埼玉県・砂久保稲荷神社 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年7月21日 川越市砂久保の砂久保稲荷神社に参拝しました。

 

由緒

砂久保稲荷神社は、砂久保の開発に伴い正保2年(1646)に創建、当地には川越夜戦の際に北条氏康が必勝祈願を行ったとも伝えられています。江戸期には砂久保の鎮守として祀られ、参詣者も多かったといいます。

 

鳥居

 

拝殿

 

覆屋  金網が張ってあります

 

本殿

 

右面の胴羽目:猩々
高風という親孝行な人物が、夢の告げに従って酒を商うと繁盛してお金持ちになりました。高風の店にいくら酒を飲んでも顔色の変わることがない不思議な客がいました。名を尋ねると海中に棲む猩々だと名乗りました。ある夜、高風は猩々と海岸で会う約束をしました。酒を持って海岸で猩々を待っていると、猩々が海中より現れます。そして、酒を飲み、無邪気に酒を讃える舞を舞います。猩々は酒のお礼として、高風に汲めども尽きぬ不思議な酒壺を授けたという。

 

背面の胴羽目:稲藁の束の周りを飛び回わる狐
稲荷神社の御祭神は宇迦之御魂大神で、稲作・農業の神様として信仰されており、狐は神の使いとされます。狐は農事が始まる春先から秋の収穫期にかけて里に降りて姿を現し、収穫が終わる頃に山へ戻っていくため、農耕を見守る守り神のように考えられていた言われています。

 

左面の胴羽目:麒麟
鳳凰、亀、竜と並ぶ四霊の一つ。鹿に似て牛尾,一角。一説に雄を麒,雌を麟という。

 

右面の脇障子:唐獅子牡丹
文殊菩薩の霊地である中国の清涼山。そこには石の橋「石橋(しゃっきょう)」があり、文殊菩薩の使いである獅子はそこで咲き乱れている牡丹の花に舞い遊ぶという。獅子には弱点があります。いわゆる"獅子身中の虫"といわれるもので、身体に寄生する虫によって死ぬことがあるのです。しかし、その害虫は牡丹の花から滴り落ちる夜露にあたると死んでしまいます。そこで獅子は夜に、牡丹の花の下で休みます。

 

左面の脇障子:唐獅子牡丹

 

コメント:狐が楽し気に飛び回っている胴羽目が珍しい。物語性のある彫刻は少ないですが、素晴らしい彫刻と思います。

 

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