【ソウル澤田克己】北朝鮮で金正日(キム・ジョンイル)総書記死亡が発表されて以後、国営メディアを通じて、平壌市民らが激しく悲しんでいる様子が連日放映されている。一方、故金日成(キム・イルソン)国家主席の銅像近くでタンチョウヅルが長時間こうべを垂れたなどという「神秘現象」が各地で起きたとも報じられている。北朝鮮内では各地での金総書記が死亡した後の非日常性を強調することで体制への忠誠心の強さを競っているようだ。
北朝鮮各地で金総書記の大型肖像画などの前に住民らが集まり、泣き続けている。首を振りながら大声で泣く人、全身を揺すりながら崩れる人、ひざまずいて地面を何度もたたいて涙を落とす人など、激しく悲しんでいる。
94年に金主席が死亡した際も、国営メディアは住民らの号泣シーンを繰り返し放映した。90年代末に脱北した北朝鮮の元大学教員は「金主席の時はみんな本当にショックを受け、本気で泣いていた」と証言。だが金総書記に対しては「金主席に比べ忠誠度は低く、本気ではないようだ。泣かないと批判されるから泣いているだけ」と指摘する。脱北者団体代表の朴相学(パク・サンハク)さん(43)は「外では泣かないといけないが、家の中では喜んで笑いが出ている」と解説する。
聯合ニュースによると、韓国企業の工場が入居している北朝鮮の開城(ケソン)工業団地の北朝鮮労働者たちは、死亡発表の19日には午後3時で早退したが、20日は朝から正常操業に戻っている。金総書記の葬儀などがある28、29の両日は休業となるが、それ以外の操業は通常通りの予定だという。
一方、ラヂオプレスによると、国営朝鮮中央放送は22日朝、北朝鮮側が総書記の死亡日とする17日朝、北朝鮮が「聖地」とする白頭山(ペクトゥサン)の天池(カルデラ湖)の氷が割れて大音響で湖畔を揺り動かし、激しい吹雪が起きた、と伝えた。死亡が発表された19日には、白頭山一帯の「正日峰」上空に「見たこともない赤い夕焼け」が発生したとした。22日の労働新聞(電子版)は、21日午前8時半ごろ、平安南道(ピョンアンナムド)の弔儀式場に一つがいのヤマバトが現れ、式場に入ろうとくちばしで窓ガラスをつつき続けた--と記述した。
東亜日報によると、脱北者団体「NK知識人連帯」の金興光(キム・フングァン)代表は、死去発表の19日に、飲酒、歌舞、旅行など不必要な移動を禁止し、敬虔(けいけん)な気持ちで追慕の雰囲気を醸成するなど5項目を住民に指示していたことを明らかにした。