台風7号が紀伊半島に接近中 伊勢湾台風を思い出す! | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 台風7号が紀伊半島に接近しています。予報円の中心は潮岬。このコースを見ると伊勢湾台風を思い出します。

 

 伊勢湾台風は昭和34年9月26日に紀伊半島の潮岬に上陸しました。死者4697人、行方不明者401人、明治以降の台風での被害は最大の物となりました。アメリカ軍の観測によると中心気圧は894ヘクトパスカルで、最大瞬間風速は90m、中心から300km以内は25m以上の暴風をともなう今で言えば、スーパー台風でした。

 

 被害の多くは高潮で、気圧が低くなるために海面が押し上げられ、暴風とともに愛知県の貯木場から出た材木が集落に押し寄せた被害でした。これが今なら材木ではなくコンテナだといわれています。

 

 

 これは伊勢湾台風をアニメ化したもので1時間21分にまとめてあります。YouTubeを見ると様々な生の映像がアーカイブされています。

 

 伊勢湾台風と7号の違いですが、半径は三分の一ですが、速度が10kmと遅いため進路に当たる地域では暴風と豪雨にさらされます。台風の目ですが、中心が通っていった地域では、急に風も雨も止み星空が見えたと言います。

 

 紀伊半島の中程に西に流れる紀ノ川、東に流れる櫛田川があります。櫛田川では橋が材木でせき止められ川の水が集落を襲いました。台風が襲来した夜、雨戸を開けると風が吹き荒れています。雨戸の隙間からは泥の臭いだ漂ってきました。見ると川は荒れ狂った海のようになっていて濁流が家の前の道に迫っていました。家が風できしみ出しました。もう倒壊する寸前です。雨戸のないガラス窓は曲がってきて父親が体で押さえていました。雨漏りがひどくて洗面器やたらいやお鍋で受けても足りません。夜空にサイレンがけたたましく流れ、消防団の人が濁流に流された人を探していました。暴風と豪雨の中から「助けて・・。助けて・・・。」という女性の声が聞こえていました。

 

 台風が去った次の日には川縁にあった新築の家が橋の下にありました。こんなに太陽が眩しいのに、青空がこんなに綺麗なのに。川近くの竹藪で一人の女性が発見されました。砂の上に新品の長靴が出ていました。長靴を引き上げると足が出てきました。発見した人は腰を抜かしました。

 

 電柱を見上げると泥の跡が見られます。電柱から3mはあったでしょうか。下流の家は床上浸水で泥まみれです。家から二軒下の家屋は床下浸水、次の家からは軒並み床上浸水で、水没した家もありました。停電は何日も続き、夜は蝋燭の暮らしが続きます。

 

 警察予備隊(後の自衛隊)のお兄さんが、「坊や、大丈夫ですか?」と声を掛けてくれました。萎えていた気持ちは少し元気になりました。

 

 どうしたら災害を減らすことができるか。地球温暖化によってこのような台風はこれからも発生することでしょう。温暖化による台風がより大きくなり、強くなり、速度が遅くなる。これが特徴で、災害はより起こりやすくなります。伊勢湾台風が60km程度で紀伊半島を縦断していったに対し、台風7号では時速10kmです。私たちはそれに対処するしかありません。減災のことを考えるとき、東日本で釜石の奇跡を起こした片田敏孝先生のことを思い出します。

 

 1 想定外のことを考えよ

 各地で危険所マップやハザードマップが作られいますが、東日本大震災ではハザードマップで安全と目された所で犠牲者が多く出た。自然は人間の想定外のことを引き起こすことがある。安全なところはどこにもない。想定外のことをイメージできるかが生死を分ける。

 2 全力を尽くせ

 とにかく危険なところから逃れること。できるだけのことはやってみる。食料の備蓄や水の確保。非常用トイレ、バッテリーの充電など、避難経路も含めて備える。起こってしまえば、そこで最善を尽くす。

 3 率先的避難者で荒れ

 自分が率先して動けば、他の人も動く。早めの避難、声がけが大切。

 

 意外に抜けている物ってあります。台風とくれば停電ですが、水の確保は大切です。飲料水だけでなく、トイレは多くが水洗なので水がなければ汚物を排出することができません。浴槽に水を満水にしておく等も1つの手です。ポータブルトイレもあるといざというとき便利です。

 オール電化の家は停電すれば悲惨です。すべてが止まります。お風呂も入れません。ガス風呂でも電気が来てないと作動しない給湯器がほとんどです。お風呂は我慢するとしても、食事は欠かせません。そんなときカセットコンロが活躍します。便利なスマホですが、1日半でdocomoやソフトバンクの中継器のバックアップ電源が切れるので1日半以上の利用はほぼできません。光ケーブルのインターネットもありますが、モデムやWi-Fiは停電では使えません。テレビもつかないし、インターネットからも遮断されます。情報入手の最終手段はラジオになります。ラジオもインターネット経由での利用が進んでいますが、ここは電波によるラジオが物を言います。飲料水ですが、水道の多くは川から採取していて川が濁流になると水質は平素よりも滅菌するための薬物の濃度が高くなります。ミノラルウォーターを備蓄するのも1つの方法です。風の力はすごいものです。玄関マットが吹き飛んでガラス窓を壊すことがあります。傘が壁に突き刺さることも。小さな植木鉢がお隣の家を直撃することも。

 

 何はともあれ、この台風7号、少しでも災害が少なく通り抜けていくことを願うのみ。しっかり備えてできることをやり尽くしたら、あとは神様にお願いするしかないか・・・。