今日は二十四節季の雨水です。雪が雨に変わるころ。二月の中旬になると紀伊半島も雪から雨になる確率が高くなります。四日は立春で、今日は雨水、来月の六日は啓蟄で、二十一日は春分と、どんどん季節は春に向かいます。
三寒四温という言葉があります。ちょっと早いかもしれませんが、雨が降るごとに三つ寒くなって、四つ暖かくなる。一雨ごとに暖かくなる表現です。
小さいころトタン屋根の下で暮らしていました。薄い鉄板なので雨が降れば、トンと音がします。初めはバラっ、トン、トン、パっ。やがて、雨は本降りとなり、轟轟とトタン板の上を流れ落ちる音に変わります。トタン板の釘の穴から雨が漏れ出し、板間に置いたバケツにポツンと音を立てます。ポツポツ・・・ポツポツ。一晩中家の外も内も雨の音。雨のシンフォニーです。
薄いせんべい布団にくるまってぶるぶる震えながら、雨の音を聞いていました。この雨の音を聞くたびに寒くなったり暖かくなったり。それでも確実は暖かさが日増しにつのり、本格的な春になります。
今はたんぽが年中咲いていますが、緑の草原の上の黄色タンポポはやはり春。春らしい景色です。今朝の雨で寒さに目覚めた草木は一斉に萌え出るエネルギーをたぎらせ、導火線に火をつけたことでしょう。雨しずくが大地に落ちると瞬く間に緑が広がります。
菜の花を背景に土筆が顔を出すのももうすぐ。春の山菜は爆発的に広がります。これもすべては春の神ペルセフォーネの仕業です。彼女が歩いた足跡にはハコベやイヌフグリやユキヤナギが咲きます。足跡はやがて一面に広がり、どこが彼女の足跡か分からなくなります。
日本に四季があり、二十四節季があり、七十二候があります。季節が72もあるなんて…!