囀る鳥は羽ばたかない 第60話【上司とか部下とか】
「囀る鳥は羽ばたかない」60話の私的ネタバレ覚書。綱川が矛先を定めて動き出し、矢代が山川を捕らえてから半年待ちました!やくざパートが動き出したからには穏やかではいられない。待ち焦がれ、チラ見せに煽られた60話。ここまで読み進めてきて、物語が終盤に差し掛かっていること(ほろり)や最近の展開から今後こういうことが起きるかも、こういう場面が来るかも、みたいな想像はいろいろとしていました。で、今回その想像がいくつか当たったんですけど、ラストのアレはもうちょっとあとかと思ってたんですよね…初読後真っ先に浮かんだ感想は〇そういうとこだよ七原(定型文)〇助けて天羽さん!!でした。※毎度の注意事項: 以下がっつりネタバレ含みます。 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは あくまで個人の感想・深読み(妄想もあり)です。******もう部下じゃないわかっているのに──******扉絵、ちょっと意外でした。真っ直ぐに立ち、抱き合うふたり。百目鬼の肩に額を寄せ、両腕を首に回してシャツをぎゅっとつかむ矢代矢代の頭と腰を抱き寄せ、みつめる百目鬼煽り文はどちらにもあてはまるけれど。連日の逢瀬。多忙な百目鬼、ドアは開けっぱなし、服は脱ぎ散らかしっぱなし。バックから攻めながら、矢代の背中に、うなじにキス。ひっくり返して大きく脚を広げ、深く攻め入る。快感に歪む顔を隠す矢代の腕を取っておさえつけると、矢代も両脚を百目鬼に巻き付けて百目鬼の身体を抱え込む。矢代のスマホに着信。枕元に置いてあることから、電話がかかってくることは想定内。スマホを取ろうと伸ばす矢代の手を抑えてキス、それでも電話に出ようとする矢代の顔をあごクイで引き戻してさらにキス。矢代もそんな百目鬼を振りほどかず蹴りもせず、攻め立てられて達する。「もう抜け」と途切れ途切れに矢代が言った後も百目鬼くん抜かずに続行した模様!矢代への着信を誰からであろうと許さない百目鬼いいよいいよー。電話は七原から。(チラ見せ時点での予想大当たり)風邪を疑われるほどがっさがさの声になった矢代がなにかしら七原に指示を出すすぐそばで百目鬼が服を着ている。電話を切った後、ふたりは奥山組・竜頭・甲斐の情報をほんのり提供したり探り合ったり。その辺にまだ関わり続ける矢代、抗争になりそうな状況から矢代を遠ざけたい百目鬼。ここで矢代は「面が割れたのは部下」と言っている。55話では「俺と七原は面が割れた」と百目鬼に言ってたんだけどな。矢代の面が割れたし桜一家とのつながりも知られたから闇カジノの店襲撃されたんだろうと思うけど。お仕事はキレッキレの矢代にしては…この辺ずっとあやういんですよね。百目鬼に余計な心配かけさせないためかな?どうして三角は組に関わっていない矢代にこんなことをさせているのか、という百目鬼の問いにそりゃあ極道だからだろあの人なりの首輪だと視線を落とし薄く笑って答える矢代。複雑な表情で聞く百目鬼。そういうお前はなんで自らヤクザに?と矢代が問うと百目鬼は「この道しかなかっただけです」と答えて部屋を出ていく。…これも、過去に引っかかるセリフ。19歳の矢代が影山を救うため、「結局この道しかないだろー ちゅーちょすんな」と極道入りを決意した。百目鬼も同じ。矢代のそばにいるには、矢代を自分のものにするには矢代と同じ極道の世界に身を投じるしか考えられなかった。自分を捨て、曲げてでも。ひとりになった部屋で矢代はお前には極道以外の道なんていくらでもあっただろ、とつぶやく。あっただろ。過去形。もう戻れない。戻らないのはなぜか。極道以外の道を閉ざしたのは何のためか。おそらくいいかげん矢代も気づいてる。そのころ、甲斐と竜頭が、ボヤ騒ぎで山川を取り逃がした仲間をボコっていた。山川はもういい、敵側に捕まってこちらの情報が流れる前に仕掛ける、と宣言。甲斐と竜頭も抗争に向けて動き出す。翌日、出掛ける直前の綱川邸に、矢代が訪ねてくる。捕まえた山川から巻き上げた金を差し出すと、綱川の顔色が変わる。山川を偶然見つけた、回収してない金があったから捕らえたけど金とついでに事業も巻き上げたんでもう逃がしちゃったてへ。こちらの用事は済んだからあとはご自由に。綱川の額にピキピキと血管が浮く。そのやり取りを横で聞いていた百目鬼は、矢代の部屋での電話を思い出す。杉本に回収させたもの、七原に解放させた人間。帰り際の矢代の腕をつかんでどうして昨日自分に言わなかったのかと詰め寄る百目鬼に、矢代は百目鬼が反論できない正論で黙らせ、いつから俺と対等になった?寝てるからって勘違いすんなよ言い捨てて綱川邸を出る。いろいろ言いたげな七原を黙らせ車に向かっていると、綱川も連と百目鬼を引き連れて出てきた。矢代への嫌悪感を隠さない綱川と、そういう自分への敵意に慣れ過ぎて軽くあしらう矢代がほんの少し立ち話をしていた時、走ってきたバンの窓から狙撃。綱川が右腕を撃たれた。とっさに連が綱川をかばって車の影に隠れたが、相手は撃ちまくっている。身を伏せた綱川の視線の先には…自分の傍にいたはずの百目鬼が、全身で矢代の盾になっていた。頭を抱え込み、車の影にしゃがみこんで矢代をすっぽりと覆い隠す。抱きしめるように抱え込まれた矢代は百目鬼の胸で呆然と目を見開く。(七原は矢代の背後でひとり車に背を向けしゃがみこんでいた。 矢代の身を守ろうとか思わなかった!? そういうとこだよいやマジで)(あれ、でも「百目鬼てめえどういうつもりだ!?」もしかして七原のセリフ??だとしたら… 七原も当然矢代をかばおうと思った →百目鬼に突き飛ばされた →体制整えて横目で見たら百目鬼が社長をかばってる!俺を押しのけて!どういうつもりだゴルァ ていうこと!?)(いやでもやっぱりこれは連のセリフよね…??)銃撃の音が止み、車が走り去った後、抱きすくめたまま百目鬼「怪我は?」矢代「ないからもうどけよ」身体を離した矢代が目にしたのは、百目鬼のわき腹からにじみ出る血。騒ぐ七原、黙り込んで百目鬼を見つめる矢代──******もう矢代の部下じゃない。盃は交わしてないけど桜一家の構成員である百目鬼は有事の際には当然綱川をかばうべき。なんだけど。これも、以前から予想していました。矢代と綱川、ふたりがいる場面で何かあったら百目鬼は迷わず矢代を最優先にするだろうと。再会後の百目鬼は、毎号の覚書でも綴ってますけど実によく矢代を見ている。綱川邸の風呂場でよろければすぐ抱きとめる。部屋の鍵をうまくさせない様子をうかがう。トイレに行くといいつつ店を出たり電話を掛けたりする姿に気付く。キスしながら、愛撫しながら、身体を繋げながら、ずっと見ている。百目鬼の部屋で、ベッドから立ち上がってよろめいた矢代を、離れて立っていた百目鬼が素早く抱きとめた。今回も同じ。綱川寄りに立っていた百目鬼は、銃声を聞いた瞬間には矢代を抱きすくめてかばっていた。「次は絶対に守ります」矢代のために使うと決めた命、有言実行。ただ、綱川の目の前で、綱川を背にして矢代をかばった百目鬼を、綱川がどうするか?矢代が撃たれたとき、一緒にいたのに守れなかった百目鬼は小指を落とした。今回は?右の小指か。指を詰めるだけで済む問題なのか。三角が「極道の鑑」と評し、矢代も「やる時は躊躇も容赦もなさそう」と分析していた綱川。悪い予感しかしない、悪い予想しか出てこない。というわけで、緊急に天羽を召喚したい。仲良し天羽からの預かり物。天羽さんここらで百目鬼を引き上げてくれないかな。ひとつやふたつ、みっつやよっつ、天羽が握ってそうな綱川の弱みとか学生時代の小っちゃい貸しとかひらひらさせて。もう自分の部下じゃない。身体も時間も俺のもの、と言い放った百目鬼が自分を守って撃たれるなんて。身体も心も。自分が他人に傷つけられるのは平気。誰かを傷つけることも意に介さない。でも百目鬼だけは別。百目鬼に傷つけられるのはつらい。百目鬼が自分以外に傷つけられるのは耐えられない。部下としてそばに置き続けていたら、いつかこうなると思っていた。だから離れた。なのに部下とか上司とか、そんなもんはどうでもいいといわんばかりに百目鬼は矢代を捨て身で守り、血を流すことに。そばにいても、突き放して自分から離れても同じならいっそ自分のものにしてそばに置いてたほうがよかったじゃんね。まあ…あの頃はそんなこと思えなかったもんね。自己肯定感底辺の矢代、家族のもとに返したほうが、やくざなんか辞めさせたほうが、自分から離したほうが、絶対百目鬼が幸せになると思ってたんだもんね。百目鬼への想いを認めて受け入れた矢代は、百目鬼をどうするだろう。綱川から守れるのか。捨てたけどやっぱり俺のものなんで、なんて通用するのか。うーん、この期に及んで百目鬼を遠ざけたり逃げたりはもうしないと思うんですよね。願望込みではありますけども。最後の手段は…やっぱり三角の出番なのかな。百目鬼を手に入れる代償に、矢代はなにを三角に支払うのだろう。三角さん最後に懐深いところ見せてくれないかな。甲斐・竜頭の襲撃は始まりに過ぎない。撃たれた百目鬼の容態は?矢代はどう動く?神谷はどこで何してんの??健康に気を付けつつ、日々読み返しつつ次回を待ちます。******こまかいことなど。〇背中やうなじに顔を埋めるようにしてキスされても受け入れて感じてるあたり、矢代さんホント「優しいセックス」に慣れてきましたね。これもう確実に毎回毎回(ほぼ毎日)少しずつ慣れさせてるよね百目鬼!〇ところで百目鬼って上でも触れたけど、組員ではないですよね。綱川も「欲しくなった」と言ってたし。つまりまだ手に入れていない =組員ではない。なのに「大事な話を持ってきた客人(矢代)」との会談の場になんでいるんだろ。このあとの外出に同行させるとはいえ、廊下や車で待たせておくこともできたでしょうに。三角とのやり取りで矢代と百目鬼の関係に思うところもあり、おもしろそうだから同席させてみた感じ?〇48話以来久々登場綱川邸で帰り際の矢代の腕をつかんだ百目鬼の胸ポケットに幻のポケットチーフが!(ほか計3コマ)48話のポケットチーフは電子版でも単行本でも修正されずそのままだったけど、今回のチーフは単行本まで生き残れるか!?