今日は朝から雨。棚田には雨の一粒毎に波紋ができては消える。だから、いつもなら逆さに映る白猪山が見えない。
お地蔵さんの小梅も雨粒で覆われている。梅干しにできそうでも誰ももらって食べない。
咲きかけの黄色タンポポにカメムシがいる。もうどこも雨粒が丸く宿って遠くの広い世界を写し出している。
草木のどこにも凸レンズが宿っていて景色を逆さに映し出す。雨が止んでお日様が顔を出したら消えていくつかの間の風景。透明の凸レンズの中には美しい物がいっぱい凝縮されている。
ムラサキサギゴケは雨にたたかれてしおれている。サギの形は羽が閉じて不格好。それでも雨が紫をこんなに美しく映し出した。
ツルチャールストンが咲いた。バラの香りが漂っている。蔓の薔薇はどこまでも高く伸びて空を覆おうとしている。この美しさを空まで広げようとするのか。風が吹くと花びらがひらひらと地面に落ちる。その代わりに次の蕾が花をつける。





