「サーブの原理 その38」~で、(本当の意味の)「レッグ・ドライブ」について考察しており、特に「サーブの原理 その39」のなかで、僕は次のように説明しています。
単純に考えると、背骨を中心として、左右の腰椎がクルッと回転することが望ましいわけですから、右足の股関節で右の腰椎を前に押し出すようにすれば手っ取り早い。
つまり、右足で前に踏み出すような形にすればよい、ということになってしまいます。
現に、プラットホーム・タイプで、かつ左足が地面から離れない──ジャンプしないサーブの人だと、そういうフォームになってしまいます。
ですが、これをすると、「後ろに反らし、傾け、ひねった上体を引き起こすことによるラケットの振り上げ」という力が、まるっきり弱くなってしまう。
サーブは、ジャンプをすることそのものが目的なのではなく、ジャンプをするほどの伸び上がりを両足で生み出す、ということが大切です。
だから、僕のイメージは「右足の蹴り『上げ』」なわけですね。
つまり、僕のレッグドライブの「目的」は、体を回転させる原動力とすることで、体を前方に押し出すことは「結果」でしかありません。
また、レッグドライブが体を回転させることを目的としている以上、レッグドライブをしながら、体は横を向いたままサーブを打つ、なんていう訳の分からない理論にはなりようがないわけです。
が、これをなんとか両立させてしまう人が、世の中にはいるわけです(笑)
「『体が開かないように』って、何?」のところでもお話ししましたが、スピン系のサーブにおいても、体の回転の「途中」でインパクトを迎えるだけでしかなく、打ち終わりの体勢に大きな変化が生じることはありません。
もちろん、トップスピンの場合にはラケットの振り上げ方向を調節するため、体軸を傾けざるを得ず、全く同じ体勢となることはありませんが、それでも大きく変化することはない。
以前お示ししたことのある、サーブの打ち終わり──ジャンプした後に着地した直後の体勢を見ていただくと、このようになります。
ラオニッチとフェデラーのセカンドサーブの打ち終わり、地面に左足がついた瞬間のコマです。
どうでしょうか?
上体が相手方向に倒れ込み、両肩を結ぶラインが、少なくとも斜めぐらいには戻っている。
上体が相手方向に倒れ込み、両肩を結ぶラインが水平に戻りながら、左足一本で立っていることになります。
この状態でバランスを取ろうとすると、右足は、自然と後方に投げ出されることになる。
これが右足の「跳ね上げ」動作につながるわけです。
つまり「回転の『途中』でインパクトを迎える」ことを実践すれば、フォーム全体に大きな変更も無く、その結果として、右足は常に後方に跳ね上げられる、ということになります。
右足の跳ね上げ自体については、「サーブの原理 その43」でもお話ししておりますので、そちらをご覧下さい。
【次回へ続く】