埼玉県・大曽根八幡神社 その3/3 拝殿の欄間 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年2月26日 埼玉県八潮市大曽根の大曽根八幡神社に参拝しました。

 

彫刻が多いため、3つに分けて掲載します。

  ・埼玉県・大曽根八幡神社 その1/3 本殿 胴羽目

  ・埼玉県・大曽根八幡神社 その2/3 本殿 腰羽目

  ・埼玉県・大曽根八幡神社 その3/3 拝殿の欄間

 

拝殿の欄間に彫刻があります

 

正面左の欄間:源頼朝の由比ヶ浜方生会
源頼朝自らが由比ヶ浜に赴き、千羽の鶴を放生したといわれています。「放生会」とは、仏教の殺生を禁じる思想に基づくもので、魚や鳥などを山野に放ち、善根(よい報いを招くもととなる行為)を施すという儀式です。

 

正面左の欄間:藤原保昌 原野月  (月は中央に小さくあります。笛はこの角度では見えてません)
朧月の夜にひとり笛を吹きながら道を行く藤原保昌を、袴垂という盗賊が襲おうと後を付けたが、藤原保昌の近寄りがたい気配に圧倒され体が思うように動かない。そうしているうちに、藤原保昌の屋敷に着いてしまった。藤原保昌は袴垂を屋敷内に招き入れると、衣服を与えたのち、もう盗賊などするなと諭して帰らせたという。藤原保昌は平安時代中期の公家で、「今昔物語」の説話にその名が登場する。

参考として、「藤原保昌 原野月」 _ 作:月岡芳年

 

正面右の欄間:不明  溺れる人に笛を差し出して助けようとしているようです。

 

正面右の欄間:不明

 

拝殿の右面

 

右面の欄間:矢矧橋の出会い
日吉丸(のちの豊臣秀吉)と蜂須賀小六とが矢矧橋で出会った時のエピソード。日吉丸は8才のころから奉公に出され、12才の時に奉公先から逃げ出し、矢作橋で野宿してたいところ、付近を荒らしていた野武士の一団が通りかかり、その頭が日吉丸の頭を蹴った。日吉丸はこれを咎め、侘びていけと頭を睨みつけた。この頭は海東郡蜂須賀村に住んでいた小六正勝で、小六は日吉丸の子供にしては度胸があると思い、日吉丸を手下にした。日吉丸は小六たちを味噌屋に引き込み、荒らしていたところ、家人に見つかってしまった。日吉丸はとっさに石を井戸に投げ込み、「盗賊は井戸に落ちたぞ。」と叫び、家の人たちが井戸に集まる隙に逃げたという。

 

参考として、「蜂須賀小六 矢矧橋夜半落雁」 _ 作:芳艶

 

右面の欄間:拝殿の左面:佐々木三郎盛綱  (抱えられている人が腰蓑を付けていることから推測)
一ノ谷の戦い後、平氏は瀬戸内海へ逃れた。源範頼率いる平氏追討軍は藤戸と呼ばれる海峡で平氏と戦い勝利した。その際、佐々木三郎盛綱は先陣の功を狙って浦の男に地形を尋ね、浅瀬の存在を聞いた後に、先陣の功を他人に奪われることを恐れ、教えた若者の漁師を殺害したという。そして、盛綱は先陣の功を挙げました。一方、盛綱に殺された若者の母親は、息子を殺した盛綱を咎めます。殺害を後悔した盛綱は若者の法要を営む。法要が行われていた明け方近くに若者の亡霊が現れる。若者は盛綱に祟りを及ぼそうとするが、盛綱の供養に満足し、やがて成仏する。謡曲「藤戸」のエピソード。

 

参考として、「佐々木三郎盛綱」 _ 作:歌川国芳

 

左面の欄間:不明

 

左面の欄間:不明

 

彫刻が多いため、残りは 埼玉県・大曽根八幡神社 その2/2 本殿 で掲載します。

 

コメント:欄間の彫刻は傾向がバラバラ。当時の寄進者が気に入った浮世絵を彫刻して飾ったという気がします。

右面の脇障子:源義家 勿来関  (木に咲いている花が"桜"  顔の前にある柵が"関所"と思われます)
源義家は、平安時代後期の武将。八幡太郎の通称でも知られる。後に鎌倉幕府を開いた源頼朝や室町幕府を開いた足利尊氏などの祖先になる。源義家は「後三年の役」で活躍したが、朝廷は一族内の内紛であり命令もしていないとして恩賞を与えなかった。そのため、義家は部下に私財から恩賞を与えた。この侠気に富んだ義家の行動が武士達の信頼を勝ち取り、「武士の棟梁」と見なされるようになった。源義家が後三年の役で戦いを終え、「勿来関」を通る時に詠んだと言われる和歌「吹く風を 勿来関と 思へども 道もせに散る 山桜かな」(風さえも来るなかれと名付けられた勿来関に、山桜が道を塞ぐほどに散っている)の場面。

 

左面の脇障子:不明

 

コメント: コメント:欄間の彫刻は傾向がバラバラ。当時の寄進者が気に入った浮世絵を彫刻して飾ったという気がします。


 

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