囀る鳥は羽ばたかない 第63話【帰らないで】
「囀る鳥は羽ばたかない」63話の私的ネタバレ覚書。重傷と高熱で満身創痍の百目鬼は、甲斐捜索の続行を命じられ、ついに意識不明に。一方で、百目鬼がひた隠しにしていた本心を垣間見た矢代は──ずっと謎のままでひっぱられていて、早く、早くはっきりさせて、でないと…と思い続けていた事案の答えが出まして自作ゆず酒で祝杯をあげるなどしました。毎回言ってる気もするけど今回も大きな動きが!!ていうかこれまで平坦な回などあっただろうかいや一話たりともないんですけどね。※毎度の注意事項: 以下がっつりネタバレ含みます。 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは あくまで個人の感想・深読み(妄想もあり)です。******欲しいものがわからない******闇カジノの事務所。ソファーに座って腕で両目を覆いながら天を仰ぎ、影山医院に置いてきた百目鬼を思う。矢代さん気づいてなかった!七原や、鈍さにかけては右に出るものがいないとうたわれる影山ですらうっすら気づいていた百目鬼の本質、全然気づいていなかった。矢代が「天を仰ぎ目を閉じて物想う」って描写ははじめてでは。恋情関係に限って言えば、矢代が思案するときってうつむき気味だったり遠い目だったり、その目が昏かったり。これまでとは違う矢代の様子から、自己肯定感地の底ですべてをあきらめていた矢代が初めてわずかに希望を持ち始めたのかも。思い浮かべる「やくざになってすっかりかわったどうめき」の姿。そしてあいつが変わっていなかったらあの時のままだったら言霊に想いを纏わせ、激しく、そして優しく自分を抱くあの頃のあの時の「ヤリたくてしょうがない顔の百目鬼」が思い浮かぶ。まっすぐな、熱い眼差し。そんな怖えこと あるかよ声に出して呟く。「怖い」とは。4年前も百目鬼に対して「怖い」と伝えていた。百目鬼が自分のせいで傷ついたり最悪命を落としたりといったことへの恐怖。百目鬼を受け入れることでそれまで必死で作り上げてきた自分を壊し、なくすことへの恐怖。百目鬼の「幸せ」を自分のせいで失くしてしまうかもしれない恐怖。怖いから百目鬼を手離した。怖さから目を背け、逃げるため。でも、手離しても上司と部下じゃなくなっても百目鬼は自分のために命を使う。再会して翻弄されて4年前の百目鬼を思い返し、まるで傷口が開いたかのような「人を好きになる痛み」を自覚した矢代はもう百目鬼を自分の意志で手離せない。矢代が声に出すつぶやきは、その言葉通りではないことが多いんだけれど(代表例:「笑える」)この「怖い」ははたして。そこに三角が天羽とともに現れる。桜一家の襲撃時に矢代がいたこと、その時百目鬼が矢代の盾になったことも知っていた。情報は鮫鯨からかなーまた会いたいけどなー!百目鬼のことを牽制した上で、三角は矢代に「盗られた銃を奪い返し、甲斐も捕らえる」ことを命ずる。三角の「組持ちたくないんだよな?」に対して矢代は「狡い人ですね」と返す。矢代を好きにさせてやる条件桜一家にも貸しを作れ毛嫌いしている道仁会の幹部連中を黙らせろ──と、三角は言い捨てて帰っていったけど私はこのやり取り、めちゃくちゃいい方向に捉えたんですよね。百目鬼のことは大嫌い、俺の矢代を奪われそう、矢代のそばにいてほしくない、なんならこの手で東京湾に沈めたい。でも、矢代が百目鬼を欲しいと望むなら。…みたいな三角の心の声が聞こえた気がしたんだけど気のせいか。私があまりに甘々展開至上主義だからか幻聴が。いい方向じゃないんだろうなあ。矢代は矢代で「完全に子飼い」と言ってるし。七原からの電話で百目鬼と神谷が甲斐の居場所を突き止めたこと、でも百目鬼が倒れて影山医院に戻ってきたこと、影山に追い返されたことを報告され矢代は自ら百目鬼の部屋に様子を見に行く。「探りを入れるだけだ」と自分自身に念を押して。それだけじゃないことは、矢代自身もわかってる。ところでどうして影山は百目鬼を追い返したんだろ。前回の覚書でわたくし「影山は百目鬼を気に入ってる」と言いまくってたんだけどな!?ヒョウ柄を牽制したか、ホントに病室いっぱいだったのか。百目鬼が寝かされていたのは診察室だしね。百目鬼ひとりだったら受け入れてたのかな。ちょっと影山らしくないかな、と思ったりしました。これも私の甘々思考かな。神谷が百目鬼を抱えてマンションにたどり着くと、ドアの前にバーのママ。合鍵は持ってない(個人的確認)部屋に入ったこともないらしい。ママの声が聞こえても、ママと神谷が会話をしていても、ママに身体を支えられても百目鬼は顔も上げない。反応もしない。ベッドに寝かされた百目鬼は苦しげに目を閉じ眉を寄せ、息も荒く、周囲のこともわかってなさそう。ほどなくして到着した矢代はドアの前でしばらく立ちすくんでいた。影山医院の診察室に入る時と同じ。すぐには入っていけない。チャイムを短く鳴らし、開いたドアの奥。ベッドの横に座る女性の姿に目が留まる。七原が噂していた、桜一家ケツ持ちのバーのママ。絡んでくる神谷とほんの少しやり取りをし、でもママに動揺しもうその場にいられない矢代は探りも入れず早々に立ち去ろうとする。その時。矢代の声に反応し、意識が戻ったと同時にカっと目を見開きベッドから起き上がり、走り出し、玄関から出ていこうとする矢代に追いつき、腕をつかむ。以前から常々「百目鬼はなにかあったときの矢代に近づく速度が光速」と思っていましたが、今回その途中(ママの横をひゅん)を見せていただけて僥倖です。けれど直前まで意識が朦朧としていた重傷の百目鬼、腕をつかんで「帰らな」いで、と言いかけて崩れ落ちる。でも腕は離さない。ママは神谷を引き連れ部屋を出ていく。ようやく腕から手を離し、息も絶え絶えの百目鬼を見つめる矢代。神谷に車で送られる道中、ママ(ママ呼びしてるけど「泉」さんよね。でもまあ今回は「ママ」で)がついに本当の関係、本当の事情を語る。百目鬼の女ではない、あれは嘘(きっぱり)。ママの家に通っていたのは、背中の刺青のため。そう、ママは彫師だったのでした!これ予想してた人いらっしゃったなあ。すごい!私はてっきり矢代のために料理を習っていたのかと(その予想はいまだに捨ててない)おそらく百目鬼はママにも愛想笑いのひとつもしなかったのだろう。背中に針を入れている間も無表情だったに違いない。でも、百目鬼には天女のような美しい彼女がいるか、もしくは片思いか、とにかく想い人がいることは察していた。何物にも動じない百目鬼が、矢代に対して見せたあの姿。微笑みを浮かべ、今後の身の振り方を決めたママ。夜が更けていく。******というわけで今回は〇矢代、ようやく百目鬼の本心に気付く〇三角、矢代に牽制&危険なおつかい強要〇矢代、百目鬼が心配でお見舞いに行ったら女がいて動揺〇帰ろうとしたら瀕死の百目鬼に秒で捕まる〇ママの正体は彫師、百目鬼はただの客ママはここで退場かな。いろいろと明かされ、話が進んでスッキリ!!あ、でも「(『百目鬼の女』を否定しないほうが)都合がよかった」と言ってたのはなんだったんだろ。たとえばママのストーカー対策とか。あと退場するならその前に「なんで『ちから』呼びなのか」をはっきりさせてほしい。あれすっごく気になってる。私も矢代さんも。銃の奪還と甲斐捕獲、矢代百目鬼共同戦線張ればいいのに。甘いかな。いやでも。それよりまずふたり、ちゃんと話し合ってね。きみらホント話し合いが足りないからさ。隠さないでね。伝えてね。次号は発売日が矢代さん誕生日!誕生日ですしね、なんていうかこう、前向きな、甘々至上主義者にも優しい展開をほんのり希望しつつ(そーゆー展開にはならないんだろうなー!)(とか言ってたらとんでもない破壊力のチラ見せ来た。まさにこの直前に書いたこと(↑話し合ってね)につながりそうな。これまた私はいい方向に期待してるけどどうだろう)楽しみに身構えます!