囀る鳥は羽ばたかない 第66話【動く】
「囀る鳥は羽ばたかない」66話の私的ネタバレ覚書。わたくし前回の覚書で「静かに動き出す」とか書きましたけどものすごい勢いで動き出しましたよ!激しく動くと書いて激動!!事前の公式チラ見せが扉絵のみ(本紙のチラ見せは表紙+次ページとだいたい決まってますけど公式はイイところをいい感じに切り取って見せてくれてるんですよね)、てことはもうどこも切り取れない内容なんだろうなとは思いましたが。状況を動かしたい人々が入れ代わり立ち代わり動きまくり。いやホント、矢代さんも百目鬼くんも愛されまくりだよ…(マジ泣き)※毎度の注意事項: 以下がっつりネタバレ含みます。 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは あくまで個人の感想・深読み(妄想もあり)です。******過去が想いが追いかけてくる******コートにマフラー、抱き合うふたり雨が象徴的な囀るで、雪が舞っているここ最近の扉絵、ふたりが寄り添ったり抱き合ったりしているイラストが多くてうれしい限りだけれどだいたい矢代は目を閉じ、百目鬼は目を開いている。車を走らせる天羽。車内に三角はいない。走りながら、先ほどまでの綱川との対話を回想する。天羽が綱川を呼び出したのは毎度おなじみ釣り堀。2度目だけど。7巻の冒頭、綱川が天羽を呼び出した場所。話題は百目鬼について。天羽さんどうやって百目鬼くんのピンチを知ったんだろう。綱川が律儀に連絡入れたわけではなさそう。鮫鯨?綱川の売り言葉を買わずに謝罪し、認め、下に出る。拍子抜けした綱川から怒気が薄れる。たぶん学生時代から天羽はこうやって綱川の手綱をうまいこと操ってきたんじゃないかしら。で。どうもふたりの会話を深読みするに、もしかして綱川、百目鬼に対して本気で厳しい処罰を科そうとしているわけでは…なさそう?いやもうすでに科してるといえば科してるけれども。私が前回で疑問に思ったこと。盃も交わしていない、正式な組員でもない百目鬼にかぶせる処罰ではないと思っていたけれど、どうも綱川本人もそう思っている?『落とし前は重いくらいがちょうどいい』綱川も百目鬼に命じたこと:甲斐をころして破門、は重すぎると思っている。そして、百目鬼が矢代に心酔していること、その気持ちを天羽が理解し、肩入れしており、そんな百目鬼の一時的な居場所を綱川に求めたということも承知している。理解はできないとしても。行き場がないからと預けられた。その男に、行き場ができたとしたら。それが矢代であることはもう明白。自分を守らず、組に何の思い入れもなさそうな男に用はない。とはいえただ追放するのも癪に障る。で、あの度を越した落とし前ってことかな。明言したわけではないけど、なんだろ、天羽が「預けていた百目鬼の身柄は引き上げる」ふうなことをものすごく遠回しに取り決めた気がするんだけど、これ私がそう思いたいだけかな。そうならいいのに!そして綱川を置いて(呼び出しておきながらw仲良しだなw)釣り堀を出た天羽の車はとあるビルの前に。闇カジノの事務所。矢代動揺と焦りで大荒れ、百目鬼の名前を出した七原に灰皿を投げつける。それでも七原が百目鬼についての追求を止めなかったのは、矢代の様子が「本当に」おかしかったから。据わった目で凄んでも七原は口を閉じない。ずっと矢代のそばにいて、ずっと矢代を見てきた。今の矢代の様子がどれほど異常事態であるか、誰よりもわかる。そしてその原因が、百目鬼であることも。気付いていたけれど、ずっと口に出さずに黙っていた。もう黙ってなんていられない。百目鬼が、矢代を守ったせいで最悪の状況に立たされていることもわかっている。そんな百目鬼を助けられないかという七原の言葉を遮って「助けられねえ」と声を荒げる矢代。矢代はヤクザに向いてるわけでもなりたいわけでもないけれど、伊達に20年、極道の世界に身を置いていない。三角の英才教育を受けているし、いわゆる奥山が言うところの天秤も理解している。百目鬼を私情で助けてしまったら。七原の懇願を聞いているときも、苦しい胸の内を吐き出すときも、流れでうっかり4年前の「百目鬼を忘れた」を嘘と認めてしまった時も、七原に背を向けた矢代の表情は隠されたまま。(七原の「俺も馬鹿じゃない」発言は審議)そこに天羽が来訪、矢代を誘い出す。喫茶店。天羽がこれまでの経緯――百目鬼を綱川に預けることになったいきさつを矢代に語る。話を聞いた矢代は心底驚きましたーとか言ったけど、天羽が絡んでいることは45話で推察済み。いつも通りの本心隠した演技か、それとも心ここにあらずの相槌か。どうしてそんなことを、と問う矢代に、珍しくも超貴重な天羽の自分語りが始まる。天羽っていわゆるヤクザというか、盃交わした組員というか、そうじゃなかったのね。あくまで三角の個人的な秘書。愛した女の大事な息子をヤクザにしたくない三角、自分がヤクザに向いていないとわかっていても、ヤクザになって本当の息子のようになりたかった天羽。…「矢代と百目鬼」、そっくりすぎる。だから天羽は、自分と似た立ち位置の百目鬼の気持ちがわかりすぎるし、肩入れしたくなる。矢代のことは「珍種の猫」時代から気に入っていたし、なにより三角が第一に目をかけている男。三角のそばでずっと見てきた。自分が大好きな三角に似ている男が、自分に似た男のことで苦悩している。4年前、百目鬼に差し伸べた手を、矢代にも。天羽が矢代に問う。あなたが4年前に百目鬼を捨てたのは奴のためかそれとも、自分のためか閉じて鍵をかけ、目をそらしていた最後の箱を開けられて矢代の表情が固まる。自分が投げかけた問いの答えを聞かず、天羽は席を立つ。堅気の世界に戻り、ふつうの幸せを手にしてほしい、危険な目に遭わせたくない、汚したくない、だから百目鬼を手離したのは本当。…それだけ?百目鬼がそばにいることで、百目鬼を特別と思うことで、これまで作り上げた自分が壊れ、矢代自身が変わることが怖かった。心を許した人間が、いつか自分以外を選んで自分に背を向け離れていくことが怖かった。そうなる前に、自分が立ち直れなくなるくらい傷つく前に――自分のために。その結果、矢代は空っぽになった。不能になった身体、虚ろな心。でも今は。降り出した雨が喫茶店の窓ガラスを打つ。座ったまま動かない矢代のスマホに着信。なんと神谷から。居場所を伝えておきながら雨の中を傘もささずにふらふら歩く矢代に神谷の車が追いつく。声をかけて振り向いた矢代に車に乗るよう促しても乗らずに顔をそむける。挑発にも反応しない。業を煮やした神谷が矢代の背中に投げつけたのは、ホテルのルームキー。「こんな奴が生きる意味だってよ」「明日の深夜、甲斐をヤる」百目鬼が綱川に告げた矢代に対する想いと差し迫った百目鬼の状況を、鍵とともに矢代に投げつける。神谷が去った後、目を閉じて息を吐き、そして顔をあげる。影山に急所を突かれ、影山医院を出た時の雨にはうつむいて唇を嚙んだ。顔をあげ、雨空を見上げ、そして――ホテルの一室。百目鬼が手にした拳銃をぼんやり眺めていると、呼び鈴が鳴る。険しい顔でドアを開けると、そこに立っていたのは…雨に濡れそぼった矢代。驚く百目鬼の頬に指を添え、背伸びして「どうし」て、と言いかける百目鬼の口を唇でふさぐ。感極まりながら(寄せた眉、真っ赤な目元、6巻で矢代に妹を守った自分を肯定されて涙が込み上げた時の表情!)キスを受け入れる百目鬼。矢代の背後でドアがパタンと閉まる。唇を離し、また深く繋げ、きつく抱き合うふたり。******矢代が百目鬼への想いを認め受け入れたものの、そこから先へはなかなか進めなかった。影山の問いかけは矢代を大きく揺さぶったけれど、その時はまだ「百目鬼が毎日来るのはやりたいだけ」「百目鬼には女がいる」と思い込んでいたから。薄暗い部屋の隅っこで膝を抱えてどうしていいかわからずうずくまっている矢代を突き動かしたのは、七原・天羽・神谷。3人がかりだよ!矢継ぎ早に!見事すぎる連係プレー。鎌鼬か。トライアングルアタックに押されまくって、やっと矢代が動いたよ。前回の覚書で、私は百目鬼のために動くとしたら矢代か、天羽か、神谷か、と名前を出して予想しましたがごめんね七原ほんっと全然頭に浮かばなかった。だって七原、ここまでまあまあ気が利かないムーブが続いていたしさ…七原、百目鬼の想いは4年前から知ってたし再会後超塩だったけどやっぱりまだ社長のこと…と諸々気付いていたけれど、矢代の百目鬼への想いについては全然気づいてないふうだった。(例:6巻終盤、杉本の「頭もあいつ(百目鬼)に惚れてたら?」を即否定)気付いていない、というよりは、矢代が本気で人に惚れるなんてことがあるわけないと思いたかったのかな。でもそうじゃないとわかった。百目鬼ももちろん助けたい、でも七原が結果的にまず助けたのは矢代だった。矢代がキレッキレの策略で百目鬼を、とかそんな段階じゃなかった。百目鬼を助けるためには、まず矢代を何とかしなければならなかったんですね。七原も天羽も神谷も、百目鬼を救うためにまず矢代を説得した。つまりみんな、矢代なら、矢代だけが、百目鬼を、この状況を何とかできると思ったってことでしょ。すごいことよねこれ。極道の面子とかどうでもいい。今まで作り上げてきた偽りの自分なんかもう捨てていい。百目鬼のために、自分のために矢代が動いた。これまで毎度毎度、何度も何度も「ついに」を使い倒してきましたが今回は「やっと」という感じでしょうか。矢代が自分のために、自分を最優先にしていいと、やっと気づけた。もっともらしい言い訳を携えることもなく(例:甲斐の居場所を聞きに行くだけだから!)ただ百目鬼に逢うためにホテルに向かった。やっと……やっと!…とか想像してるけどなんか嫌な決意を秘めてたらヤダなあ…ヤクザサイドの問題はこれから。甲斐をどうするのか。矢代は絶対に百目鬼に手を下させないはず。矢代が外注するのか(甘栗とか鮫鯨とか)(ここで井波か)奥山が先に動くか、それとも。三角のおつかい・奪われた得物の奪還は?その前に、まああの…キスからその先になだれ込んでもいいというか(あれっあんなところにベッドが)、むしろ大歓迎というか、その展開は期待大ではありますがあまりにも言葉足らず過ぎたふたり、あの百目鬼が本心をはっきりがっつり言葉にして矢代に綱川に告げたわけですし、ここはねえ、矢代も言葉にして伝えるべきと思うんですよね。どーしても言えないってんなら…まあ、なだれ込んでもいいですけど。でも矢代の百目鬼に対する想い、聞きたいなあ。野暮かしら。次号の予告にヨネダ先生のお名前なし、てことはここまでで10巻でしょうか。10巻の発表やコラボカフェ、グッズ情報などもあるかも。ドキドキしながら67話を待ちます!******最後に天羽さんと矢代さんの喫茶店でのシーン。天羽の問い「4年前百目鬼を捨てたのは百目鬼のためか、自分のためか」その答えははっきりと表現されておらず、ただただ矢代が根本から揺り動かされた描写のみ。なので上記の解釈は私の想像深読みです。こんな感じかな~っていう。ヨネダ先生の答え合わせを待ち望んでいますが、はっきりクリアにさせなくてもいいのかなとも思ったり。なんにせよ、天羽の問いは、矢代の心の奥底に届いた。天羽さん凄い。で、今回の天羽さんから、スラムダンクの小暮くん(メガネくん)を連想しました。ボスキャラのそばにいて、控えめで、穏やかそうで、でも膠着状態や最悪の状況を打破し、流れを大きく変える力を持つ人。物語の大事な場面を任せられる人っていいですよねえ。******…この覚書は6月にまとめてその後放置していたもの。なんとなくUPのタイミングを逃しずるずる3ヶ月半!寝かせてしまいましてコラボカフェやグッズの情報もあり10巻の表紙イラストや各店舗特典の情報も発表され次号イァハーツの書影も来てPOPも披露されて公式チラ見せに気が気じゃないところでひっそりUPすることに。覚書なのでね。カフェの予約をし、グッズを通販でポチりました。10巻はまんまと4店舗で予約しました。(特典漫画大好き)67話が迫ってきています。ここんとこもう百目鬼くんのことしか考えれらない日々が続いていますが諸々楽しみです!