秋の野原に出てみると黄色コスモスが咲いている。太陽の光が黄色をさらに濃くした。傍にはミツバチや小さな虫が羽音を立てて飛んでいる。
丸葉縷紅ってマルバルコウって読むのだろうか。自分では立てないから他の植物の茎につるを捲いて咲いている。緑の中の紅が美しい。紅だけど黄色がにじんでる。この色が好きだ。
秋のまっただ中、曼珠沙華が咲いている。この夏が暑くても冷たくてもいつもこの時期になると咲き出す。緑の中の赤が映える。でも、彼岸も過ぎてもう枯れ出した。急に地上から出て、いつのまにか消えている。土葬の時代は死体を獣が掘り出さないように根っこに毒を持つ彼岸花をお墓に植えた。だから死人花とか地獄花とか三昧花とか不吉な名前がついてる。夕陽に照らされるとこの赤が燃えるように光り出す。雨上がりの朝は露をはらんでさらに透明の赤になる。どんな名前がついていてもこの赤はたまらなく美しい。
仲秋には夏の名残と冬の兆しが同居している。エノコログサや朝顔や露草も秋の野原に残っている。夏の名残を惜しいとは思わない。なぜなら彼らはまだまだ咲こうとしているから。
冬の兆しは真っ白な茶花。大輪と言っていいくらい大きく咲いている。前の季節と次の季節を感じさせるから秋があるのだ。秋だけがあるんじゃない。夏の名残と秋の兆し、そして、仲秋がある。今朝、気づいた。




