6月に入り、夏らしい日が続いています。棚田には蛍が飛んでいるだろうと思い、行ってみました。果たして、棚田の小径に蛍が飛んでいます。一匹、捕まえてみるとこんな感じ。
手のひらの中の蛍の蛍光色は黄色なのか橙色なのか、緑にも見える。光は棚田の闇夜を照らします。冷たい谷の風が棚田を吹き下ろしてくるとなぜか小寒くも感じます。手のひらの中は温かい。
棚田を流れる水路に光る物があります。蛍の幼虫です。蛍の幼虫は水中から光っているのです。南の空にはサソリ座が昇ってきました。その上には射手座があり、その背後には天の川が南北に流れています。天の川の中を流れるように蛍は飛び交い、一夜の求愛活動は今夜も続きます。まもなく梅雨に入りそう。西の空にはアークトゥールスやスピカが春の名残のように瞬いています。天の川は数万光年前の光、砂のように輝いています。近くの明るい星々は数百光年前の光。そして、蛍は今、光り始めたこの瞬間。距離も時間も違う光が同時に私たちの眼に映っています。