D120mm f600mm F5 屈折 SS640 ISO100
6月6日4時25分、半影月食がありました。と言っても、欠けているかは分かりません。半影月食なので薄ら地球の影が映るだけ。しかも、この時間になると雲が出てきて、月自体が見えなくなってしまいました。月は地球から38万キロにあります。実はこの距離、平均の距離で、本当は35万キロから40万キロの楕円軌道を回っています。月が最接近して大きく見えるのがスーパームーン、小さく見えるのがストロベリームーンと言います。どちらを見ても幸せになれるとか。これを見るとずっしりとした月の重量感が伝わっててきて今にも空から落ちてきそうです。
月は年間3cmずつ遠ざかっています。ということは、逆算していくと数十億年前、地球からの距離はゼロメートルとなります。つまり火星大の小惑星が地球に衝突してできたのが月という衛星で、もう少し大きければ地球は二重惑星になっていかかも知れません。準惑星の冥王星よりも大きな月、衛星としてはかなり距離が近く、大きいというのが特徴。しかも、私たちには裏面を見せず、常に表しか見せていません。これは月が地球を回る速度と月が自転している速度が同じ為に起こります。でも、よく見ると月の表面にはいくつものクレーターがあり、中には地球から見てど真ん中にも多数のクレーターがあります。ということは、今見えてる月の表面も別の面を向いていた可能性も考えられます。月の裏側はクレーターで敷き詰められています。もし、小惑星が月の裏面に衝突してなかったら当然地球に衝突していたでしょう。月は地球を小惑星から守っているのです。
三十億年前、生命が誕生した頃の月はもっと近くにあったはずです。ということは、潮の満ち引きがもっと激しかったはず。月は今よりもはるかに強い潮汐力で地球の海面を引っ張り海水を攪拌しました。そこで海のミネラルやタンパク質が濃くなり、私たちの祖先の命は海で生まれました。月は生命の誕生を早めたと言うことも出来ます。
今夜もウサギさんが餅をついています。東北の小さな街に伝わる話があります。クマさんとお猿さんとウサギさんが、「人間になりたいな」と言いました。神様は、「なれるよ。人間にご馳走したら人間にしてあげる。」クマさんは早速サケを捕ってきました。ウサギさんはたきぎをとってきました。お猿さんは栗をとってきました。クマさんとお猿さんはウサギさんに「ウサギさんは、人間になれないね」と言いました。そうすると、ウサギさんは「ぼくはたきぎを燃やして自分を焼いてお肉になって人間にご馳走するの」と言うとすぐさま燃えている火のなかに飛び込みました。神様はすかさずウサギさんを燃えたぎる火から助け出して、「みんな人間になれるよ」と言いました。「でも、ウサギさんは特別のことをしたから、月に挙げてこの出来事を記念にしよう」。こうして、ウサギさんは月に挙げられて月でお餅をついているのです。
月食が起こるのはなぜか満月です。望月にしか起こらないのは不思議です。太陽と地球と月が一直線にならないと地球の影が月に映らないという当たり前の原理ですが、地球が太陽を周り、月が地球を周っていることが分からなかった古代人にとっては不思議なことだったでしょう。望月は十五夜、その翌日は十六夜(いざよい)、その次は立ち待ち月、その次は居待ち月、その次は臥し待ち月、と月の異名は変わっていきます。月の出は日ごとに遅れていきます。立って、座って、寝て月を待つ。古代の人は現代人よりもはるかに月を焦がれていたことを思わせる表現です。
こんなことを書いてたら月が西の空に沈んでしまいました。月の後ろには木星、土星、火星、海王星と太陽を回る惑星が続いています。今、南の空が面白い。東の空が白んできて、何か、眠くなってきました。