伊勢市に食遊人という海鮮のお店がある。店内は和風で落ち着いた雰囲気。本マグロのお刺身が出てきた。大根の煮付けは薄味で美味しい。
鰯の素干しが出てきた。焼いただけでこんなに美味しいとは。
エビとキスの焼き物。鰯とともにこの三品はサービスらしい。三品とも癖もなく普通に美味しい。普通というのは、素材のお味が余すところなく出ているという意味。食材が新鮮ならここまで美味しくなる物なのか。
この季節はカレイなのか。ちょっと濃い味なのか、それでも身には味は浸ませず、ここでもカレイ自身の美味しさが味わえる。
煮物はスズキ。櫛田川の河口で釣れるが、大きいのは珍しい。豚骨味なのが意外によく合う。
カレイの焼き物。干物なので味が凝縮されている。ボラの身はサービスらしい。サービスの品が多いので、びっくり。ここでご飯とお吸い物が出てくる。
コーヒーはデロンギの抽出機でセルフサービス。単独で頼んだら500円くらいはするかも。お菓子も店内に置いてあり、セルフサービス。
1800円程度でちょっと豪華なランチだが、惜しげも無いサービスに大満足で帰ってきた。お伊勢参りの国道23号線沿いにあり、なかなかいいお店だと思う。宿泊もできるようだ。こんなにサービスして儲かっているのか、聞きたくなるがそれはさすがに止めた。
店主は食べるのが楽しみでお店の名前のように食遊人を自認しているのだろう。食べている客が喜ぶ顔を見るのが趣味なのかも。店内の雰囲気や調度を見ても上品さが伝わってくる。料理はとにかくシンプル。素材のお味を生かすには、生でそのまま出すか、塩味で素焼き、さっと煮立てる。これが一番なのだろう。お伊勢参りとは名目で、ここに寄るのが一番の目的になりそうなお店だった。このお店は季節毎に魚を変えて食卓に載せるのだろう。おかげでお伊勢参りが季節毎に行かなければならなくなった。
三重は古代から「美し国 うましくに」と呼ばれてきた。海の幸、山の幸が豊富で、食材が伊勢エビ・アワビ・鯛をはじめ、椎茸、タケノコ、伊勢イモなど多彩にわたる。食材そのものが美味しければ、調味料は塩だけで事足りる。しかし、味噌、醤油、酒など発酵をさせてさらに味を究めてきた。県立相可高校食物調理科は、テレビドラマ「高校生レストラン」で知られるようになり、公立高校で調理師を育成する全国の先駆けとなった。食材の質もよければ、調理人もそれにふさわしい人材が必要なのだろう。卒業生達は、一流の料亭や大使館の料理人になっている。