腰の回転のところでお話しした「右足の蹴り上げ」の場合、右大臀筋を強く収縮させるんだよ、とお話しましたよね。
 
 右足は、大臀筋の収縮によってお尻の方向に引っ張られるように伸びます。
 
 それが、右足による「キック」につながるわけです。
 
 サーブを打つと、上半身も大きく前傾しますから、そのバランスをとるためにも、足は後ろに伸ばした方が自然。
 
 右足着地の場合、左足を大きく後ろに伸ばすことは困難ですから、これもまた不自然な体勢になりやすい原因となります。
 
 よくコーチの中に、シャラポワみたいなフォームをイメージして、
 
右足を大きく後ろにキックして、足の裏が上を向くぐらい蹴り上げましょう
 
 っていうのがありますが、これはこれで注意してください(笑)。
 
 大臀筋の収縮によって右足が後ろに伸ばされるのは、あくまでも「右足の蹴り上げ」の「結果」でしかありません。
 
 また、バランスをとるために右足を伸ばした方がよいのも、上半身が大きく前に傾いた場合の「結果」でしかない
 
 このただの「結果」でしかないフォームを、「目標」のようにしてしまうと、フォームがバタバタになってしまいます。
 
 特に「足の裏が上を向くぐらい」ということは、ヒザを大きく曲げることになる。
 
 実際、プロの選手の中には大きくヒザを曲げて、下手をしたらつま先まで上を向いてるんじゃないか、っていう選手がいますが、これはそういうフォームを「狙って」作っているわけじゃない
 
「右足の蹴り上げ」によって、膝下を伸展させた際に、いわゆる「ハムストリングス」が大きく引き伸ばされ、やはり「伸張反射」が起こることで、今度はヒザを屈曲する方向に筋肉が収縮しているだけ。
 
 この太もも裏にあるハムストリングスも、非常に柔軟で大きな筋肉群なので、ちょっとやそっとの力では伸張反射は生じません。
 
 アマチュアのヒザの伸ばす力で、そんなに強い伸張反射が生じるわけがない
 
 ってことは、ヒザを曲げるように後ろに蹴り出そうとすれば、それは随意運動で曲げるしかなく、しかも右足を後ろに「蹴り出す」ようなフォームになってしまうため、まさに本末転倒です。
 
「自然と右足が跳ね上がってくるぐらい、強く右足を伸ばす」ことが大事なのであって、「右足を後ろに上げる」ことが目的ではないのですから。
 
【次回へ続く】