秋と冬とのせめぎ合い | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 櫛田川中流域の右岸にある原生林が紅葉しています。紅葉ももう終盤です。落葉して川底に赤や黄色の葉っぱが沈んでいます。近くには深野の沈下橋があり、TBS系列の日曜劇場「下剋上球児」のロケが鈴木亮平さん黒木華さんで行われました。今日もロケがあったようで、国道には黒山の人だかりができていました。いったいどこで情報を得ているのでしょう。何の変哲もない沈下橋と清流にたたずむ紅葉の原生林。見る人によってはそれがとてつもない風情を感じさせる舞台になるのでしょう。

 

 飯南高校のハナノキが赤く色づきました。今年は色づかないで散ってしまうのかと思っていましたが、それなりの紅葉です。本当は真っ赤に色づくのですが、今年はこんな感じです。

 

 色コンテをとれば、こんな感じ。ハナノキの大樹には人が集まります。子供たちが落葉した赤い葉っぱを集めては秋の空の下で遊んでいます。それぞれが遊びを創造して様々な楽しみ方をしています。遊ばれているのではなくここでは遊びが自然に生まれているのでしょう。小春日和とはこんな日のことを言うのでしょう。それでも西風が吹けば温かい空気を一気に吹き去って冬の様相に。晩秋と初冬のせめぎ合いの季節が続きます。

 

 この季節、松尾芭蕉が詠んだ一句があります。

 

 十六夜の 月は見はやせ 残る菊

 

 今は丁度、菊の見頃です。野菊もそうですが、大輪の菊もここかしこで咲いています。今年は菊が豊作なのでしょうか。十六夜ともなれば月も右側がかけ始めています。この日からは月が段々と痩せていきます。その夜空に菊の香りがほんのり残っている。ここでは菊は花なのが香りなのかは分かりません。菊と月の取り合わせは不思議なテーマです。月とススキの穂なら月並みの俳句なのでしょうが、菊を持ってきたところに芭蕉の侘び寂の境地があるのでしょうか。十六夜の次は、立ち待ち月、そして居待ち月臥し待ち月と月の出は15分ずつ遅れていきます。立って、座って、臥して月の出を待つ。月への憧憬は、秋の深まりとともに冬が近づいて、季節の移ろいへと変化していきます。