の感謝に満ちた顔をここかしこに見ることができます。
新型コロナウイルスが終息してやっと生活が普通に戻りました。年間800万人が訪れていた伊勢神宮。江戸時代にお伊勢参りが始まったように、あのにぎわいがここに戻ってきたようです。「人はなぜ伊勢に向かうのか?」ここで聞いて見て触れて感じれば、新しい何かを発見できるかも知れません。