ある意味ロックな、劇団四季『ジーザス』@京都(2) | Roll of The Dice ー スパイスのブログ ー

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稀に・・・となるかも、ですが、音楽や演劇、書籍について書きたく思ひます。

前回のお話(↓)

 

「良かったところ」を続けます。

 

ジーザス役の神永氏、マリア役の守山ちひろさんに続いてボーカルがナイスだったのは、おお、懐かしや高井治氏(カヤパ役)。

自分の四季デビュウは、正確にいうと70年代前半、福岡の我が町に遠征で来てくれたシェークスピア『から騒ぎ』。ミュージカルではなくストレート・プレイで主演は浅利慶太氏の盟友・日下武史さん。

自分小学生ながらめっちゃ面白かったのを覚えているが、それから約30年後の2004年に福岡で観たのが『オペラ座の怪人』。実質デビュウはこっちの方。

 

余談。当時自分は福岡で、食えないライター稼業に邁進。というか、ライターでなんとか食えるのは出版社の多い東京に限るので、関西でも福岡でも、ライター専業では先ず食えない。

で、一瞬勤めた福岡の広告会社を辞めたとき、図々しくも編集長の机の上に

 

「仕事の依頼をお待ちしてます♪」

 

そう自作の名刺に書き込み、ペラっと置いた。

 

すると、あら不思議。即日、劇団四季の広告関連で自分が取材に行く羽目に。

「いますぐシティ劇場に行ってください!」。社員から突然電話があり、移動中の高速バスの運ちゃんに、「すまんばってん、ここで下ろしてくれんかね」。無理を言って下ろしてもらったのを覚えている。

 

然してキャナルシティの劇場で観たのが『オペラ座』。高井治氏が怪人役で、あまりの素晴らしさにワタクシ逆上。褒めに褒め、褒めちぎった原稿を書いた。

 

余談が長くなりました。高井さんとは、あれから20年ぶりの再会。

 

カヤパといえばユダヤの宗教指導者、悪の枢軸である。ジーザスをアレした、イスラエル王のヘロデ、ローマ総督ポンテオ・ピラトと彼が、三位一体状態。

ミニーちゃんみたいな黒いお耳をつけやがって。

 

悪役よろしきそのバリトンは腹に這入り、ただし決して〝真っ黒〝でもない。

後述するが、昨日観た舞台の弱みは直線的であること。かろうじてこれを救ったのが守山さんや高井さん、そしてピラトの山田充人氏で、高井治のカヤパも「歌うというより語」っていた。

 

ボーカルは〝歌うんじゃなくて語れ〝というのが自分の持論で、まあ歌ってもいいんだが、音階を基に「語ら」なければ、言いたいことが通じない。歌詞のないモダンジャズが正しくそうで、マイルスのミュート・トランペットにせよコルトレーンのテナーサックスにせよ、ひとことで言うなら

 

「俺の話を聞いてくれ」

 

である。

 

高井治さんの歌唱は、ガナりたてることなく冷静に、ジーザスを嵌めたるぞ。あいつは脅威でユダさんや、裏切った君に褒賞あげましょう✌️

そんな「悪」を表していた。

 

だから単に〝真っ黒〝ではないと、そーゆーわけ。

 

ヘロデの北澤さんのキラキラ・テノールと高井カヤパのバリトンが素敵な対照を成し、ジーザスをやっつけるという〝悪の伝達〝を、よく表していた。

 

次。

 

で・・・私のイチオシは、それでもピラトの山田さん。

カヤパからいったんヘロデ。ジーザスやっつける作戦のバトンは、最終的にポンテオ・ピラトに渡される。

訴えを、戸惑いながらも受け入れるピラト総督。これは聖書とおんなじで、いわばピラトは日和見主義者。こう言うとふらふらしているみたいだが、この〝ふらふら〝を山田氏は、腰を据え、かつガッツリと歌って(語って)いた。

 

兎にも角にも氏が出て来、第一音を発した途端、場がキュン! と締まったものね。

素晴らしいボーカリストである。昨日いちばんの収穫は山田さんを発見(?)したことかも。

 

もう一度言います。彼はグレイトです。

 

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音は本作の海外バージョンより。

◆Heaven on Their Minds

 

 

『ジーザスクライスト・スーパースター』はロック・オペラと称される。上の動画はまさしくロックだが、劇団四季のは〝ロック風〝。

だから表題を「ある意味ロックの」としました。いやこれは宝塚同様致し方ないし、そこが問題ではございません。

 

それでも音的にはこの辺り、一般ピープル別にして、真のロック好きにはわかるはず。直ちに。

ともかく次回はけっこうディスります。へへっ、乞うご期待😛

 

 

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 ショーケン&アンドレ・マルローバンド。1985年、よみうりランドにおける『鈴虫』。

 

 

かういふものを、一般に「ロック」と申します。