囀る鳥は羽ばたかない 第64話【告白】
「囀る鳥は羽ばたかない」64話の私的ネタバレ覚書。わたくしこれまでの覚書でけっこう何度も「ついに」という言葉を使いまくってきましたがこれは今回使うべき言葉だったなあ。いやその都度「うわーついに!」と思ってたんですよ。つまりはヨネダ先生の張り巡らされた伏線回収、鬼のような引き、想像のはるか斜め上行く展開、それらにやられまくりだったんですね。※毎度の注意事項: 以下がっつりネタバレ含みます。 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは あくまで個人の感想・深読み(妄想もあり)です。******ずっと こうしたかった******夢のような扉絵。ずっとこういうのが見たかった!ずっとそうしてくれてていいのよ!!「扉絵は内容と無関係」と認識しているのでだからどう、ということはないんですけどまあ、ふたりともこう思っているんだろうなと。百目鬼くんは言わずもがな、でもどっちかというとこの扉絵は「矢代さんの夢」かなという印象。高校生矢代くんっぽくもあり、穏やかな表情の百目鬼くんにからだを預けて安心しきった表情で眠りにつくさまが儚げでもあり。玄関先で矢代を引き留めたあとうずくまって動けなくなった百目鬼に、矢代が立つよう促すが、百目鬼は立ち上がった後またふらついてしまう。とっさに百目鬼の身体を支える矢代、謝罪を口走る百目鬼を黙らせてベッドに運ぶ。すぐに矢代の腕をつかみ、「帰らないで」と言う百目鬼はたぶんもう無意識。そのまま気を失う。やがて目が覚めた百目鬼は、ぼんやりしながら額に乗せられている布に触れる。視線をずらすと枕と反対の床であぐらかいて寝ている矢代の姿が。その横に、水を張ったたらい。額に乗せられていたのは、水に浸して絞った矢代のハンカチ。(だと思う。薄いし。タオルではないよね)起き上がり、そっと矢代のそばにより、膝をついて眠る矢代に手を伸ばす。そのとき、百目鬼のスマホに着信。綱川からの呼び出し。スーツの上着を抱えた百目鬼に、電話の音で目覚めた矢代が声をかける。「綱川か?」声をかけられてとっさに百目鬼が口にしたのは「眠っちゃったこと」への謝罪。矢代にベッドまで運ばれたこととか覚えているのかな。それに対して矢代も「腕つかまれたから看病しただけだ」と答える。ふたりの会話が微妙にちぐはぐ。百目鬼は矢代が来てくれてそばにいて、看病までしてくれたのに寝てしまったことへの謝罪。寝ていたことを責められてもいないのに。矢代は聞いたことに対しての返答が返ってこないことには触れずに、額を冷やしてそばにいたことの言い訳。看病したこと、なにも言われていないのに。言葉が足りないふたり。そのくせ、足りないながら自分の言いたいことを伝えちゃうふたり。伝えなきゃならないこと、もっといっぱいあるのにね。とっさに繕えない本音がこぼれ出た感じ。矢代は「三角の危険なお使い」の要件を「忘れた」と下手な嘘でごまかし、唐突に、バーのママのことを問う。「つきあってるんだろ」気になることは聞いちゃうスタイル。(過去例:ヤクザの事務所に百目鬼の様子をうかがいに来た女の子のこと、4年前と愛撫の仕方が変わっていることなど)回復しているように見えて、傷の痛みは全然治まらない百目鬼は、矢代に向かって膝をつき、一瞬逡巡し、バーのママの正体を語る。そして黙り込む矢代の様子をうかがいながら、ついに百目鬼が心のダム大解放する。4年後の百目鬼の言動、一気に答え合わせ。〇俺(百目鬼)に女がいたほうが都合がよかったか。 俺がまだ矢代を想っていると知ったら逃げるくせに (伝家の宝刀・倒置法) …百目鬼は再会後、絶対に自分の本心を矢代に気付かれてはならない、絶対にだ、と思っていただろうけど ほんの少しの愛撫でなぜか放出した矢代が、これまたなぜかいきなり「女の存在」を疑う言葉を口にした。 理由はさっぱりわからないが渡りに船、とりあえず乗っとく。 「女いるんだろ」と聞かれ、ふだんふつうに返している言葉「いません」を飲み込んだ。 でも「はい」とも「います」とも言ってないんですよね。 頭緊急フル回転させてひねり出した答えが「よく気づきますね」 言ってる顔を見せずに。 それを聞いた矢代も、以前の、あの頃の頭と部下の関係だったら「えっマジで?どんな女?」くらい聞いたんだろうなあ。なのにすぐ信じちゃって傷ついちゃって落ち込んじゃった。 そこから鬼のようにこじれていくわけで。 罪なごまかしだったなあ。〇俺があなた以外を好きになると本気で思ってるんですか あなた以外を好きになると思っているのか →あなた以外を好きになるわけがない →過去も今もこれからも、あなたしか好きにならない ってことでしょ! 聞き分けのない子をあやすようなちょっと困ったような優しい表情してさ! あれっ 百目鬼も百目鬼で、女の存在のにおわせを矢代がサクッと信じたこと、驚いてたってことかな。 さんざん「嘘が下手だなあ」と言われていた過去(言ったことも言われたことも覚えてる系)、まさか自分の嘘をそんなあっさり信じたとは、みたいな? 矢代さんたいていの嘘は即座に見抜くけど、ごくまれに見抜けない嘘もあるんだよ百目鬼くん… つまり「本気で思ってるんですか」は 「まさか俺に女がいるなんて嘘、信じるとは思いもしませんでした」という含みもあるのかも。〇後をついて歩くひな鳥からの脱却、矢代がいるこの極道の世界で肩を並べて歩ける男になりたかった。 …百目鬼は肩を並べられる男になるまで何年かかっても、なのに再会が予想外に早かった、と言ったけど、それは百目鬼がピチピチ20台だからであって。 おそらく矢代は限界だった。 身体的に、年齢的に、精神的に。 井波との暴力的な交わり、そこに快楽の欠片も見いだせない身体の変化。 若く見えても40だしね。 うん、4年目で、今でよかった。ホントに。これでもギリギリだったよ。 百目鬼が自身で納得できる立場になった頃にはもう矢代が取り返しのつかない状態になってたと思う。 …それと なにはともあれ極道の世界にしがみつくことが最優先だったため、桜一家じゃなくてもどこでもよかった、極道なら。 だから桜一家に、綱川に、忠誠心みたいなものは一切ない。 これね、実は矢代もそうかなって思っていて。 若いころ、あのままではまともに生きられなかったであろう自分を拾い上げた三角に恩は感じてる。 でも三角に対して、平田や、矢代に対する七原みたいな忠誠心は感じられないんですよね。 平田はその忠誠心が歪んで暴走してあんなことになったし、七原はついていきますどこまでも!という気はあるけどいろいろアレ、だけれども。 とはいえ百目鬼もそんな感じで桜一家にいたとしても、しごできの重戦車、いつかは綱川に詰め寄られて逃げきれず盃交わすことになってしまったかも。実際綱川はそのつもりでいたわけだし。 そうなったら簡単に桜一家を捨てて矢代の元に戻ることなんてできなくなってしまったかも。 今もまあまああやういけど。〇再会したら欲が出た、嫉妬もした …うん、わかりやすかった。 風呂場に案内して立ち去らない。矢代のスマホへの着信(まさかの井波)で目の色が変わる。 そこから抑えようにも抑えきれない、欲と嫉妬心に百目鬼自身が翻弄される。 (「欲」ってまとめちゃったけどそらもう多種多様なね。情欲、独占欲、束縛欲、征服欲、あとー) 風呂上がりのほかほか裸体を抱き寄せたり(キスは必死にこらえた) ふたりきりでそばにいたら冷静でいられる気がしなかったから神谷に譲った護衛兼監視、矢代からの指名でちょみっと暴走(でも指だけでこらえた) (→いろいろあったので背中の墨入れで暴走しかけた心を鎮めるなどと予想) 井波にはもう会うなっつったのに翌日会ってた、怒りの上書き バーの帰りに席を立ったから後を追ったらちっちゃくて早い男と会ってなんかしてた、怒り心頭の連れ去り&上書き これだけわかりやすい態度取ってたら自分の気持ちがバレてしまうかも →全然バレてない!なんなのこの人大好きだけど てなことしてたら矢代の身体の異常『不能』をよりによって井波から知らされる。 え、でも勃ってたけど。感じてたけど。 …俺にだけ!? 矢代本人に確認して裏を取り、抑えていた欲を少しずつ滲み出していくがそれでも矢代は気づかない。 それはそれとして忙しい時間をやりくりして矢代のもとにほぼ毎日通い、矢代の体力と時間を奪う。ついでに優しい愛撫にも慣らしていく。 もう誰にも矢代の身体をさわらせないように。〇自分はいい、盾となって重傷を負っても、でもあなたは 影山から上の句だけ聞いていた矢代の右目のこと。 下の句をストレートに問い、矢代は動揺。 自分のせいか(そばにいて守れなかったからか)と聞いて矢代がそうだと言うわけがない。 違うとしても、守れなかったのは矢代が百目鬼を巻き込まないように手を尽くしたから。 それが恐ろしく暴力的な手段だったとしても、自分が捨て身で挑もうとしていた矢代にとっては、脚を撃っての怪我のほうが平田に命を奪われるよりまし、という判断だった。 百目鬼の命を守り、単身で立ち向かった。 優しくて、強くて、魂も綺麗な人。 この上ない、愛の言葉。矢代もようやく百目鬼の言葉を、心を咀嚼する。そして混乱。以前矢代の部屋で身体の異変を問い詰められた時も混乱して女子高生っぽくなってたけど今回もそんな感じ。今までさんざんあたしをいじめたり酷い言葉でなじったり身体だけみたいなこと言って抱きまくっといて!重すぎる愛の告白、どんな気持ちで聞けばいいのか。と、とぎれとぎれに責め立てる矢代の口を優しくふさぐ。優しい、哀しいキス。唇を離し、見つめながらゆっくり立ち上がる百目鬼に、なぜ今言うのかと問う矢代。答えはさすがに矢代もわかってる(はず…これも今までさんざんはずしてきた予想なだけにちょっと不安)(いやさすがに)百目鬼は再度、ちょっと困ったような微笑みを浮かべ、矢代を残して部屋を出る。険しい表情は矢代には見せない。背中を見送る矢代。******本誌の発売日が矢代さんの誕生日、ということもあり発売前のSNS界隈はいつも以上に盛り上がっておりました。百目鬼くんから矢代さんへの誕プレは『激重告白』でした。桜一家での4年間、「はい」しか言わない日も多いと印象付けていたくらいには口数の少ない男として名を馳せた百目鬼の怒涛の告白。答え合わせとしては「でしょうね知ってたやっぱりね」案件だったけれど、やっと、ついに、矢代に言って聞かせた。なぜ今か。今しかないと思ったからじゃん!!とりあえず綱川は、「百目鬼は天羽からの預かり」であることを思い出し、認識してほしい。組の者じゃないんだよ。天羽さんにも「ほしくなった」って言ってたじゃん。つまり百目鬼は自分のものではない、ということをね。しかも仁姫ちゃんの命の恩人、よもや足腰立たなくなるほどぼっこぼこにしたり、鉄砲玉にしたりしないよね!…と思いたいけど所詮ヤクザ、わたくしども庶民とは考えが違ったりするんだろうなあ…躊躇も容赦もない極道の鏡だもんねちっ(舌打ち)もたもたしてたら次号のチラ見せで動揺するなどしておりましたが百目鬼くん案の定ボコられてましてでも左わき腹に血のにじみなどないようなので、わたくしちょっぴり気が緩んでいますが果たして。そしてついにやっと状況を把握した矢代さんはどう動くのか!******終わりにちょっとだけ。〇なにもなくはない私物が少ないと評判の百目鬼ですが今回わりといろんなものが見えてきましたよ。段ボール製宝箱は置いといてキッチンスペースにはレンジ、トースター、マグカップ、なにかの袋(プロティンかしら)(ミロでもいいよね)部屋の小さなテーブルの上に箱ティッシュ、スマホの電源ケーブル、そしてノートパソコン。ノートパソコン!本や雑誌かもだけど、いや違うな、ノートPCだ。あれでいろいろと情報収集したり動画観て勉強したりしたんだろうか。そして何より意外だったのが「たらい」矢代さんがキッチンの流しで水をためてたってことは、あれは台所用のたらい?洗い桶ってこと?百目鬼くん使ってるの!?ちなみに私は洗い桶、持ってません!百目鬼くんの実家でおかあさんが使ってたのかしら洗い桶。常々百目鬼くんって日常生活の基礎がちゃんとしてると思っていましたが、まさか洗い桶まであるとは…