腰を回転するもう一つの力、「右足の蹴り上げ」について。
 
 これは説明が難しい(笑)。
 
 単純に考えると、背骨を中心として、左右の腰椎がクルッと回転することが望ましいわけですから、右足の股関節で右の腰椎を前に押し出すようにすれば手っ取り早い
 
 つまり、右足で前に踏み出すような形にすればよい、ということになってしまいます
 
 現に、プラットホーム・タイプで、かつ左足が地面から離れない──ジャンプしないサーブの人だと、そういうフォームになってしまいます。
 
 ですが、これをすると、「後ろに反らし、傾け、ひねった上体を引き起こすことに寄るラケットの振り上げ」という力が、まるっきり弱くなってしまう
 
 サーブは、ジャンプをすることそのものが目的なのではなく、ジャンプをするほどの伸び上がりを両足で生み出す、ということが大切です。
 
 だから、僕のイメージは「右足の蹴り『上げ』」なわけですね。
 
 では、なぜ、右足を「蹴り上げ」ることで、骨盤が回転することになるのでしょうか。
 
 僕はステップイン・タイプですが、以前紹介した図61で、トロフィー・ポーズのときには、ヒザを曲げる、というだけではなくて、股関節が曲がっているんだ、と説明しました。
 
 
 この股関節を曲げたときに引き伸ばされるのが、大臀筋、つまりお尻の筋肉。
 
 この大臀筋を急速に収縮させることで、股関節を伸展させるんです。
 
 このときも、骨盤が大きくひねられていると、大臀筋も伸びやすく伸張反射も起きやすいのですが、なかなか大きな筋肉なので、この蹴り上げには、さすがに随意運動が必要な場合もあります。
 
 曲げた右足によって後ろにひねられている右腰椎を、右大腿部を一気に伸ばすことで斜め上前方に「引きよせる」イメージなんです。
 
 決して、前に「蹴り出す」イメージではありません。
 
 あえて言うなら、お尻の筋肉を引き締めることとで、腰が押し出される感じ(笑)。
 
イメージ 1
 
 右足が地面から離れたあとも、その勢いで右腰椎は回転方向に押し出されていきます。
 
 この動きであれば、ラケットの「振り上げ」と「腰の回転」を両立させることが可能になるわけです。
 
 左大臀筋でも、左股関節の伸展が行われますが、ちょっと様子が異なります。
 
 左腰椎・左股関節は、ヒップファーストによってすでに前に押し出されていますので、股関節の伸展が起こっても、そのまま上方に押し上げられ、水平方向の移動は小さい。
 
 その水平方向の位置はそのままで、前回ご紹介した左足の回旋運動を利用した回転が行われるんです。
 
 左腰椎では回旋運動を利用した回転が起こり、右腰椎では大臀筋による急激な前方への押し出しが生じることで、背骨を中心とした強い回転が生じるわけですね。
 
【次回へ続く】