「いまやふたりとも機嫌を直し、外国の観測所にできるだけはやく送らねばならぬアルチェトリの報告について議論をしだした。数字によって支えられ、みちびかれた星々。こんな時刻では見えないにしても、いつも現存する星々は、天空に正確な軌道を描いていた。逢引の時間を忠実に守る彗星は、いつも正確に、一秒も狂わずに、観測者たちの前にあらわれるのだった」
「それらはステルラが信じているような破局の使者ではなかった。反対に、それらの予想された出現は人間の理性の勝利であり、理性が宇宙に自己を投げだし、宇宙の崇高な常態に参与することである」
「『下でペンディコ(注: 主人公ドン・ファブリツィオ公爵の飼い犬)が獲物を追いまわし、料理人の庖丁が罪のない動物の肉をきざんでいても、いっこうさしつかえない。この観測所の上では、前者の騒ぎと後者の残酷な活動とが、静かな調和のうちに溶けあっている。真の問題は、精神生活を、その最も崇高な瞬間に、死に最も似かよった瞬間において、生き続けることなのだ』」
ー ランペドゥーサ『山猫』より
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◆音はコック・ロビン ー The Promise You Made