【動画追加】映画〝Rockers〝(03年) | Roll of The Dice ー スパイスのブログ ー

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稀に・・・となるかも、ですが、音楽や演劇、書籍について書きたく思ひます。

 

※ 写真は博多湾でギターを弾く玉木宏。そして玉木氏、本作出演を機に、音楽活動始めたそうな。

 

陣内孝則監督〝Rockers〝を見ました。

陣内さん率いるロッカーズの青春時代を描いた本作、じゅうぶん面白いじゃん。

 

陣内役に中村俊介。リードギターの谷さん役は玉木宏、ドラムの船越さんが岡田義徳、ベースの穴井さんが佐藤隆太でリズムギターの鶴川仁美氏に塚本高史。

脇を固めるキョンキョンや、サンハウスの初代ドラマー裏田賢一氏・伊佐山ひろ子・松重豊に深町健二郎といった福岡出身者もナイス。

共演はほかに、麻生祐未、玉山鉄二、白竜、佐藤浩市、中井貴一、鈴木京香、大杉漣など。

 

福岡県大川市@久留米の近くは家具で有名。福岡県人は「さあ、これから」という時には、わざわざ大川行って家具を買います。自分の家もそうでした。

材木屋を営む陣内家 ー 実際は木工所だが家具関連には違いない ー 。そのバカ息子(中村俊介)はロックに夢中。父親(裏田賢一)はそんな息子に呆れ果て「きさん、材木屋ば継がんか!」とギターを燃やす。

が、それを見たバカ息子は

 

「うわ、ジミヘンみたいやん❤️」

 

などと言う始末。

 

〝空を飛びたい〝と夢想し、ハトの餌に麻の実が入っていると聞きつけるや麻の実ばっかり食べていつも腹を壊す佐藤隆太(ベース)。女兄弟に囲まれて、女物の服を着せられ化粧をされた挙句、なよなよしちゃった塚本高史(ギター)。惚れっぽく、惚れては振られる繰り返し。しかしいちいち彼女の名前をタトゥーに彫るから左腕が墨で真っ黒になった岡田義徳(ドラムス)。彼らがバンドの仲間たち。

 

なよなよギターじゃ音が弱いってことで、新たにギタリストを追加せむとオーディションをやる。やってきたのは王様(ディープ・パープル等を日本語でやったあの御本人)とか三味線弾きのお婆さんとか。

次いで来たのはフレームぴこぴこ弾くばかりの人。なんだ、素人かよと呆れるも一転、ド凄いリフで即採用。これが玉木宏。

※ 5/1、動画を追加。

 

 

 

しかし玉木は眼病を抱えており、佐藤浩市演じる医者に「いずれ失明する」と。ギターを弾くのに目ぇは要らんが、それでもあんまり時間がない。

 

白竜が営む博多の小さなハコを機に、キョンキョン経営の大きなハコへ。そしてメジャーデビューを賭けたオーディションへ。

プロになるまでの、時間の有無が中村俊介と玉木宏とでは違う。焦燥感・切迫感の異なりが、この映画の脇筋っちゃ脇筋。

 

北関東出身の中村俊介や名古屋出身玉木宏、岐阜の岡田に東京産は、佐藤隆太と塚本高史。しかし皆さん、博多弁が上手い。

基本コメディタッチで、とりわけ福岡出身者には博多弁のやり取りが来る。「あ〜、これこれ✌️」つって。

 

中村俊介のボーカルも悪くないし、何より玉木宏のカッコ良さが異常。

然して音は、サントラより。

◆中村俊介歌います。ルースターズの曲『どうしようもない恋の唄』、演奏するのはジプシーズ。

 

 

挿入曲もイカしてる。

◆The Thrill ー The New Odyssey

 

 

◆The PotsHot ー Good Times  and Bad Times

※ ツェッペリンとは関係ありません。レゲエです。

 

 

GACKT風にキメた、ライバルバンドの玉山鉄二が歌うはソーダポップ。

 

 

 

映画のハイライトは、プロデビューを賭けたオーディション・シーン。

「5分で4曲」(笑)

 

 

最後は陣内さんのオリジナルで、

◆涙のモーターウェイ

 

 

本作あんまりヒットしなかったらしいが、えっ? 良質の青春映画じゃないですか。

ザ・フー『さらば青春の光』(1979)を陰とするなら、こちらは陽。前者が60年代英国のモッズカルチャーを描いたなら、〝The Rockers〝は70年代福岡の、めんたいロックの隆盛期。

甲乙つけがたいと言ったら言い過ぎだろうか。

 

ほぼ福岡でオールロケ。いちいち「ここは天神あそこは中洲」と分かるのも、出身者にはたまらない。

 

自分の福岡時代は青春的に暗かった。曇天仰ぎ海を見つめて〝ここより他の場所〝を夢想していた。

※ だから今になって、故郷に復讐されているのだが。この話はまた別途。

 

しかし映画と同様に、音楽だけが、ロックンロールだけが自分を救ってくれた。サンハウスにルースターズ、ジャクソン・ブラウン、ブルース・スプリングスティーン・・・

 

カッコ良さこそ正義である。若い者に「こうなりたい」と、未来を希望させるものこそ。

 

 

「『ここを出たら』とアンディーがしばらくして口を切った。『わたしは年じゅう暖かい土地へ行くよ』。まるであと一、二か月で刑期が明けるような、落ち着いた、自信のこもった口調だった。『どこへ行くか知ってるかい? レッド』

『いいや』

『シワタネホ』。やつは舌の上でその地名を音楽のように転がした。『メキシコにある。プラヤ・アスールとメキシコ・ハイウェイ三十七号線から、三十キロほど離れた小さい町だ。アカプルコから北西へ百六十キロくらいかな、太平洋沿いにね。メキシコ人が太平洋をなんと言ってると思う?』

知らない、とおれは答えた。

『あの海には記憶がない、とさ。わたしはそこで自分の人生を終わりたいんだよ、レッド。記憶のない、暖かい土地で』」

 

「『希望はいいものだ。おそらく、何よりもいいものだ』」

 

ー スティーヴン・キング『刑務所のリタ・ヘイワース』より