千葉県・覚王寺 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年3月5日 千葉県船橋市本町の覚王寺に参拝しました。

 

由緒

覚王寺は真言宗豊山派の寺院で、室町時代後期の開創と伝えられ、江戸時代寛文~元禄頃から隆盛したといわれる。龍王堂の本尊難陀龍王は海上守護の神で、龍神様として船橋漁師町の人々の信仰を集めてきた。覚王寺年中行事記によれば、毎年4月3日には海上安全・豊漁祈願のための難陀龍王護摩供が修され、護符が配られたという。
現在の堂は嘉永3年(1850)に再建された。その時の棟札が残されており、大工棟梁は船橋九日市の芝谷兼吉平政保である。寺伝によれば、江戸時代末期には津波の被害により伽藍が荒廃していたが、その当時の住職が本堂再建を企画し、難陀龍王堂も再建したという。
総欅造、形式は一間社流造である。全体を覆う彫刻がこの堂を特徴づけている。彫刻師は江戸長谷川町の松田乙次郎藤原一元である。正面(南)の彫刻は龍、北・東・西面は仙人や仙女であり、彫りが深く立体感のある表現で、躍動感にあふれており見事である。(船橋市教育委員会掲示より)

 

覚王寺 本堂

 

難陀龍王堂(銅像の後ろの建物が難陀龍王堂。細かな金網で覆われているため、撮影しづらい)

 

難陀龍王堂
龍王堂の本尊である難陀龍王は海上守護の神で、昔から龍神様として船橋の漁師町の人々の信仰を集めていました。現在の堂は嘉永3年(1850)に再建されたもので、総欅造、形式は一間社流造です。彫刻師は江戸長谷川町の松田乙次郎藤原一元である。正面(南)の彫刻は龍、北・東・西面は仙人や仙女であり、彫りが深く立体感のある表現で、躍動感にあふれており見事である。

中備:龍  木鼻:龍

 

本堂の右面

 

右面の胴羽目:玉巵弾琴  
玉巵は西王母の娘で、太真王の夫人であった。玉巵は琴の名人で、一弦琴を弾ずれば、百禽の鳥が飛来したという。また時には、白龍に乗り四海を周遊したとも伝えられる。

 

背面の胴羽目:琴高仙人
琴高は琴の名手で、長寿の術で二百年も生きていたという。ある時、弟子に「龍の子供を捕まえてくる」と言って去って行った。弟子達は帰ってくると約束の日に群衆一万余人と共に河原に出迎えると、波が高くなり、琴高は二尾の鯉に乗って現れたという。

 

左面の胴羽目:董奉  (2023.2.14修正)
その昔、中国は廬山というところに董奉という医師がいました。彼は人に尽くすために治療を行ってあえて治療代を受け取らず、その代わりに病気が治った人には、記念として杏の苗を植えてもらいました。そうして、いつしか10万余株の杏の木がうっそうと茂る大きな林ができあがったといわれています。また、董奉の傍らには常に虎がおり、害をなす者には襲いかかり、困っている者は助けたと云われています。

左面の胴羽目:王延
王延は九歳より曠眞人に仙道を学び、三洞の秘訣を授けられた。周の武帝は彼の名を聞いて召えさせたが、しばらくすると彼は暇を乞いて山へ帰っていった。王延は西岳にいた時、来客がある時には何処からともなく二羽の青鳥が飛んできて、客が訪ねて来ることを前もって彼に告げていた。また、彼の傍には常に虎や豹の猛獣が附ていて王延を守っていた。隋の文帝が位を皇太子に譲られた時、仙都の観に王延を付けた。仁寿四年の春、王延は門人に近日、西岳へ帰ろうと思っていると話していたが、ある日俄かに死んでしまった。皇帝は彼の死骸を棺に納めて西岳へ送りったが、西岳の藩宅へ到着した時、棺の中の死骸は何時の間にか消え失せていたという。

 

参考として、王延 (絵本直指宝 五巻より)

 

  * 虎が傍にいる仙人は董奉、巨霊人だけと考えていたのですが、王延が見つかりました。虎の他に、花の咲いた木があると董奉、川が流れていると巨霊人、その他と王延とします。

 

右面の脇障子:獅子の子落とし  (子獅子が落とされている)
父がおそろしく深い谷に子を蹴り落とす。子獅子は一度は登ってくるが、また突き落とされると、折からの嵐に爪が立てられず、木陰でしばし休んでしまう。子がなかなか登ってこないのは怖気づいたのだろうか、育てた甲斐がなかったのかと危ぶむ父。深い谷間を覗くと、水面にその影が映り…、親と子がそれぞれの存在に気付く。父の姿を見るや子は勇み立ち、高い岩をものともせず一気に駆け上がっていく。

右面の脇障子:唐獅子牡丹

 

腰羽目:鯉の滝登り  獅子/波

 

コメント:胴羽目彫刻が本当にあるのかと思いながら、お寺に入りました。お堂が金網で囲われていたこともあり、見過ごしそうでした。金網で見づらいですが、素晴らしい彫刻です。

 

*** 神社と彫刻の一覧 ***

  神社リスト -- 千葉県