江戸時代に行われた節供の一つで、旧暦六月一日に行われました。


 前年の冬に雪水で作った折餅(へぎもち)または氷餅を祝って食べた。氷餅の祝とも。


 氷の朔日ともいい、宮中では氷室に蓄えられた氷を群臣に分け与える行事です。
 
 この行事にちなんで民間で食べられるようになったのが、「水無月」という外郎に小豆を載せた菓子です。
 
 また、歯固めと同様に扱われたりもしています。
 
 歯固めとは、正月についたお供えや寒餅を干しておいて、この日に食べて歯を強くすることであり、寒餅は固いので氷餅ともいわれました。正月を象徴する氷と餅を食べることが、旧暦六月の炎暑の頃に、ふたたび正月を迎えるということでもあるのです。
 
 厄払いや再生の儀式の一種として行われたようです。
 
 菓子の「水無月」は現在夏越の祓に食されることになっていますが、本来は「旧暦六月一日以後に食す」のが正解ということですね。
 
 氷の朔日は、元日と八朔と合わせて三朔日と呼ばれます。

 本日は旧暦六月一日、水無月朔日です。

 

 六月といえば水無月というお菓子を思い浮かべますが、やはりどこの和菓子屋さんも新暦で発売されるので、どうにも旧暦の水無月晦日に入手することはまず不可能です(涙)

 

 水無月というと「水の月」という意味だそうですが、これ「田圃に水が張られている(もしくは貼り始める)田園風景がみられる月」と解釈するのがいいそうです。新暦に当てはめて「梅雨だから」とか説明しているのは大間違いですので注意してくださいね。

 

 

 さぁ、恒例の別名解説です♪


水張月【みずはりづき】

 田んぼに水を張る月であることから、水張月と呼ばれています。

 

水月【みなづき・すいげつ】

 水無月の原形でしょうか。

 

皆仕月【みなしつき】

 田植えなどの農作業が一段落して終わったという意味で「みんな・しつくした」という意味から「皆仕尽」⇒「皆仕月」と呼ばれるそうです。

 


弥涼暮月【いすずくれづき】

 弥は接頭辞。涼しい暮れ方の月。涼暮月とも。

 

松風月【まつかぜづき】

 暑くなり、風が恋しく吹くのを心待ちにすることから。風待月とも。

 

涸月【こげつ】

 日差しが強くなり土が乾きやすくなりからでしょうか?

蝉羽月【せみのはつき】
 薄い着物を着ることを透ける蝉の羽に見立てて言う。

暑月【 しょげつ】
 暑中のある月。

田無月【たなしづき】
 田の月ではなく、農作業が終わった(田圃ですることが無い)という意味か?

常夏月【とこなつづき】
 常夏の花の盛んな月

林鐘【りんしょう】
 支那音楽の十二律の一。基音の黄鐘(こうしょう)より七律高い音。

鳴神月【なるかみつき・なるかみづき】
 雷鳴が多い月の意。鳴雷月とも。

炎陽【えんよう】
 照りつける夏の太陽のこと。転じて陰暦六月のこと。

建未月【けんびづき】
 北斗七星の柄が旧暦で未の方位を向くことから

旦月【たんげつ】
 陰暦六月を則旦ともいうので、その月の意か?

晩月【ばんげつ】

 晩夏の月という意味ですかね?

伏月【ふくげつ】
 夏の不摂生から、潜伏し秋に発病する温熱病を「伏暑」ということから?

陽氷【ようひょう】    
 氷は「陰」の意味。強い日差しと濃い影のこと。    


 ほかにもまだまだありますが、随時追加していきますね♪  

 大分遅くなりましたが、端午の節供の設えで「お茶会へ行こう」を催しました。

 

 前回来てくださったTMさんに、初めてのSSさんをお迎えし、常連のWAさん、YNさんでの会となりました。急遽、一番弟子さんが来てくださいまして、かつての賑いが戻ってきたようでした。

 

 今回の道具組みはかなりびしっ!と決まった感じですね。残念なのは、魚がどこにもいないことです。旅箪笥の水指に魚文の水指などが手に入れば、替えたいところです。荒磯水指などでもいいかもしれませんが、交趾焼では木地の棚に置けませんので、考えたいところです(小四方棚に組み合わせるのがいいかもしれません)。

 

 烏帽子棚の花入を織部双魚耳付にして、宗和箪笥の花入を鯰尾兜に、小四方棚の花入を瓢にするのがいいかもしれません。来年は宗和箪笥を外して、濃茶に小四方棚を組みますから、また雰囲気の違う道具組みを楽しめるかと思います。

 

 次回は7月13日(旧暦六月十九日)です。

 ご参加お待ちしております!

 

令和七年五月廿七日 乙巳年壬午月壬戌日

濃茶
床 軸  瀧 雪尾要道禅師筆

釜 瓢釜 笠井宗裕贈
 風炉 雲華 面取 月松斎作
  敷板 真塗 荒目小 津田哲斎作

棚 烏帽子棚 利休好写
  水指 京南蛮 一重口縄簾 加藤春永作
  茶器 古瀬戸手 頸長肩衝 時代物 銘『剣尻』
   仕覆 法隆寺獅子狩文錦
  飾棗 唐物写独楽棗 道場宗廣作
  茶盌 主 黄瀬戸 鬼佛庵楽生作 銘『醍醐』
     替 黒楽 不二写 佐々木松楽作 印『赤人』
  茶杓 越前塗 岩清水蒔絵 漆琳堂 内田忠重作
  蓋置 古銅 駅鈴 箱根土産
  建水 唐銅 槍鞘 一ノ瀬宗辰
 菓子器 浅葱楽 箆皿 萬福堂 吉村楽入作
  菓子司 柏餅 武州板橋 梅花亭
  御 茶 神楽殿 城州宇治 山政小山園詰

薄茶
床 花入 大樋 前田利家鯰尾兜 泉喜仙作

棚 旅箪笥 金森宗和好 岐斎作
 水指  阿漕 高取写耳付 福森十浦作 銘『叢雲』
  茶器 緋襷 尻膨 木村陶峰作
   仕覆 十色間道 京仕立
  飾棗 真塗 河太郎棗 道安好 岡本陽斎作
  茶盌  主 青磁 馬蝗絆写 今岡妙見作
      次 相馬駒 馬絵 田代法橋作
      替 乾山写 兜絵 田中渓峰作
      替 音羽山 綾目 森里陶楽
      替 黒仁清 紫陽花 宮地英香
  茶杓 安住樂風作 金森宗和虹写 銘『天弓』
   蓋置 煤竹五徳 金森宗和好 宗喜作 
   建水 赤膚山 内白釉焼締 古瀬堯三作
  菓子器 黒爪紅 蛍蒔絵団扇盆 男庵寄贈
  菓子司 色とりどり 洛中西陣 塩芳軒
      和三盆糖  洛中烏丸 亀屋則克
      彩果の宝石 武州足立 富善
  御 茶 四方の薫 城州宇治 山政小山園詰
                   以上

 夏・秋・冬と来ましたので今度は春です。

旧暦正月
2月(高麗台子)紫三島皆具 寅・松
   万代屋釜/朱塗老松
   袋棚 武野紹鴎好 染付捻梅
   高麗卓 宗旦好 赤絵祥瑞二閑人
   扇卓

今ある軸 ▶「日々是好日」

候補 ▷「彩鳳舞丹霄」「松樹千年翠」「鶴吟千年松」
    「山呼萬歳声」「日出乾坤輝」「山花開似錦」

    「雨洗娟々浄」、「春水満四澤」「春声先水響」

旧暦二月
3月(真台子小)桶側皆具 卯・梅
   阿弥陀堂釜/春慶塗
   山里棚 小堀遠州好 焼貫唐津
   丸卓宗旦 千宗旦好 菱馬
   誰袖棚
   城楼棚 津田宗及好 近江八景芋頭

今ある軸 ▶「弄花香満衣」

候補 ▷「花開蝶自来」「寒梅著花未」「梅自発清香」
    「花開天下春」「春色無高下」「渓梅一朶花」

    「満坐万古春」「雲中木馬吼」「鉢盂裏走馬」

旧暦三月
4月(竹台子小)織部寄せ皆具 辰・桜
   透木釜/青漆爪紅
   旅箪笥 利休好
   筧棚
   短冊箪笥 千筋黒塗
   米棚 川上不白好 白磁七宝透末広水指

   笈棚 村田珠光好

今ある軸 ▶「立雛画賛」

候補 ▷「桃花千歳春」「桃花笑春風」「桃李自成蹊」

    「碧潭清皎潔」「清坐一味友」「雨収山岳青」
    「得雨一時開」

 

 これで一年出揃いましたので、この中から集めていきますか!

 

 さて、どの軸がどの棚に相応しいかを考えていきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本日は旧暦五月廿六日。二十四節気の第十、夏至です。

 夏至とは一年で最も昼が長い一日です。

 春分と秋分の丁度中間にあたり、この日に夏が極まる=春の気がなくなるとされています。

 ここからを「夏!」と感じる方も多いかもしれませんが、実際には仲夏(旧暦五月)の下旬になることが多いです(旧暦は年によってずれるので)。

 夏至を含む二十四節気は太陽の動きで定められるため、太陰暦(=月の動きに拠る暦)と併用されてきたもので、現代でも充分通用する概念ですので、覚えておかれるとよいと思います。

 和服はこの日が衣更えの日になります。


 ここから梅雨も激しくなり、梅雨があけても夕立などが多くなるため、木綿から麻へと変わります。柔らか物も、絽などに着替えて涼しくします。帯も薄物へと変わり、和服でも涼しい季節です。

 今年ですと7/6までが夏至の時期にあたり、肌寒ければ、褝を着る方もいらっしゃいますが、新暦合わせの方は7月から衣更えをなさるようですよ。

 大汗っかきな私は既に褝の麻を着ていたりしますが、薄物の麻竹を出しておきましょう♪


 無地の小千谷縮は紋を入れてフォーマルに使えます★彡

 このころの御軸としては「夏」がテーマの「夏雲多奇峰」「殿閣生微涼」「白雲抱幽石」なんか如何でしょう?