真っ赤な大きな木です。紅葉の時期になると人々はこの木下にやって来ます。紅葉よりも赤く染まっています。花が咲いてないのに花の木。だれが名付けたのでしょう。
地面を見ると赤く色づいた葉っぱや黄色の葉っぱが混じって、ここが地面とは思えないような不思議な感じがします。
こんなに葉っぱを散らして、根本の別れた幹の裂け目にいっぱい落ち葉が積もっています。大樹の枝は秋の空に丸く枝を張り巡らして、ドームのような形をしています。幹の下から見上げるとそれは、花の木という小宇宙を形作っています。
幹から枝へ、枝から小枝へ、どこを見ても赤と黄色。日差しが当たると幹までが赤に染められてしまいます。幹までも紅葉してしまう秋です。
ここは赤と黄色と黒しかありません。一本の木の下に集まってくる人たち。一人ひとりがこの樹を見上げ、眺めては写真を撮り、キャンバスを広げ、落ち葉の絨毯で大の字になります。気まぐれな秋風が山から吹いてくると、また、一枚、また一葉、地面の絨毯は秋の彩りが深まります。